日本経済新聞の土曜日朝刊の《この数字》コラムを読むのが好きだということは何度か書いた。
ブログを書きながら再読すると個人的に理解が深まるし興味も深まるので今週もそのコラムで取り上げられていた数字について思ったことを書いておきたい。
今週のこの数字は「848億円」であるという。何の金額かというと「国公私立の大学が2016年度に企業から受け入れた研究資金」の額のようで、これが「過去最高の848億円になった」のだという。情報源は文科省だそうだ。
おそらくその情報源となる文科省の発表は平成28年度 大学等における産学連携等実施状況について:文部科学省ではないかと思われる。日本経済新聞に限らないが、いい加減、電子で新聞を配信していることも想定の中にいれて情報源のリンクくらいさしこむようにしてほしいものだ。
以降、記事引用して感想を付したい。
共同研究や受託研究、治験、特許料収入などを集計した。文科省は大企業を中心に大学と包括連携したり、ラボを大学に設置したりする動きが広がったと分析する。大学など外部から技術やノウハウを取り込むオープンイノベーションの機運が高まったほか、大学研究者が成果を社会に還元する意識も強まった。
引用元:https://www.nikkei.com/article/DGKKZO27339300T20C18A2EA5000
このあたりは上記に引用したグラフから「共同研究」の金額が右肩あがりなのから察することができた。
大学にも事情がある。国立大は2004年度に法人化されたのをきっかけに、政府から渡される運営費交付金は毎年約1%ずつ減った。科学技術関連予算も伸び悩んでおり、民間資金の獲得が急務となっている。
一方で、事業化に結びつきにくい基礎研究をどう支えるかという問題を抱える。優れた基礎成果からイノベーションが生まれることがある。短期的な視野にとらわれない支援策を考える必要がある。
引用元:https://www.nikkei.com/article/DGKKZO27339300T20C18A2EA5000
ここについては「文科省がそれをいうのか」とモヤモヤする印象を拭えないが、企業がマネーを大学の研究資金に投入するのは、将来的の新たな収益源の創出を見越してということは言うまでもない事実であるので「国公私立の大学が2016年度に企業から受け入れた研究資金が過去最高」というのはそれだけ企業が新たな収益源を求めているというように解釈するべきなのではないかな、と思ったりした。
何より企業のマネーの原資は企業で実際に働いている人間のつくりだしたものである。大学における基礎研究の重要性は理解しつつも「事業化」というのは常に求められているという意識をもって研究に臨んでもらいたいなとも思ったりはした。
(了)。