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”日本の国防―米軍化する自衛隊・迷走する政治”の読書メモ

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読了本の読書メモを少しづつ公開していこう( 2012 第二弾) - #garagekidztweetzで告知した読了本の読書メモを共有、最後の 8 冊目です。
最後は、「日本の国防――米軍化する自衛隊・迷走する政治 (講談社現代新書)」です。
※とりあえず、まだ読み終わっていて読書メモをとっている本はありますが、 2012 年内は区切りがよいので以上としておきたいと思います。

まえがき

東北大震災
トモダチ作戦
アメリカ、人道目的だけでなく、原発推進へのダメージをできるだけ軽減させたい
軍事的に台頭する中国との関係で、日本の戦略的な価値は高まっている
地元からの撤退論が高まる在沖縄米海兵隊の存在価値のアピール
→自国の利害を勘案した思惑もあった
:当然でしょう

一方で、「いざとなれば米軍頼み」という日本政府の潜在意識
日本側の楽観姿勢 ー5

本書
冷戦終結後の20年あまりのあいだに激変した日本の国防について、主要な論点をまとめる
・制約の中で国際貢献の任務を強いられる自衛隊の悩み
・同盟強化の名の下にどんどん米国の戦略に組み込まれていく実態
・同盟のアキレス腱ともいえる普天間問題
・台頭する中国との尖閣をめぐる問題

序章 冷戦の落とし子

▶ 冷戦の落とし子として

かつてその存在に否定的な人たちから「税金泥棒」などとさげすまれ、日陰者として辛酸をなめてきた自衛隊は、いつから「表舞台」に登場してきたのか

自衛隊の生い立ち ー14
1950、北朝鮮が韓国へ侵攻したことをきっかけ
西側の一員としての日本の価値を再評価することに
同時期、マッカーサー、日本の治安維持低下の懸念から警察予備隊
1951、サンフランシスコ講和条約
日本、主権国家として国際社会に復帰、ともに日米安全保障条約締結
米軍の基地使用を認める一方、米国は「外部からの武力攻撃に対する日本の安全に寄与する」
朝鮮戦争おわるも米国は日本の再軍備を要求するようになった

日米相互防衛援助協定

警察予備隊→保安隊→1954、自衛隊
米国とソ連の覇権争い、冷戦の落とし子
出生のときから、日陰者の立場を余儀なくされていた

▶ 自助努力のあかし

憲法第九条
「戦争放棄」「戦力の不保持」

当初から政府は
戦力→自営のための必要最低限の実力を超えるものであり、日本を守るための自衛隊はこれにあたらないという立場
→無理な理屈ではある
本質は他国でいうところの軍隊にほかならない

冷戦期の役割
1957、岸信介内閣
「国防の基本方針」
国際協調による安全保障基盤の確立、自衛に必要な限度の防衛力の整備
「外部からの侵略に対しては、将来国際連合が有効にこれを阻止する機能を果たし得るに至るまでは、米国との安全保障体制を基調としてこれに対処する」
→日米安保体制は過渡的なものとしている★

1960、安保条約の改定
米軍が日本を守ること(第五条)
そのかわりに米軍が「極東の平和と安全」の範囲で日本の基地を使用すること(第六条)→「極東条項」
↓なら自衛隊は何のため?
強いていうならば、自衛隊の存在は米国が日本を守るための「条件」だった
日本の自助努力を端的に示すものとして意味があった

極東の定義
政府:フィリピン以北、日本とその周辺海域、韓国、台湾」
しかし、米国の活動範囲はこのなかに限定されないとしている
(湾岸戦争、イラク戦争で在日米軍の行動は極東の平和と安全という目的をとっくに踏み越えている)

▶ 存在することに意義がある

日本有事での日米防衛協力の気運高まり→安保条約の改定から10年近くたってから
1976
防衛計画の大綱
いわゆる戦争の事態になれば米軍に頼り、自衛隊はあくまで補完にすぎないことを確認
「基本的防衛力構想」と呼ばれている
↓意味するところはシンプル
我が国に対する軍事的脅威に直接対抗するより、自らが空白となって我が国周辺地域の不安定要因とならないよう、独立国としての必要最低限の基盤的な防衛力を保有する
→自衛隊は存在することに意義があるということ

米国が日米安保条約に則って、日本の矛になってくれるという考えから。

▶ 日米「同盟」なのか?

初めての大綱より米国の補完の役割として自衛隊の防衛力は次第に整備されていった
日本の「安保ただ乗り論」の加熱→米
が激しくなってきたという背景も。
環太平洋合同演習にも参加するようになる

政治学の発言にも変化
鈴木、レーガンの首脳会談
日米同盟と明記された
戦後長らく禁句だったのに、なぜなら、同盟という言葉にはその解釈の如何にかかわらず、軍事的な盟約というニュアンスが強く漂うから
実際に、安保条約に日本が米国を守るという条項はないのだから、「同盟」とはいいがたい
自衛隊が対ソ連の軍事戦略に注力する米国の補完勢力として伸長してきた証

「ロン・ヤス関係」 ー23
中曽根内閣
日米は運命共同体
日本はソ連に対する浮沈空母

▶ 北海道でひたすら穴掘り ー陸上自衛隊

ソ連を仮想敵国として訓練
陸海空それぞれの自衛隊で事情はことなる ー24
陸軍、北海道で訓練
米国の対ソ戦略も影響 ー25

▶ ソ連の潜水艦を見張る ー海上自衛隊

米国の戦略に最も組み込まれたのが海上自衛隊
宗谷海峡、津軽海峡にくわえ、九州と朝鮮半島を隔てる対馬海峡の警戒監視活動、そしてシーレーン防衛
★ソ連海軍の潜水艦の動向をウォッチすることが海上自衛隊の唯一にして最大の任務
米国海軍と長らく緊密な関係

▶ 緊急発進が任務 ー航空自衛隊

領空を守る唯一の警察力
冷戦期から訓練のほかに、領空侵犯やその恐れがある国籍不明機に対する緊急発進を主な任務
1970年代なかばから年間500回をかぞえる
1984には最高の944

▶ アメリカから見た日本の立ち位置

三つの自衛隊ばらばら
それぞれの結節点としての統合幕僚会議
→なかば形式的

圧倒的な非対称
1960、日米安保協議委員会
外交、防衛の閣僚→2プラス2
外交担当として、駐日大使
防衛担当として、太平洋司令官
→米国からも閣僚がでるようになったのは、1990から

▶ 防衛庁の悲哀

自衛隊を管理する以上の役割を果たせずにいた
安全保障→外務省
治安維持→警察庁
装備の調達→大蔵省、通産省

▶ 現実から遊離した国会論戦

自民党、旧社会党を中心に、実態の伴わない机上の議論
エピソードの例 ー31
ドッグタグの表記がローマ字

▶ 日本の試練と自衛隊の転換

日本は冷戦下、米国の下で「平和」を享受してきた

湾岸戦争、日本にとっての最初の試練
紆余曲折、130億ドル、当時のレートで1兆八千億円、掃海艇
Too little, too late

冷戦後
米兵による少女暴行事件、沖縄
沖縄と米軍基地の問題
1996、日米両政府、沖縄が最優先に実現を求める普天間飛行場の全面返還を合意

第一章 防衛省と自衛隊法 ー巨大組織の内側

▶ 日陰者扱いの反動

2008、秋
田母神航空幕僚長
我が国が侵略国家だったなどと濡れ衣だと主張→更迭
自衛官の潜在意識の中のフラストレーションの爆発と著者は驚かなかったと。

個人の問題としては一概に片づけられない
自衛官が征爾に物申すムードは自衛隊を取り巻く構造的な変化を抜きには語れない
日陰者→日米同盟強化にともなう任務と役割の拡大により自信に変質

▶ 建前論の崩壊

自衛隊は実態は軍隊でも軍隊ではない
自衛官は建前では軍人ではない

国際的な解釈では、軍隊であり、軍人とみなされる

冷戦後、湾岸戦争でこの建前論があっけなく覆った
1992
国連平和維持活動協力法
2003
小泉純一郎の発言
自衛隊は軍隊です ー42

▶ 自衛官という生き方

軍人と軍隊の倫理観
平時では一般社会のそれと変わらないが、有事では明確な一線を画す
有事においては、国家・国民を守るために、自衛官は「殺人」という最も非倫理的な行為にもあたらざるをえない

入隊時の宣誓 ー42
ひとたび有事になれば、厳格なピラミッド型の組織のなかで上官の命令に忠実にしたがい、人を殺すことや破壊もためらわない

制服組<背広組の構図
冷戦後、管理の時代から、運用の時代へ
状況は一変

▶ 陸海空自衛隊の独自文化

防衛省と自衛隊→基本的に同じ組織を指している
前者、運営管理
後者、日本防衛の任務など実力組織の意味合い
ほとんどは制服組
その補助に事務官、二万人
中核は、国家公務員試験第一種試験に合格したキャリア官僚、背広組

陸上自衛隊→用意周到・動脈硬化
海上自衛隊→伝統墨守・唯我独尊
航空自衛隊→勇猛果敢・支離滅裂
どういうことか?

▶ 集団行動が基本

陸上自衛隊、14万
最大、海外勢力の上陸を阻止して、上陸された場合にはこれに対処
中核は歩兵部隊
七千人規模の師団を筆頭、旅団、連隊、大隊、中隊、小隊と規模ごとに編成
集団でうごくことを基本

綿密な計画が必要→用意周到
この裏返しが、動脈硬化→物事を決めるのに時間がかかる
官僚色が強い

▶ 旧海軍から受け継がれた遺伝子

海上自衛隊、海上からの侵略を阻止する
艦船や航空機、潜水艦などの脅威を排除
海上交通の安全を確保することを主な任務
隊員、約四万二千人
航空集団、潜水部隊
旧海軍の後継者としての位置付けを好み、戦前からの慣習を多く継承→伝統墨守
「五分間の精神」
→何でも予定の五分前に準備を整える
米海軍との深い関係を誇り

活動の場は広大な海
国内からの制約、監視を受けることなく動き回ることができて、どこで何をしているのかわからないとみられてきた→唯我独尊

▶ 即断こそが大事

航空自衛隊、日本周辺の空域を警戒監視
領空を侵犯する航空機にスクランブル
災害派遣、輸送、国際緊急援助隊の業務も担う

前身の帝国空軍は存在しない
陸海自衛隊と異なる

人員、四万三千五百人
最前線意識強い
個人プレーの色彩強い

スクランブル→勇猛果敢のイメージ
裏返すと統一性を欠く→支離滅裂

スクランブルに代表されるようにきわめて短時間で判断を下すことが多い
→黒白をはっきりさせたがる、ゼロイチ思考という批判もある

▶ 混じり合わない三組織

三つの自衛隊を一体的に動かすために2006
統合幕僚監部が新設
さまざまな違い
容易ではない「全体最適」

▶ 霞ヶ関の「植民地」

防衛省の官僚の話
「内部部局」
大臣官房、防衛政策局、運用企画局
背広組
政策立案、予算関連業務

2007
防衛庁が防衛省に昇格
それまで内閣の外局と位置づけられ、首相を通じて閣議にかけなければならなかった予算要求、防衛大臣の権限に
防衛出動、海上警備行動の了承、直接求められるように
国際平和協力活動が主たる業務に格上げ

▶ 背広組と制服組

両者は歴史的にあまり仲がよくない
ふつう、大臣が政策を決めるとき、キャリア官僚が補佐、しかし、防衛省の場合にはここに自衛官もからむ
防衛大臣にたいして軍事的な現地からアドバイスするのが幕僚長
それを支えるのが、幕僚監部

背広組からなる内局と、制服組で構成される幕僚監部が棲み分けて存在、それぞれ異なる視点から大臣を補佐

各幕僚長はあくまでも大臣への助言者、部隊に対する司令官ではない

命令系統 ー55

▶ シビリアン・コントロールの三本柱

民主的に選ばれた政治家が軍隊をコントロールするという意味で、内局官僚が制服組を統制するという意味ではない

厳格なシビリアン・コントロールの三本柱
1. 予算や法律と審議を通じた国会による統制
2. 首相や防衛相、安全保障会議による政府内の統制
3. 防衛大臣を支える副大臣、政務官、次官および文官の参事官制度による防衛省内の統制
3.が特徴的、日本に ー56
→改革、廃止された →200908 ー56

▶ 票田としての自衛隊

1997
橋本元首相が制服組の幹部を呼ぶように

▶ 制服組の攻勢

自衛隊を本当に機能する軍隊にしなけれらなりません
議員側、中心、石破茂
2000年夏、「国防族」
自民党の防衛政策の提言づくりにも制服組が深く関与するように

▶ 自衛隊の争奪合戦

自衛隊の人数、23万人、全国に基地が点在
自衛隊票が当落に影響するケース
一議席を争奪しあう小選挙区

2010年秋、防衛省の通達問題の背景にも自衛隊票を巡る民主、自民の争奪合戦の構図 ー60

日本で唯一の国防組織である自衛隊は、政治に大きな影響を及ぼすトップクラスの勢力として、その存在感を示し始めた

第二章 湾岸トラウマをこえて

▶ トラウマ

百家争鳴の議論の末に、戦費として拠出した135億ドルものカネも、戦後に海上自衛隊の掃海部隊を派遣してペルシャ湾の機雷を除去したことも評価されなかった→湾岸戦争後

専守防衛を国是の日本
しかし冷戦後に生じた国際社会の新たな潮流には逆らえない

自衛隊の海外派遣相次ぐ
1992、カンボジアを皮きり

▶ PKO 協力法の成立

小沢一郎のリード
海部俊樹首相、青年海外協力隊のようなもの

1992、PKO協力法
5原則
1. 紛争当事者間の停戦合意
2. 受け入れ国と紛争当事者による日本のPKO活動への同意
3. 中立的立場の厳守
4. 以上が満たされなくなった場合の即時撤退
5. 武器使用は要員の生命保護など必要最低限

手探りのまま現場では危険な綱渡りがなされていた

▶ まず派遣ありきの外務省

国際社会での存在感や発言力を高めるためには、日本の「顔」を世界にアピールしなければならない
→国連安全保障委員会理事国入りを目指すからには
1994、PKO協力法のもとルワンダ難民支援の裏工作 ー70

外務省は軍事的な合理性よりも外交判断を優先させる傾向が強い
:いたしかたのない傾向ではある

防衛省、自衛隊との間に軋轢、今も続く

▶ 外圧利用の仕掛け

国内における政治的な対立を簡単に解決する方法として

日本においては、米国の強い意向

2000、アフガニスタン攻撃
2003、イラク戦争

Show the flag
Boots on the ground
しかし、本当に米国の高官が言ったものかと取材を進めていくと、どうやら外務官僚らが外圧を逆手に利用して政治家の背中を押した形跡

▶ Show the flag の真相

イスラエル攻撃
20010911の四日後、アーミテージがいったとされる
↑公電のなかにはみられない
アメリカ政府の対日対策を担う責任者が、駐米日本大使に対して、自衛隊の派遣を打診。しかも、具体的な貢献策として物資や燃料などの輸送に言及したこと
→極秘会談の核心だった

駐日大使、柳井の言葉であった可能性は捨てきれない

▶ Boots on the ground の真相 ー75

イラク戦争
前者とにた経緯
ローレス米国防副次官補
戦後の復興支援として陸上自衛隊の協力を仰いだ
自衛隊の活動は憲法の範囲内
治安状況の見極めが必要
アーミテージからの釘さし
事前調査団の現地入り
慌ただしい舵取り

▶ 日米関係の中心にいるのは誰か

著者の知る限り、米国の政治家で対日対策に強い関心をもつ議員はほとんどいない
→政治任用で政権に入る知日派が大きな影響力を持つことになる
小泉政権で顕著 ー77

これに対して日本の政治家で外交・安全保障に詳しい議員は少ない
→外務省の親米派には、「自分たちが調整を進めなければ、日米関係は前進しない」という思いが強い
親米→海上自衛隊も劣らない
↓同時テロ直後、米軍の期待に最大限応えようと積極的に動いたのは外務省と海上自衛隊→海上幕僚監部

▶ 自衛隊内の温度差

国際協力に対して。
海上自衛隊→大海原での活動、比較的安全
陸上自衛隊→生身の隊員を陸上にあげる、危険性は高い→慎重になる
航空自衛隊はその中間

▶ われわれは人間の盾ではない!


カンボジアでの苦渋の決断 ー80
当初は道路や橋の施設補修が任務のはずだった
文民警察官ら日本人二名が殺害されたことで事態が急変
正当防衛としての武器の使用しか許されていない
:矛盾

▶ ナンセンスな議論

1994、ルワンダPKO活動、村山内閣、部隊で持ち込む機関銃の数を巡り迷走
ルワンダでは日本人医療ボランティアがおそわれた
このときも自衛隊は「救出」が任務にないため、「輸送」という名目で現場にはいっている
「もう二度といきたくない」ともらしたルワンダ難民支援は3ヶ月で終了、延長されなかった

今もこのように自衛隊が政治に翻弄される構図は変わっていない

▶ 武器使用と武力行使はちがう?

PKO であっても武器をもっていくことに変わりはない
どのように解釈することで憲法のハードルをすり抜けたのか

政府
「自己保存のための自然権的権利」という根拠
隊員個人の生命・身体を守るための必要最低限の武器使用は、憲法の禁じる武力行使にあたらないという見解
↓結果として
武器で相手に危害を加えても構わないのは、正当防衛・緊急避難の場合のみに

武力行使と武器使用をわけた
武力行使→国または国に準ずる者により計画的に組織的に攻撃すること
武器使用→文字通り、武器の使用。ただし、それが正当防衛や緊急避難に武器を使用する場合、武力行使にあたらないという考え

戦闘現場でこれを明確に区別することは困難→素人目にも明らか

▶ 国連基準との乖離

武器使用の項目が。
国連が各国の部隊に示しているPKOの「交戦規定(ROE)」は、自分や部隊だけではなく、国連要員やNGOメンバーら保護香にあるものや地域の防護も認めている

憲法の制約の中で派遣される自衛隊員が、後顧の憂いなく活動できるようにするのは、政治の責務。
ただし、武器使用を緩和すれば、自衛官の死傷者が出るリスクは高まってくることは忘れてはならない

PKO にたいして腰が引けてしまう反動が起こる可能性がある
政治家と私たち自身の覚悟

▶ 伸縮自在の非戦闘地域

PKO 以外で自衛隊を海外へ送るには、現状ではその都度、時限法が必要
それとはまた別に、憲法第九条への抵触を避けなくてはならない

非戦闘地域という概念を生み出した
「現に戦闘行為が行われておらず、かつ、そこで実施される活動の期間を通じて戦闘行為が行われないと認められる地域」という定義

非戦闘地域を単純な地理的概念として区分けするのはナンセンス
→戦争とは戦闘と輸送や補給が一体となったもの
*政府が「非戦闘地域」に認定してしまえば自衛隊を海外へ派遣できるようになってしまっている

▶ 引きこもるしかない! ー90

イラクへの派遣
これまでの自衛隊の活動で困難を極めたもの

▶ 海外派遣のジレンマ

カンボジアPKO以来、自衛隊員は犠牲者ゼロを続けている
「完全試合」の継続
大記録を継続するために、自衛隊派遣の「安全計数」は高くなっている

▶ 幻のアフガン派遣

イラク、2007年以降、民間犠牲者が減少傾向にある一方で、アフガンでは国際治安支援部隊からアフガン側への治安権移譲に伴い、反政府武装勢力タリバンは攻勢を強めて治安がさらに悪化している

米国、NATO
陸上自衛隊、CH47の派遣などを日本に求めてきていた
201011、管の秋波
アフガンへの自衛隊の医官や看護官の派遣を検討していると
普天間問題での失点挽回
↓反発 ー96
結局は頓挫

一般に、首脳が対外的に検討を表明すれば、それは実現を目指すという国際約束を意味

できないことを口にするのは下策、悲しいかなそれは自民党時代よりも劣化した政治の現実

第三章 同盟強化か、自衛隊の米軍化か

▶ 孤立した北朝鮮

自衛隊が海外でのPKOなどに従事することは直ちに、わが国の安全保障にはつながらない
→誤解をおそれずに言えば

自衛隊の本義は何よりも日本の防衛にある

冷戦後の東アジアで起きた危機のほうが遙かに切実

▶ 1994年の危機

北朝鮮、1993、核拡散防止条約から脱退を表明
→米朝協議、思いとどまらせる
「ノドン」の発射
米国、早い段階から海上封鎖を想定
→日本の港、空港の使用許可を求めてきた

政治の無力 ー103

ぎりぎりのカーター元大統領の訪朝
危機は間一髪で回避された

日本の対応能力のなさ
→日米は安保の再定義を加速

▶ 漂流から再強化へ

冷戦下では、仮想敵はソ連
仮想敵のいない同盟とは何か?
日米同盟の漂流はその時点から始まっていた

「日本の安全保障と防衛力のあり方 21世紀に向けての展望」 ー104
冷戦後の日本の安全保障戦略は、
第一に、「多角的安全保障」
第二に、「日米安全保障関係の充実」

問題となったのはこの順番

米国防総省
「東アジア戦略報告」をまとめた
アジアにおける米軍の前方展開が地域の安定をもたらし、経済的繁栄を保障する
→日米同盟はきわめて重要
ナイ・レポートとも呼ばれる
クリントン大統領が対日関係を重視していく分岐点になった

1996
日米安保共同宣言
既存の日本の防衛、極東の安全に加えて
「アジア太平洋地域の平和と安全」にまで一気に広げた
1999
周辺事態法
日米協力を立法化
戦う米軍に対して自衛隊がどのような後方支援ができるかを列挙

周辺→実質的には朝鮮半島

▶ ミサイル防衛とは何か

日米同盟の到達点のひとつ
MD、ミサイル防衛
敵国からのミサイル攻撃を、着弾前に打ち落とすもの

抑止力
・「拒否的抑止」目的の達成が困難であることを相手に予見させる
・「懲罰的抑止」代償が高くつくことを相手に予見させる

米ソのは懲罰的
1992、弾道弾迎撃ミサイル制限条約、ABM

▶ 米国の転換

2002、ABM脱退、米
なぜ?
・懲罰的抑止は信頼がなければなりたたない
・2001の米中枢同時テロ→テロリストには「代償」という考えがなりたたない

▶ 不完全な保険 ー110

弾道ミサイルの迎撃
本当に可能か?
→完璧には程遠い★★
:衝撃的な意見だな、と

▶ 北朝鮮のおかげ


日本のミサイル防衛を推進した最大の功労者は誰?
ノドン、1993
テポドン1号、1998
米国との「同盟の証」としての意味合い

▶ 導入決定 ー114

小泉首相
2003、日本が米国の新たな軍事戦略に深く組み込まれた現実をみとめたことになる

▶ 要の部分は米軍頼み

日本のミサイル防衛は二段構え
弾道ミサイルの発射をレーダーで感知したら、海上自衛隊のイージス艦が捕捉・追尾し、迎撃ミサイルを発射して大気圏外で打ち落とす
もし、イージス艦が撃ち漏らした場合には、航空自衛隊の地対空誘導弾パトリオットが着弾前に迎撃する

イージス艦
こんごう、ちょうかい、みょうこう、きりしま
SM3ブロックIA、迎撃ミサイル

日本の自衛隊だけでは機能していない
最も重要な弾道ミサイルの発射感知→米軍の早期警戒衛星の情報に完全依存 ー116

▶ アリバイの実戦配備

日本政府が始めての実戦配備→200904
北朝鮮、「人工衛星」を打ち上げる、テポドン
→実際には失敗
人工衛星を打ち上げるためのロケットも、核弾頭を運ぶミサイルも本質は同じ

大掛かりな態勢をとらざるを得ないのは、巨額の税金をつぎ込んだ装備を使わなければ「無用の長物」との批判はまぬがれない

▶ 敵の基地を攻撃できるのか

ミサイル防衛の法解釈上の難題
専守防衛だが、政府は敵基地への攻撃を排除していない
F35戦闘機導入という矛盾
→敵地攻撃を最大の強みにする機体

▶ 米国の世論が許さない

集団的自衛権にからむ問題
米国本土にたいして発射された弾道を自衛隊は迎撃することができるのか?
米国の世論は、「日本に向かうミサイルは撃墜するが、米国に向かうミサイルは黙って見守るでは世論が許さない」
日本の政治家は、米国政府がこぞって集団的自衛権の行使容認を求めていると勘違いしている
→わざわざネタにするので寝た子を起こす

▶ 日本は数ある同盟国のひとつ

日本にとっては米国は唯一最強の同盟国だが、米国にとってはそうではない
→コミュニケーション・ギャップが生じる

認識の違いがあっても自衛隊と米軍の連携が進んでいるのは、防衛省、自衛隊の幹部が米にあれこれお膳立てしているから

▶ 集団的自衛権の四類型

お茶を濁したまま捨て置ける問題ではない
安倍内閣の有識者会議
1. 米国を狙う弾道ミサイルに対する迎撃
2. 公海上で自衛隊艦船と並走する米国の艦船が攻撃された場合
→ここまで集団的自衛権の問題
3. PKO などでともに活動する他国軍が攻撃された場合
4. 共通の目的で活動する多国籍軍への後方支援
→海外での武力行使の問題

福田康夫内閣から休眠状態

▶ 武器輸出三原則の問題

SM3 ブロックIIAの共同開発

武器輸出三原則
1. 共産圏諸国
2. 国連会議で武器輸出が禁じられている国
3. 紛争当時国
→米国への武器供与だけは「例外」、中曽根内閣
2004、共同開発・生産時も例外
2011、野田内閣、平和貢献や国際協力での装備品供与を解禁した

これまでの禁輸政策に風穴をあけるもの
日本が共同開発品を第三国へ輸出することが排除されていない★
条件が抽象的 ー128

今後、この新基準は具体的にどう適用せれていくのか、さらに詰めた議論が必要

第四章 普天間問題とは何か ー日米同盟のアキレス腱

▶ 米軍再編

911がきっかけ。
効率のよい軍の配置、予算は限られている、負担は極力ふやさないように、同盟国と関係強化
在日米軍も例外なし

2002-06
交渉できまったポイント
在日米軍と自衛隊の司令部機能が統合された

米軍陸軍の第一軍団司令部はキャンプ座間 ー133
→陸上自衛隊も

米空軍、横田基地
航空自衛隊と同居

海軍はもともと緊密

米国、自衛隊の軍事的な意味での結びつきがどんどん強固になる一方、日米両国のあいだには、長年に渡って喉元に突き刺さったままの問題
→沖縄普天間問題★

▶ 世界一危険な基地

普天間→名護市辺野古への意見を政府は繰り返してきた

現状の普天間基地、宜野湾市、市街地の真ん中
事故が起きない方が不思議な世界一危険な基地
→実際に事故も起きている、ヘリの墜落

▶ 1996年の合意

普天間移設のこれまでにあった三つの大きなうねり
発端は1995、米海兵による沖縄の少女暴行事件
移設に対して、米国、日本政府、日本の地方自治体で噛み合わない ー137

▶ 停滞

沖縄、名護市、10年以上にわたって基本的には県内移設に賛成の首長が続いたのになぜまだもつれているのか?
辺野古周辺の環境保護の問題→サンゴ礁
基地の規模や工法などの条件が次々に変わり最終形がいっこうにみえないことも影響

▶ 米軍再編で仕切り直し

二番目のうねり
米国のそれまでのスタンス、日本側が責任を持って代替施設を用意してくれるなら普天間飛行場を返すことは問題ない
↓姿勢を変えた
米軍再編、ラムズフェルド国防長官
2014までに完了、移設が実現すれば8000人の米兵も県外に出て行きますよ、ということ
本来はリンクしないにも関わらず

計画の細かい変更点 ー142

▶ 民主党政権の誕生

防衛庁長官の交代が相次ぐ
さらなる混迷を招いたのが民主党政権
→鳩山の「最低でも県外」宣言
→しかし、民主党には何の目算も調整もなかった

「学べば学ぶにつれて、沖縄の米軍が抑止力を維持していると分かった」
:記憶に新しいが、鳩山は本当にダメな政治家だと思う。引退するという宣言もその後、反古にしたし。

米国の日本に対する信頼揺らぐ
沖縄で高まった期待はそのまま、失望と不信に変わった→辺野古移設は絶望的に

▶ 逃した惑星直列 ー144

鳩山政権がぐちゃぐちゃにした
関係閣僚の意見はバラバラ
鳩山のコロコロ変わる発言

▶ 米国の不信感

鳩山政権の迷走の内容 ー146
政府は地元との調整を後回しにし、移設先の名前だけを投げていた

▶ 死文化した日米合意

菅直人
「日米合意を踏まえつつ、沖縄の負担軽減に全力を尽くす」というお題目に終始
次の野田佳彦
オバマとの会談、「結果が必要だ」と具体的な進展を求められたものの、局面打開の有効な打開策は持ち合わせていない

沖縄では、オセロがひっくり返るように、中間派、移設容認派さえも反対へとシフトした
県知事、県議会、名護市長、市議会の四年に一回の選挙

現状、1996から積み上げてきた辺野古移設の調整は水泡に帰した

▶ 変化の予兆

移設が完全に暗礁に乗り上げる中、事態の打開に舵
→巨額の財政赤字削減に取り組む米国議会
2011、
日米合意時から費用が膨張して、政治状況も変化。辺野古案はすでに「非現実的」。それよりはコストの低い嘉手納基地へ統合という意見

▶ 中国の台頭

中国は現在、米空軍の固定基地から中国本土や沿岸へのアクセスを拒み、米海軍の行動の自由も拒否。接近阻止・領域拒否戦略
→A2AD

第一列島線、第二列島線 ー153★

▶ 基地分散の真意

沖縄の位置付けも変化
日本防衛やアジア太平洋地域の平和と安定にとって在沖縄米軍が必要とされてきたが、これからは沖縄の防衛そのものが重要になってくる
↓なぜなら
中国の空母を含む大艦隊が東シナ海から太平洋に進出するとき、沖縄本島と宮古島の間を通るから。

沖縄に基地を抱えていることは危険も伴うようになってきた
米国では基地を中国からもっと遠いところに写したり、分散したりすべきという声も根強い
リスク回避→近すぎず、遠すぎず、加えて分散配置

オーストラリアに海兵隊を。
沖縄の海兵隊駐留に影響しないという日米両政府の表明は建前論
→沖縄からグアムへは現実的ではないから、オーストラリアに移転するという見方

▶ 普天間移設のゆくえ

本来は、沖縄を取り巻く新しい安全保障環境や米軍の新たな動向も勘案して、日米は普天間移設のあらたなロートマップを検討すべきだった

鳩山政権の失策が台無しにした、が

米軍の基地分散化という流れを踏まえれば、普天間移設問題が暗礁に乗り上げた逆境はむしろ好機ではないか?自衛隊の任務・役割の明確化や在日米軍再編計画の改定を視野に、新たな協議を始める時期の到来★★

尖閣諸島は守れるのか

▶ 中国の苦い経験

中国は現在、国防費を継続的に増大、核・ミサイル戦力や海・空軍を中心とした軍事力の広範かつ急速な近代化を進めている
戦力を遠方に投射する能力の強化、周辺海域での活動も活発
↑決定づけた
1996、台湾海峡危機
台湾で行われた最初の民主主義的な総統選挙
李登輝の当選を阻止したい
→台湾沖でミサイルを発射して脅した

クリントン大統領、海軍空母二隻、台湾海域、武力で中国を抑えにかかった
→李登輝圧勝

台湾関係法のための行動、米軍 ー163

▶ 米中のつばぜり合い

米国防総省
中国人民解放軍の軍拡に強い懸念 ー164

日中間の東シナ海を舞台にした対立の火種
尖閣諸島の領有権に関するクレーム
排他的経済水域が確定していない海域での中国の一方的など海底油田開発など
:尖閣諸島問題はタイムリー

南シナ海の海上安保も国際的な課題
→領有権を主張する国が東シナ海より多い
海底資源豊富
海上交通の影響大
軍事的にも東シナ海より深い

▶ 極秘のシナリオ

尖閣諸島、1972
沖縄返還の一環として米国から返還された
近海に眠る海底資源の可能性が指摘されるようになり、中国はその領有権を公式に主張しはじめた

緊張が実際に高まってきたのは、21世紀に入ってから

中国との間で有事になるとしたらどういう事態が考えられるか?
三つのシナリオ★
1. 中台紛争が起きた場合、在日米軍に対する支援を日本におこなわせないため局地的に対日攻撃を仕掛ける
2. 尖閣諸島領有権問題で中国の国内世論の批判が中国共産党に向かい、指導力を脅かすほど拡大すれば、世論の矛先を国外に向けるため武力で尖閣獲得へ踏み切る
3. 日本発断固とした対応をとらないと中国が判断した場合、海洋権益で不法な行動に出る。

主眼がおかれたのは1.
武力行使の可能性はゼロではない

むしろいま、日米が水面下で懸念しているのは、中台の平和的統一、あるいはそれに準じる動き
↓一見歓迎すべきことだが
現在の台湾の領域に中国軍が展開することになったら日本の安全保障環境はさらに厳しくなる

▶ 尖閣は中国に奪われる?

考えられるシナリオの話 ー170★
思考実験
偽装した漁民や民間活動家の上陸をきっかけに、日本の対応を見極めながら、武装した漁業監視船や海洋調査船を派遣して既成事実を積み上げようとするだろう

▶ 求められる高度な政治判断

法的には自衛隊の投入は難しい
その説明ー171
自衛隊の防衛出動
→当該行為が日本に対する外部からの武力攻撃であると認めたことを意味する
→戦争になるということ
↓エスカレートさせないためには
警察と海上保安庁の活動で対処可能な事態と、自衛隊が治安出や防衛出動する本格的な事態との中間に対処する枠組みとして自衛隊が不法侵入を取り締まる「領域警備」の必要性
→立法にいたっていない

▶ 揺れ動く米国

それではどうしたらいいのか?
中国が尖閣諸島の実効支配に乗り出したとき、日米安保条約にしたがって米国が行動するか?
→保証はない

まず日本自身の姿勢がとわれる
普天間移設とならび、尖閣問題は日米同盟のアキレス腱

▶ 同盟関係のはかなさ

米国、安保ただ乗り論という不満

予見しうる将来、この条約が解消される可能性は低いが、いつまでも続くものではないことも確か

▶ 日米中の未来

米国国家情報会議、2025の世界情勢を予測
→「グローバルトレンド2025」
日本の選択は中国と米国の政策に左右される
四つのシナリオ★
1. 中国の軍事力・影響力の増大、日本の米国への接近、ミサイル防衛、対潜能力をさらに強化
2. 中国が経済成長に失敗、民意の不満を対外政策に転嫁、日本を含む周辺諸国に対してより敵対的に
3. 米国の国力低下、日米安全保障の関与が弱まる、不安を感じた日本が中国に接近、中国との安保協定まで踏み切る
4. 米中の協力的が深化、米国が中国の東アジア地域での軍事プレゼンスを許容する→この場合も日本は中国に接近

現状においても、互いに安全保障で牽制しあう反面、経済、金融では米国のパートナーとしての比重は日本から中国に移りつつある。
こうしたこともあり、
米国の対中政策は強硬一辺倒にならず、硬軟が交錯したものになっている

あとがき

冷戦後、自衛隊は実際に運用へ
自衛隊の増改築
→日本国憲法の隙間を縫ってきたことにも起因

日米同盟の転機がきている
→米国の厳しい財政状況、国防費の削減は避けられない

日本自らの手で戦略をねる必要性
→安全保障、国際情勢の予見

読了 9/27 12:25

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