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英語社内公用語について私の意見を語っておこう | 「英語を社内公用語にしてはいけない3つの理由」はダメ本

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グローバル化が声高に叫ばれる昨今、その時流に逆行するようなアンチ英語社内公用語を謳う題名が目につきました。
それが私が本書、英語を社内公用語にしてはいけない3つの理由を読んでみようと思った動機です。

本著は大きく分けると以下の4つの構成で書かれています。

  • 英語社内公用語化の実態
  • 英語公用語論の歴史の説明
  • 著者が英語社内公用語に反対する理由の具体的説明
  • 日本が今後どうあるべきかの提言

私は、日本人がより英語を使えるようになる必要性を強く感じている人間なので、内向きに過ぎる著者の述べる英語公用語反対の意見も、今後の日本のあり方に対する提言にも賛同できませんでした
※どういった意見なのか気になる方は、私の読書メモが後半にありますので、そちらを読んでいただくか、実際に本著を読んでいただけたらと思います。

ですが、本著から学んだ点もありますので、私の英語社内公用語に関する意見を述べてみようと思います。

社内公用語を英語にすることについての私の意見。


右に添付した日経新聞の記事*1が示すように、日本企業はその得意としてきた分野(電機)においてさえ韓国企業の後塵を拝するようになってきています。最近、この手の記事がかなり頻繁にみられるようになってきています。
日本の国際競争力はどんどんと低下してきています。
日本企業が求めるTOEICスコアは低すぎて役に立たないといったことも言われています。

一概にこれを、日本人が英語を話す能力が低いからというつもりはないですが、
Jay Walker on the world's English mania
上記リンクの TED talk でも言われているように、世界各国の第二言語として 20 億人に使われている英語は、世界中のさまざまな問題解決をなすために活用されるようになっているということが事実としてあります。

そして、 IT の発達によりグローバル化とフラット化(フラット化する世界(上)/(中)/(下))の流れもまた加速している世界の中に暮らしていく私たちは、社内公用語を英語にするとせざるによらず、母国語と英語という形でバイリンガルになることを求められるような状況になりつつあると私は思っています。

この前提で、私が企業が英語を社内の公用語に採用するということに対してどのような意見を持っているかといえば、やり方次第で賛成、やり方次第で反対という立場です。

こういう英語社内公用語のやり方がいいと私が思う例

そして、私が賛成する英語社内公用語のやり方とは、本著の冒頭に紹介されている日産自動車さんのものです。
それは以下のような形で実施されているとのことです。

  • 社内公用語は英語である
  • 日本人同士は日本語を使う
  • 日本国内でも、会議では外国人がいるときは、英語をつかう
  • 役員会議のほか、開発、設計会議等でも英語を使う。
  • 起案書などは日英併記を行う
  • 通訳を使う場合がある。
  • 100% 英語というわけではない
  • 海外では現地語を、多国籍な状況では英語を使う

※私が日産自動車さんの英語公用語のやり方がよいと思った項目を赤字にしています。逆説的に言えば、赤字にした部分が英語のみといった極端なことをしている英語社内公用語化に対しては私は反対だということになります。

ちなみに、広辞苑によると公用語は以下のように定義されています。

国内で数種の言語が用いられている国家で、その国の公の目的、特に政府の媒体として用いられる言語

また本著中より東京情報大学 桂敬一氏による解釈を加えると

公用語とは、国民にその修得が義務づけられるものではないのだ。それどころか、できるだけ広い範囲の国民に公平に行政サービスを提供するために、政府が使用を約束する言語、という意味に他ならない

上記、解釈における政府を企業、国民を従業員に置き換えをすると、

公用語とは、従業員にその修得が義務づけられるものではないのだ。それどころか、できるだけ広い範囲の従業員に公平に行政サービスを提供するために、企業が使用を約束する言語、という意味に他ならない

ということになります。

英語を使用できることは大事ですが、それは、世界各国の第二言語として大事なのであって、各々の国において一番使用を優先すべきなのは、その国の母国語です

前述した辞書的な公用語の定義にもそっていて、母国語を尊重する、そういうやり方になっているため、私は日産自動車さんの英語社内公用語のやり方を支持します

社内公用語を英語にする場合、気を付けなければならないと思うこと

本著中において、英語を社内公用語にすべきでない理由の2つめとして、英語が格差を生むというものがあげられていました。
そもそも競争というものにおいて、完全な平等などありえません。ですので著者のいう格差を生むから英語を社内公用語にするのに反対などという意見には賛同しません。

ですが、日本企業が、英語を社内公用語にするのであれば、評価の尺度を一層きちんともつことが求められるようになると私は思います。
なぜなら、英語ができること/できるようになることは、成果でもなんでもないからです。

もし、何をもって仕事の成果にするかという評価の尺度をきちんともっていない企業が英語を社内公用語にすれば、英語が外国人従業員と日本人従業員の間ではもちろん、日本人従業員同士でも不公平を生む原因になってしまうと私は思います。

最後に

著者のように英語社内公用語を否定する意見を私は持っていません。
ですが、著者の母国語を尊重すべきという主張には賛同します。
私たちを日本人たらしめてくれるのは母国語である日本語に相違ありません。

実際、外国の方と話すとわかりますが、外国の方は皆、自国に対して誇りを持っている人ばかりです。
もし、私たちが自分の国や文化に誇りをもっていないのであれば、たとえ英語が話せたとしても、打ち解けて理解し合うことは難しいでしょう。

打ち解けられない者同士の間には、機会は生まれないと私は考えます。

冒頭に書いたとおり、私は今後の世の中、母国語および第二言語としての英語の組み合わせでのバイリンガルになることから逃れることはできないと考えています。
※言語は道具という考えでは、言語の本質は分からないので、理想としてはどちらの言語も存在論的言語観でみることができるとよいです。

母国語および第二言語としての英語を話すことが普通になってきたならば、社内公用語を英語にするか否かということは、大した意味をもちません。

私たちに、今必要なのは、いつそういう状況が普通になってもいいように、準備をしていく(より正しい日本語を話せるように努め、日本の文化を理解し、かつ英語も勉強する)ことなのではないかと私は思います。


以降は、本著の私の読書メモになります。

:緑字が私の意見、赤字が共感した内容になります。

序文 楽天、ユニクロへの手紙

1. 日本語・日本文化の軽視
会社が成功したとしても、その結果、日本語・日本文化が衰退しては元も子もない
2.社会的格差・不平等の助長と固定化
社内公用語が英語になると圧倒的有利になるのは欧米人
逆に日本人は不利に
英語が、できる人を大事にするということは、結局、日本人を大事にしないということ
3.言語権の侵害
自分の母語を使う権利と定義
言語は単なるツールではない
民族・文化・国家のアイデンティティそのもの
社内公用語が英語になると、日本の企業にいながら日本人であることを感じにくくなる
会社で英語、自宅で日本語の二重生活
英語は公的な場面での言語という地位を得るのに対して、日本語は私的な場面に限られ、その地位は低くなり、日本人としての誇りはますます損なわれる
[]英語支配とことばの平等

両社から返事はこない

第1章 英語社内公用語化の実態 英語化する日本企業

日産

英語社内公用語は定着した制度としてきちんと機能しているという印象
・社内公用語は英語である
・日本人同士は日本語を使う。
・日本国内でも、会議では外国人がいるときは、英語をつかう。
・役員会議のほか、開発、設計会議等でも英語を使う。
・起案書などは日英併記を行う。
・通訳を使う場合がある。
・100% 英語というわけではない。
・海外では現地語を、多国籍な状況では英語を使う。

パナソニック

英語社内公用語ではなく、社名の英語化の印象が高い
パナソニックへの変更は、国内外でパナソニックの方が浸透しているという理由
英語社内公用語化への露払い的な役割を果たしている

ユニクロ

日本の会社が世界企業として生き残るためという理由
日本のオフィスも含めて、幹部による会議や文書はすべて基本的に英語
公用語としての英語については、ホームページをみてくれということだったが、著者がみたかぎり詳細は見あたらず

楽天

2012までにグループの公用語に英語
日本企業をやめ、世界企業になる
世界一のネットサービス企業を目指す
1,2年後には全社員が流暢な英語が話せるようになる
楽天は社員を英語漬けにして、英語力を増強しようとしているといえる
電話で取材を求めだが、許可をもらうことはできなかった

シャープ

マスメディアの勇み足
英語公用語化の事実はない

企業の英語重視政策 採用、昇進に英語力がどれほど求められているか?

プレジデントのアンケート
3600社へ366社回答

英語力を採用条件にしているか?

ファミリー 18.5 英語力の基準があった
プレジデント 35.8 英語の能力を考慮している
前者、制度化しているという意味合い
後者、制度化以外のニュアンスが含まれている
今後、英語力を採用条件にする企業は増えていく

英語力を昇格の条件にいれているか?

ファミリー 24.9 あなたの会社では昇格、昇進に英語力が関係しているか
プレジデント 13.7 TOEIC スコアを昇進・昇格の要件にしているか?
英語試験の結果を活用しているか?→33.6
プレジデントの回答の方がファミリーの回答をわずかに上回る

楽天、ユニクロ社員のホンネ プレジデントの特集より

20110418号
英語社内公用語導入への社員の反応
楽天
→英語を話せる人を多く採用してきたためそれほど驚かなかった
ユニクロ
→いかなりTOEIC受験といわれ、戸惑っている
社内の英語化の様子
楽天
→全体会議は英語、資料も英語、電光掲示板も英語、食堂のメニューも英語
CASEC
週1-2の勉強会
日本語禁止の英語ランチ
ニックネーム制
ユニクロ
本社受付は日本語使用
研修でスクリーンに映す資料は日本語、英語の両方
会話は同時通訳
英語学習の実態
楽天
→毎月オンラインでテストが義務づけ、平均チェック
ユニクロ
→オンラインの英語教材、週10時間が、ノルマ。
英語学習の苦労
楽天
→社員同士で勉強方法の共有。通勤電車でTOEIC対策
ユニクロ
→若い社員の英語力はたかいが、30代後半世代はきつそう
社員のホンネ
楽天
→ずっとこの会社にいる人間は少ない。転職のために勉強している
ユニクロ
→本当に英語が必要な店舗は5%あるかどうか、英語好きはほんの少数
↓かならずしも両社の実態を写しているとはいえないが
ある程度は映し出していると考えている
両社の実態の違い
→目標は同じだが
全般的に楽天のほうが、より熱心に社内の英語化を進めている印象
ユニクロ側は英語が仕事の現場で本当に必要かという疑問も
経営者の理念や意図と社員の考え方にギャップ
↓もうひとつ重要な点
6. 英語公用語化への疑問
楽天
→もともとベンチャーですし、大学にいかず叩き上げてきた人は大変じゃないですか。仕事はできるのに英語がネックになって、年下に追い越される人がいるようです
ユニクロ
→昔は採用が学力重視でなかったことが、ある意味ウチの強みでもあったんですが、いざ英語力となると、うーん、と首を傾げざるを得ない人が多い
両者ともにこれまでの牽引力となってきたのは、バイタリティにあふれた叩き上げではないか
両社の企業としての原点は、英語力ではなく、学歴や学力にとらわれないベンチャー精神のはず
↓それを忘れて
英語にばかりしばられていては両社のよさがうしなわれるのではないか

英語はできなくてもすばらしい人材はたくさんいるのだということに気づくべき
:賛同しない。英語ができなくて、どうしようもない人もいるということを分かっていない
英語にこどわることが、本当に会社をよくするのか、社員のためになるのか、日本のためになるのか、経営者は再考すべき

第2章 英語公用語論の歴史 公用語とはなにか?

森有礼の英語採用論

日本はあまりに貧弱だから、日本の進歩のためには、ヨーロッパ語を採用すべし
簡略英語の採用を提案
英語学習の難しさに苦言
単なる西洋かぶれではない
→英語が近代国家として確立していくのに必須であるとともに、英語学習が非常に国民にとって負担であることを自覚
日本語の不使用

志賀直哉のフランス語採用論

19460401 改造 国語問題
森有礼の英語採用論に言及、森の考えが実現していたら、日本はもっと発展していただろう
1. 森有礼の英語採用論の影響
→日本の国語は日本語ではなく、西洋語にすべきと考えていた
2. 思い切った改革の必要性
3.日本語不信論
日本語は不完全、劣っている、不十分、未熟であるという、日本語を否定し、貶める考え方

2000年の英語第二公用語論 その副産物と誤謬

ジャーナリスト 船橋洋一
あえて英語公用語論
1. 2010年までに公用語法を制定。英語を第二公用語とする
2. 2030年までに国民の30%を日英のバイリンガルにする
3. 2050年までに中央政府職員の50%を日英のバイリンガルにする
英語力=国際対話力となづけ
国民がその能力を高めることが、日本の国家情報戦略の中核である
グローバル化という大波を乗り切るには英語公用語化が絶対に必須
55まで

英語公用語論の副産物 文科省の英語中心主義の強化

2002,2003
文部科学省、英語が使える日本人育成のための戦略構想、行動計画
小学校の英語教育の必修化

英語公用語論の誤謬 公用語の意味さえあいまいな議論

英語を公用語にするというと、国民が英語を使わなくてはならないという風に理解され、英語公用語論もそのように認識されて議論が進んでいった
↓そうすると
国民が英語を使えるようにするには英語教育を改善しなければならない
英語公用語論は、英語教育改革論にすり替わった
公用語
↓広辞苑
国内で数種の言語が用いられている国家で、その国の公の目的、特に政府の媒体として用いられる言語
東京情報大学、桂敬一
公用語とは、国民にその修得が義務づけられるものではないのだ。それどころか、できるだけ広い範囲の国民に公平に行政サービスを提供するために、政府が使用を約束する言語、という意味に他ならない
↓一時的に盛り上がったが、
定義があいまいだったこともあり、この議論はたち消えた
↓この様な政府の英語中心主義の言語政策は2010にあらわれた英語社内公用語化という大きな動きへの地均しであり、序奏
:それは違うだろ

公用語とは政府・会社が使用を約束する言語

国民が使用を義務づけられる言語ではない
↓同様に
社員が使用を義務づけられる言語ではない
公用語の意味を取り違えている

第3章 英語を社内公用語にしてはいけない理由1. 日本語の衰退を招く

日本は英語偏重社会になっていふ1. 実用英語に傾斜する大学教育

受験科目に国語を入れない大学はあるが、英語を入れない大学はめったない
国語力がなくても英語力があればよいというのか?
企業の英語偏重、実用的な英語偏重が、大学の英語に大きな影響を与えている

英語社内公用語がより進んだら

大学教育を一層、実用的なもの、英語試験中心のものにしていくことは間違いない

日本は英語偏重社会になっている2. 英語教育の早期化

週に一回の外国語活動
英語教育の早期化
↓英語社内公用語化とおなじかそれ以上
日本社会に影響をあたえるのではないか
言語は次世代に使われることにより、継承されていくため
↓次の世代がつかわなくなると
その言語は死んでしまう
日本の若者、子供
→英語を話せること

カッコいい
:そんなことはないだろう、リサーチもしないで乱暴だ
幼い頃から英語に接していると、自然と英語が好きになり、英語にあこがれる
↓対照的に
日本語を軽視する
:それは教師次第だろう。国語の授業がつまらないからそうなる。

著者
筑波大学で、グローバルコミュニケーション論という講義
ウデヘ族を取材したドキュメンタリー
老夫婦と孫、コミュニケーションがとれない
老夫婦はウデヘ語をはなし、孫はロシア語を話しているから

日本は英語偏重社会になっている3. 英語力ご人生を左右する

英語力をひとつの資格と評価する社会的な傾向

様々な英語試験が増えている
英語試験はすでに19種類

[]日本語の値段
英語試験の御三家
英検
TOEFL
TOEIC
生徒や社員に団体で受けさせるケースが増えている
英語社内公用語化の影響

英語重視を打ち出す企業は増える

昇進・昇格でも英語力が重視される
人生のターニングポイントで英語

日本は英語偏重社会になっている4. 文科省、英語が使える日本人育成政策

2002,文部科学省の英語が使える日本人育成政策

日本人に求められる英語力
1. 中学・高校を卒業したら英語でコミュニケーションができる
2.大学を卒業したら仕事で英語が使える
↑学校教育も指導体制も強化しないといけないといっている
構想と計画

英語偏重は日本語の衰退を招く1. 深まる英語信仰、広がる日本語軽視

英語信仰

英語偏重

日本語軽視
:論理が乱暴だ
ユニクロや楽天は英語信仰にとりつかれている
:視野が狭すぎる

楽天・三木谷氏の英語信仰と日本語軽視

英語暴君
:すごい呼び方だな

三木谷氏の3つの発言
1.英語がしゃべれない社員は問題外です

人を推し量るにはいろんな手段があるにもかかわらず、英語ができないだけで、問題外と決めつけるのは、英語信仰、英語偏重の典型例
:これはたしかに酷い。著者の言うとおりだと思う
2.社内公用語が日本語だと、日本語がしゃべれないとハンデになるが、英語になった瞬間に全員が平等になる

英語信仰→英語偏重→日本語軽視を絵に描いたような発言

外国人の立場の発言で外国人重視の発言
:これに対してはちがうと思う。グローバル企業という視点においては、日本がその一部にすぎないと思っているだけだ。
3. いちばん重要なのは、中学校の英語の先生をみな外国人か本当にペラペラしゃべれる人に替えること。今の先生を教育しなおすのは、時間とカネのムダなので、別の科目に移ってもらったほうがいい。そうしたら絶対に変わる。日本の競争力が上がる。小学校からの英語教育と併せて、すぐにでもやるべきだ

短絡的。
英語の先生を外国人→日本人が英語が話せるように→日本の競争力が上がる
:私は一理ある発言と思う
三木谷氏の考えは
教育は経済に奉仕するもの
↓著者の勝手な解釈
:このあたりに書いてあることは、単純に著者が三木谷氏が気に入らないだけのようにしか読めない
→メモはとらないことにした
:私は言い方に問題があるだけで、三木谷氏は、世界規模の視点でビジネスを考えているだけだと思う。1つめはともかく2、3つめは一理あると考える

英語偏重は日本の衰退を招く4. 英語が上位言語、日本語が下位言語

:また、乱暴な論理。言ってる本人がそう思い込んでいるだけなのではないのか?
言語に上位も下位もない。あるのは、より世界規模で多くの地域で使われているかいないか。
言語階層化社会
上位言語になるから、公的言語になる
研究は英語でやる
英語で教えるのが基本
:こういったものは、一番、情報がはやい言語を使って勉強したほうがよいのはいうまでもないことだと私は思っている。それを否定して著者は何が言いたいのかわからない。後ろ向きすぎる。

英語偏重は日本語の衰退を招く3. 英語への乗り換えが起きる

日本のこと、日本語のことを思うより、自分の利益しか頭にない日本人は多い
:そんなことは日本人に限った話ではない

そういった人たちは、英語へと乗り換える
:そこまで、みな、英語に熱心ではないことの方が問題だ。より優秀な人がより多くの言語を操るようになるにすぎない。それは、何も悪いことではない。
世界中で英語へ乗り換えが起こっている
:なぜ、悪いことのようにいうのか?
オスロ大学、ガイエル・ウィッゲン氏
ノルウェーにいるとき、そしてノルウェー人同士では、ノルウェー語を話そう
88まで

100年後、日本人は日本語を話しているのだろうか?

日本がノルウェーのようにならないという保証はどこにもありません。
:そうなったとしても、さほどの問題を私は感じない
↓加速させるのは
日本人の英語信仰が非常に高いから
英語信仰の頂点にあるのが、英語社内公用語化
↓この実現は
英語を公的言語、上位言語に押し上げる機会を与えてしまう
:この著者は、視野が狭すぎる。グローバル社会の中で日本が取り残されるかもしれないという考えが欠落している。日本が日本だけで自活できるとでも思っているのか?
子供たちには、英語ではなく、日本語をしっかりと身につけさせなくてはいけない

親の責任
英語の重要性を認識しながらも、忘れていけないのは、日本は日本語の国だということ

日本語なくして、日本は存在しない
:極論。
100年後、日本語を話す日本人はいなくなるかもしれない
:それもいささかとして問題無いことだと私は思う。日本語が、言語競争に勝てなかったというにすぎない。たとえ、日常会話で日本語を話す人はいなくなっても文化としての日本語は残り続けるよ。

第4章 英語を社内公用語にしてはいけない理由2. 格差を生み、拡大する

日本語を基にした日本としての統一感が衰退する

英語が格差を生み出す1. 英語力が高収入、高地位につながる

大阪大学、松繁寿和
大学卒業生の英語能力と所得:日本社会にイングリッシュ・ディバイドは生じているか
2001
英語はますます社会上昇のための言語になるだろうという予測

英語が格差を生み出す2. 英語を使う人と英語を使わない人の収入格差

大阪府立大学、鹿野茂樹
20051116、朝日新聞
→英語を使う女性、収入40%高い
ただし、英語力のみが高い収入の要因であると断言することは難しい

英語力が収入を上げるさまざまな要因のうちのひとつであることは間違いない

英語が格差を生み出す3. 英語ができる階層と英語ができない階層への分裂

社会階級的な分裂を生み出す

総中流社会を平等社会と呼ぶ
→平等社会は後退
イギリスの例
言語と社会階級
中流階級以上→精密コード
労働者階級→制限コード
精密コードは、教養ある英語であるのに対して
制限コードは、教養のない英語

英語ができるということが、ひとつのライフスタイルを形成し、そして社会階級を形成する土台となっていく
↓英語ができる階層は日本にたいしての愛着を持ち続けられるのか?
日本を離れ常に海外に向かないか

日本人としての意識が薄れ日本人のまとまりが弱くなる
:もはや日本人云々言っている時代じゃないんだよ。地球人としての自分を考える時代に私たちはいる。やはり、著者は視野が狭い。

英語が格差を生み出す3. 日本語が出来ない外国人の増加

日本で英語が強調されればされるほど、外国人は日本語を学ばなくなる
:もともとそんなに日本語を学んでいる外国人はいない。
日本語は出来ないが、英語ができる外国人を雇用する傾向
:言わずもがな。何も問題のないことだ。著者は日本語を世界に波及させたいのか、日本の中で保護したいだけなのか、まったく意味がわからない。
外国人にとって日本語は非常に難しい
:日本語が曖昧を許している言語なのだから当然。言語の特性上致し方ない
グローバル30
留学生の獲得に大学も躍起
→日本語は話せなくてよい。英語ができればよい。
↓2020までに4人に1人は留学生
キャンパスや教室の雰囲気も変わる
:ネガティブな印象で書いているが、むしろいいことなのでは?

日本人学生にとってはいい迷惑
:何を言っているのか

経済界の意向が反映された計画
:国を支えているのが、その経済だということも、この著者は分からないのか?
日本語が出来ない外国人は日本の安定と秩序への脅威となる大問題
:安定と秩序を求めてるのか?この著者は。安定志向では、何も発展は生まれないよ。

英語が格差を生み出す5. 日本企業に就職出来ない日本人の増加

新卒採用で外国人優遇の機運
日本人の雇用をまず優先することが必要。
:理屈は分かるが、実際問題として海外の学生の方が優秀な現実がある。
201104 労働調査
→若い男性の就職がうまくいっていない
:一概に、外国人優遇だけが、要因ではない。今はまだ、不況下なのだから。

英語社内公用語が格差を拡大する1. 英語偏重社会から英語格差社会へ

英語能力が人々を序列するものさしとなっている
英語格差社会
英語能力の有無が人々の格差と不平等を生み出す社会
↓放置できない理由
1.公平な競争原理に基づいていない
→生まれや出身に左右
:競争に公平などない。何をいっているんだこの、著者は。先行者の利があるのは、経済の常識だ。
2.日本なのに英語という外国語が序列のものさしになっている
:さほど大きな序列のものさしになってはいないし、英語を身につけた人がより大きな成果をあげたときにより評価されるのは当然。日本にいようと世界を相手に仕事をしているなら、日本という場所にいるかどうかは問題ではない。

2. 二重言語社会が日本を分断する

二重言語社会では
言語に上下関係ができることが問題と言っている
:読む価値なし

3. 日本がガイジン天国になる

英語を使うことが正当性を帯びるようになる

外国人にとって夢のような話
:日本にとってもいいことしかない。観光客は増えるし、より優秀な人と仕事ができるようになるのだから。ここもスキップ

4. 英語特権階級の出現

英語格差のタテの構造
→英語ができる層、英語ができない層
格差と序列と不平等を生む権力に英語はなる

英語を安易に社内公用語にしてはいけない
120 まで

言語権とは何か

[]言語権の構造
→最初はカナダ、ケベック法

グローバル化が進み、多民族多言語化している現在の社会においては、異言語間の接触が増えており、それゆえに異言語間の対立や紛争が起きやすい状況
鈴木敏和氏
言語権とは、自己もしくは自己の属する言語集団が、使用したいと望む言語を使用して、社会生活を営むことを、誰からも妨げられない権利である

日本人は、日本語を使用して、社会生活を営むことを、誰からも妨げられない権利を有する
:英語化の取り組みは個人が自らしたいと思って参加する場合においてなんら支障にならない

:英語を強要されているというのは、この著者の思い込みに過ぎない
個人がやりたくないなら英語を勉強しないという選択をすればよいだけのこと。結果として格差が生まれたとしても、それは個人の責任においてである。

言語権と基本的人権、人格権、精神の自由権

言語が人間にとって重要な権利であるということを明確に決めていないという問題。
:問題では特にないと思うが。

1.基本的人権としての言語権

国際法において言語を人種や性と同じように重視しており、差別の根拠になることを禁止している

:それを英語社内公用語に無理やり結びつけている
:著者の論理は強要されているという前提がある。社員自らが自発的に英語を使おうと思うとき、なんら説得力がなくなる。

また、個人が英語を使用することを拒否したいなら、その会社を辞めればいいだけである。

2.人格権としての言語権

言語と人格は切り離すことはできない
日本人は、日本語を使うことにより自分らしくなれる
:ここには異論なし

:日本語が使えない職場だから、人格の否定というのは、論理が飛躍しすぎ

3.精神の自由権としての言語権

人間は言語を使い思考する。精神活動は言語に基づいている。

世界言語権宣言 広がる言語権意識

1996 スペイン、バルセロナ
:世界言語権宣言、これそのものの認知が低い。
ユネスコ
多言語・多文化主義を推し進める議論や宣言条約

言語権が国際的に認められるなのは時間の問題
:英語による支配、その強制など、ネガティブ発想の極み。世界共通語として、多言語・多文化を支えるツールとしての言語としてくらいにしか、企業も考えてはいない。曲解もここまでくると見事。

英語の強制はさまざまな権利を侵害する
1.英語の強制は基本的人権の侵害である

ヨーロッパでは言語権を基本的人権とみなす考え方
:先にヨーロッパ批判をしておいて、後半では参照に使っている
フィンランド、トーヴェ・カンガス氏
言語的人権
母語との関連、他言語との関連の2つに分ける
前者、
母語への愛着の権利、および母語による教育と社会的サービスを享受する権利
後者、
居住国の公用語を学ぶ権利
どんな言語を話していても世界人権宣言で謳われている権利と自由を享受する権利がある

どれも英語社内公用語を否定する材料にはならない

英語の強制は人格権の侵害である

母語は人の存在、そして人格と深く結びついている
:こういった考え方は特におかしいと思わない
存在論的言語観
↓反論
道具的言語観
→ことばは道具に過ぎない
:母語は存在感的言語観で考えればよく、公用語は道具的言語観で考えればよいだけではないか

他国人は他国人の母語を存在感的言語観で見ているのでそれを理解、尊重すればよいことだ。

3.英語の強制は精神の自由権の侵害である

自由権
精神の自由権、経済的自由権、身体的自由権
精神的自由権
思想及び良心の自由、信教の自由、表現の自由、学問の自由

英語の強制は自己決定権の侵害である

言語権とは、使用したいと望む言語を使用することを妨げられない権利

使用したい言語を決める権利
その選んだ言語を使う権利
:その選択の結果の責任は自己責任だということ
英語社内公用語は、個人が使用したい言語を選ぶ権利を侵害していると言っているが、個人が使いたくて使うことにおいてなんの効果もなくなる
社員たちが日本語を使いたい希望が大きければ、経営者は英語を強制することは不可能
:それは、そうだろうが、英語社内公用語を謳う会社にそんな社員は大勢をしめないと思われる

法律の専門家も疑問視する英語社内公用語

朝日新聞
20110221 働く人の法律相談
英語社内公用語という業務命令が正当化されるのに必要な点を指摘
1.業務上の必要性がどれだけあるか
2.それによって社員が被る不利益はどの程度なのか

それまで日本語で十分足りていた仕事が英語でなければ支障をきたすとは考えがたい
:これはもっとも。だが、最初の公用語の定義を守っている企業ならば、支障はない。すべての人が英語を強要しているわけではないのだから。ここでも強要されているということが前提になる。

言語は単なる道具ではなく、権利である

英語社内公用語などと軽々しく決めてしまうこと自体が言語がどんなものであるかまったくわかっていないということ

言語は貴重な権利であり人権
↓それがわかっていれば
英語の強制、日本語の使用禁止などという野蛮な提案はしない
:明らかに楽天だけをターゲットに批判しているように聞こえる。本著を読んでいて、そういうことを言っているのは楽天だけのように思える。日産、ユニクロはそのようなことは言っていない。

第6章 もしあなたの会社が英語を社内公用語にしたらどうすべきか?

対応策は3つ
順応、抵抗、分離

積極的順応

英語を率先して学び使う対応策
本当に英語ができるかの目安
↓著者の意見
フォーマルな英文の手紙がかけるかどうか
→eメールではなく、フォーマルな手紙
:そこまでできれば、たいしたものだが、やりたいことを伝え理解することができれば、まずは当面の仕事には困らない。さらに一歩進むためにはもちろんフォーマルな手紙がかけるところまでいけるといいだろう。
英語ができる人は、仕事もできなければならない。
:当たり前のこと。そもそも、仕事ができるかどうかわからない人をできるかどうか判断するための手段として英語力を企業は聞いている。英語だけしかできない人など企業には必要ない。
日本らしさとアメリカらしさをよい点、悪い点を公平に見られる力をもっている必要もある
アメリカ人の思考パターンを熟知する
異文化理解能力
異文化間調整能力
英語を話せるだけでは不十分
:言われるまでもない

消極的順応

英語以外で頑張る
:業種によっては認められるだろうが。自らの選択の幅は狭めることになる選択。
比較優位の論理

闘争的抵抗

会社に対して明確に反対を表明し、英語社内公用語案を廃止、または修正することを目標に行動する
:こんなことをしてる暇があるなら辞めることを私なら薦める
1.抗議文の提出
2.反対集会の開催
3.デモ行進
4.裁判闘争

平和的抵抗

何か理由をつけて自分だけ特別扱いしてもらい、英語を使わずに済ませようとすること
:姑息だ、人間としてこんな後ろ向きな類の人間を尊敬できない
1. 直属上司との交渉
2. 日本語の積極的使用
3. 沈黙

分離

短期的、あるいは長期的に職場から離れること
休暇、休職、退職、転職
建設的休養充電期間
リフレッシュ

英語社内公用語が日本のためになるかを考えよ

公共哲学、公共政策の視点から考える
ユニクロや楽天が英語社内公用語の導入を決めたのは、会社のためであり、日本のためではない
:一概には言えないだろ。英語をここまで圧迫だの強制だのとネガティブに解釈できることがある意味ひどい時代錯誤だと私は思う。
英語社内公用語は本当に日本と日本語と日本文化と日本人のために貢献するのか
:私はする部分は多分にあると考える。例えば、環境立国。英語ができる人が増えれば、より日本の魅力を伝えられるようになる。日本をさまざまな国の人が好きになってくれる助けとなる

第7章 日本語優先主義のすすめ 英語より日本語を

言語政策の方針について
→英語よりも日本語を優先、日本語優先主義

日本語優先主義の5つの主張

:メモのみ
1. 日本人の英語信仰が日本語を滅ぼす
2. 日本人とは日本語人である
3. 日本語は日本の基盤であり共有財産である
4. 国際主義ではなく日本回帰を
:具体性がない。日本の中に閉じこもり、老衰していきたいならそうすればいい。今更、鎖国でもするつもりか
5. 世界の平和のために
:日本語はとても平和的な言語だから、といい、それは和の精神を体現するからというが、まったく根拠不足。
現代日本人は日本はもちろんのこと日本語も大切にしていません
:それは、別に日本語に限ったことではない。英語でもブッチャードEnglishといったわかものの英語に対する不平はあるのだ。言語そのものが抱える問題といえる。
国際主義
日本ではなく外国、特に欧米を理想として、それに近づこうとすること
:それは明治から戦後、経済復興期の話。今は一概には言えない。
[]日本語が滅びるとき 英語世紀の中で

英語優先から日本語優先に軌道修正せよ

英語優先主義→経済至上主義
:短絡的すぎる結びつけ
日本語の発展が日本の利益だけでなく、世界の平和にも役立つと説いている

著者の言い分を真に受けるならそれは結局、日本以外の国にとっては英語が日本語に置き換わるだけの話になり、日本語を上位言語などということを考える人をうみだすことにはならないのか?
:自分のことしか考えていないのはどっちなのか

終章 経済至上主義から文化至上主義へ

経済至上主義 戦後パラダイムの終焉

経済至上主義、無限の成長を求めている
:当たり前
↓具現化
経済のグローバル化
震災後の私たちはもはや無限の成長を望んでいないはずといったことを言っている
金儲けより、地域共同体の大切さ
高度経済成長より、安全で安心な暮らし

:理想論で言えば、経済の成熟を迎えた日本がとるべき態度は、発展途上国の発展の補助である。そのためには、グローバルにビジネスを展開する必要がある。日本に巣ごもりして、自分たちの安心や安全を優先するような国をどこの国が相手にするというのか。

文化至上主義 震災後の新しいパラダイム


震災、国難であると同時に契機
文化を支える3つの要素 上から重要だと。
1.自然
2.歴史
3.人間
:まったく具体的ではない。

文化至上主義の目標 環境保護と伝統文化保存

1. 日本の自然を守る
2. 日本型エコロジー精神の復活
→自然を慈しむ精神
3. 日本文化への回帰 日本語本位の国づくり
→歴史を重んじる。伝統を重んじる。

品格ある日本人の育成 真善美の体現

真善美
真→真実の追求
善→善を行うこと
美→理想を追求すること

日本からの発信 日本型ソフトパワーの輸出

もったいないという言葉
:→とっくの昔に輸出されている

むしろ今は日本人が見失っている
日本人が自分たちの伝統文化に誇りを持つこと、それが最も必要なこと。
:分かり切っていること。だからこそ、具体的にどうするべきかが大事。

あとがき

言語は道具という考えでは、言語の本質は分からない
:ここには同意。しかし、本著の論理はあまりにも稚拙。
本著、
英語を権力ととらえて議論を進めた
→他の言語を圧迫
→格差を生み出す
→言語権を侵害
↑優勢言語を権力として考える
社会言語学
読了

Appendix.

*1:このブログを書く直近で私が読んだもの