ながいこと横着してきてしまったのだけど、とりあえず読み終わった本については感想というか記憶に残ったフレーズなどを可能な限り残しておくようにマインドセットを年初から見直した。
ちきりんの中の人といわれている(その真偽はわたしは知らないし興味ない)伊賀泰代氏が前著「採用基準」に引き続き「生産性」という書籍を出版したというのでとりあえず読んでみた。
特別新しいことが書いてある本ではないので結構すぐに読み終わる。大体どんなことが書いてあるかは目次だけで分かってしまう本なので、目次だけ読んで終わりでもいい人はいい内容だというのが感想。
一応目次はダイヤモンド社の商品ページなどから拾えるので引用させてもらっておくと以下のような目次。
- はじめに
- 序章 軽視される「生産性」
- 最も生産性の高い採用とは?
- 量を追う発想が生産性を下げる
- 経営者の見栄という大問題
- セルフスクリーニングの重要性
- 災い転じて生産性向上?
- 第1章 生産性向上のための4つのアプローチ
- 生産性を上げるふたつの方法
- 改善(インプルーブメント)と革新(イノベーション)
- アプローチ1:改善による投入資源の削減
- アプローチ2:革新による投入資源の削減
- アプローチ3:改善による付加価値額の増加
- アプローチ4:革新による付加価値額の増加
- 世界と日本の違い
- 第2章 ビジネスイノベーションに不可欠な生産性の意識
- イノベーションと生産性の関係
- Time for innovation
- 技術的イノベーション vs. 非技術的イノベーション
- Motivation for innovation
- 採用分野におけるイノベーション
- ビジネスイノベーションの格差
- 第3章 量から質の評価へ
- 会議の時間短縮は正しい目標ではない
- 残業規制も量のコントロールにすぎない
- 働き方を変える上司のひと言
- 成長とは「生産性が上がる」こと
- 成果主義も量から質の評価へ
- 管理部門の生産性評価は時系列で
- 第4章 トップパフォーマーの潜在力を引き出す
- 人材育成上の隠れた重要課題
- 優秀な人材を失うリスク
- 異動のタイミングと成長カーブの関係
- 一般社員の成長機会を奪わない
- 早期選抜が行われない理由
- トップパフォーマーを育てる三つの方法
- ストレッチゴールを与える
- 比較対象を変える
- 圧倒的なライバルの姿を見せる
- 第5章 人材を諦めない組織へ
- 放置される戦力外中高年
- 組織全体への悪影響
- 解雇制度と育て直しの関係
- モチベーションを下げる本当の理由
- 「成長のためのフィードバック」の重要性
- “人”を諦めない
- 第6章 管理職の使命はチームの生産性向上
- 部下の育成と仕事の成果は両立しない?
- ストップウォッチをオフィスにも
- “お勉強”ではなくスキルアップ
- 仕事をブラックボックス化しない
- 定期的な業務仕分けの価値
- 長期休職者が出たら大チャンス
- 「みんなで高め合う」体験を
- ノウハウの言語化を促進
- 3割と3%の両方を意識する
- 第7章 業務の生産性向上に直結する研修
- 研修の生産性を上げる
- 「判断」の練習をする研修
- グローバルチームでの働き方を学ぶ
- ロールプレイング研修の多彩な価値
- 具体的な話し方の練習ができる
- フィードバックが得られる
- 相手側の立場を体験できる
- チーム内でスキルを共有できる
- 緊急時対応も事前に練習できる
- 課長も部長も役員も
- 最初は現場での新人研修から
- 〈参考資料〉ロールプレイング研修の実際
- 第8章 マッキンゼー流 資料の作り方
- アウトプットイメージをもつ
- ブランク資料を作る
- ブランク資料は設計図
- 頭の中でブランクを作るシニアコンサルタント
- 情報偏在によるバイアス
- 分析精度もブランク資料で判断
- 第9章 マッキンゼー流 会議の進め方
- 会議時間の短縮ではなく会議の成果を高める
- 達成目標を明確にする
- 資料は説明させない
- ポジションをとる練習をする
- 意思決定のロジックを問う
- セッティング効果を利用する
- 全員がファシリテーションスキルを鍛える
- 終章 マクロな視点から
- 負担の転嫁には限界がある
- 『イシューからはじめよ』
- 生産性の低い主体を温存する日本
- 人口減少というチャンス
- おわりに
- 参考文献 引用: http://www.diamond.co.jp/book/9784478101575.html
軽い気持ちで引用しようと思ったのだけど目次の分量多すぎ。そりゃこれだけ読めば足りるよねってなるわけだわ、と。目次だけで要約になってしまっているので、そこから深掘りしたいところがあるなら読めばいいんじゃないかな、と。
わたしがなるほどとおもったことだけを箇条書きしておく。メモったわけではないのでうろ覚えで書いているところはご容赦いただきたい。
- 欲しい人材が欲しい人数応募してきて全員採用されるのが最も生産性の高い採用(序章より)
- 生産性をあげるアプローチはカイゼンとイノベーション。(第1章 生産性向上のための4つのアプローチより)
- マネージャーの仕事はチームの生産性向上(第6章 管理職の使命はチームの生産性向上)
- 今は自分にしかできない仕事を他の人ができるようになったら、自分の存在意義が下がってしまうと思わせてしまったら組織づくりは失敗。
- 本当の意味で仕事ができる人というのは、少ないインプットで高い成果の出せる生産性の高い仕事のやり方を考案し、その仕事が他の人にも可能になるように言語化し、移植できる人。
- 何年も同じやり方で同じ仕事を続ける人を「できる人」と呼ぶべきだとは著者は思わない。
- 一子相伝の職人ではあるまいし、仕事やスキルの抱え込みは組織の生産性向上より自己保身や職場における自身の心地よさを優先する身勝手な働き方であり、高く評価されるべきではない。
- 「仕事ができる人」とは「生産性の高い人」のことであり、「成長する」とは「生産性が高くなる」ということを(マッキンゼーでは)意味していた。(おわりにより)
どこに書いてあったということを覚えていたものを記憶から書き出してみるとこんな感じ。
仕事の上で一番大事なのは「成果」を出すことで「少ない労力」で「大きな成果を出す」ことができる人のことを「生産性が高い人」というのに同意。「生産性が高い人=仕事ができる人」という考え方が国籍関係なく共通の理解になるといいなと思う。
どこに書いてあったかを忘れてしまったものでいうと「業務仕分けも生産性をあげる一手」というのがあったのだけど、何の成果にもつながらないことをいたずらにルーチンワークしてしまうというのはありがちでかつ生産性が全くないことであるので、定期的に意味のないものを損切りして新しいことを始めるのにリソースを再分配するみたいなことも、業種業態関係なく考え方として広まったらいいのではないのかな、と。
結局、おわりにを読むとやっぱりそうかというところでいうと、この本は昨今話題の働き方改革によせて書かれたもののようなので、働き方改革に着手してみようと思っている企業の人事関係の方がまず最初に手にとってみるといいのかもしれない。
余談。
garagekidztweetz.hatenablog.com
先日、上記エントリで紹介した話題がプチ炎上(炎上していたのは元記事の方)していたけど、こういう発想では生産性が高まることはないよね、と思ったりはした。
※アイキャッチは過労死のイラスト。働き方改革を進めるならまず取り組むべき優先順位が高いことのひとつは生産性を高めること。単純に働く時間を短くというだけでは問題の解決にはならない。いらすとやさんにはいつも感謝。