巷が個人価値売買VALU(以降、VALUと表記する)の話題で盛り上がっている。ただ盛り上がっているとはいってもいい意味に盛り上がっているのではなくいわゆる否定的な意味での炎上で盛り上がっている。
著名YouTuberのヒカルさん(以降、ヒカルさんと表記する)という方が株取引でいうところのインサイダー取引まがいのことをして売り逃げしようとしたという(結局、その後、当然ながら逃げることはできず、当該YouTuberが自身のVA(VALU上における模擬株式の単位?)を買い戻すという対応をしたらしい)。
わたしはVALUは誰でも自分自身の市場における価値をVALU独自の評価システムで査定し、それに対してVALU独自の模擬株式を発行し、それをVALUのユーザが購入して、個人を支援するといったようなものなのかなという程度の理解だったわけだが、そもそも個人の市場における価値を査定するというところからして、どれだけ信憑性のある査定が行われるのか疑問であるし、なにより自分を高く評価してもらい自分の模擬株式(模擬株式のことをVALU、模擬株式の単位をVAと呼ぶらしいが実際にやってみてはいないので今ひとつ要領を得ない)を買ってもらったところで、最悪な話、何も出資してくれた人間に対して報いることがないのであれば、そんな茶番はないであろうと手を出さないことにしていた。
個人価値売買VALU、Youtuber「売り逃げ」騒動の私的雑感。
雑記であるのでバラバラと思いついたままに書いていく。VALUに関していい人柱記事であるなと思ったのは、「「VALU」やめました やめるのは、とても大変でした (外部リンク:参照*1))」というITmediaの記事だった。「VALUは「自分自身をお金に換算し、切り売りする」サービス」であり「小心者の筆者には、「お金をもらった」という事実が、日に日に重くのしかかってきた」というのは至極真っ当な主張である。「自社株買い」で「上場廃止」させた艱難辛苦があとは綴られているが、これを読んでみて新規にVALUをやってみようという気持ちは少なくともわたしには起きなかった。
なので、この件と前後して著名ブロガーのイケダハヤトさんなりがVALUはいいぞといった煽り記事を書いたりしていたが( google:イケダハヤト VALU などでGoogle検索するとそれなりにヒットする)、わたしはVALUに対して大きな関心をしめさなかった。唯一、気に留め始めたのは、むしろビットコインの方だった。上述のVALUをやめるのに四苦八苦したという記事も結局はビットコイン取得と決済に最後は苦労していたというのもあったし、なにより「VALUは、ビットコイン・OpenAssetプロトコルを使うことで実現しました。これにより簡単・安全にVALUのやりとりをインターネット上で実現することができます。取引にはビットコイン(BTC)を用い、トークンの発行にはOpenAssetプロトコルを利用します。 難しいことを気にせず、シームレスに参加できます。(引用元: VALU | だれでも、株式会社のように、あなたの価値をトレード。)」とあるとおり、VALUはビットコインと無関係ではなかったからだ。VALUの説明に関して言えばとてもこれがわかりやすい説明であるとは言い難いというかむしろ説明する気がないと言えなくもないところがあり、この点においてもわたしは当該サービスをあまり好感できないでいる。
以降、ヒカルさんのVALU売り逃げ事案で、今回わたしが拝読して参考になったブログエントリのリンクを差し込みつつの雑感を少々書く。
はてなブックマーク - ヤーマンの株日記 : 本日のVALU一連の流れ。
上述のヤーマンさんという方のブログが一連の騒動をいち早くまとめていて分かりやすかったのだが、なぜか記事を削除してしまわれたようなのではてなブックマークページのリンクを貼っておいた(ヒカルさんのファンと称する人たちからコメントが殺到したので消したといったっことをツイートされていた。とてもわかりやすいまとめだったので残念である)。
YouTuberヒカル(と禁断ボーイズいっくん)のVALUに手を出して14万の損失を出した話 - できれば遊んで暮らしたい
実際に被害に遭われた方の手記という意味で大変興味深かったのが上記のブログエントリ。最後に「もう私は明日からUUUM所属のYouTuberしか見ません。」とおっしゃっているのがあまり懲りてないのではないかということを匂わせ、気がかりではないこともない( …しかしネタとして書いているのかもしれない)。
VALUであったインサイダーもどきが株式市場ではアウト中のアウトなので、何故アウトなのかをなるべく簡単に説明する: 不倒城
要約という意味では一番わかりやすくまとめてくださっていたのが、不倒城のしんざきさんのエントリ。「今回の件と同じようなことが仮に株式市場で行われた場合、少なくとも「風説の流布」と「インサイダー取引」の二つの禁止行為にはほぼ確実に引っかかります。」というご意見にはわたしも激しく同意する。少し想像力が働けば、ヒカルさんが行ったようなことは現状は違法ではなくとも、自分自身の市場における評判を下げることになって「逃げる」ことはできなくなることくらいは想像がつきそうなものだと思うのだが、もしそんなわずかの想像力も働かない人物なのだとしたらヒカルさんと今回の件にからんだ関係者たちに対しては残念だなとしかわたしは思わない。
ヒカル氏、ラファエル氏、いっくん氏(禁断ボーイズ)及び井川氏に関する対応について - VALU ヘルプセンター
個人的に衝撃的だったのは上記のリンクがVALU株式会社の公式文書だったことだ。一応、企業の体をなしているからには広報ないし法務の担当者くらいはいそうなものだが、それだけVALU株式会社が企業としての体をなし得てないということを露見することになったものなのかな程度に感想を留めおくことにしておきたい。
個人価値売買VALU、著名ユーチューバ-「売り逃げ」騒動 :日本経済新聞
個人的にこの騒動に一端のとどめの一撃を刺したのは日本経済新聞の上記の記事だったのではないかなと思っている。ネット炎上が全国紙にまでとりあげられるようになると何かしらの責任ある対処をしなければ「逃げる」ことはまかりならなくなると思っているからだ。
時系列的には前後するかもしれないが、結局ヒカルさんが売り逃げしようとしたVALUを買い戻しする形で終息ということになるようではあるが、ここから先については現時点でわたし自身は追いかけられていない。
少なくとも個人的にはVALUはVALUを発行する側にも発行されたVALUを買う側にも回らないつもりだ。なによりいまだもってわからないのが、VALUよりも既存のクラウドファンディングのほうが全然よいのではないか?ということだ。
VALU の騒動で個人的に関心が高まったのはビットコイン。
雑感はこれをもって最後にしようと思うが、中途に書いたとおり、VALUの騒動があって、個人的に一番関心が高まったのはむしろビットコインである。
ビットコインはビットコインでマウント・ゴックスの件であったり、マネーロンダリングの温床というネガティブな側面ばかりが目についてあまり積極的に使ってみたいとか、投資してみたいとか思わなかったのであるが、最低限「使えるようにしておく」ことはできていたほうがいいかなと思うようになった。
そういったわけで拙い内容にはなるかもしれないが、ビットコインについて調べたことなどを織りを見てみて小出しのブログエントリを書くことがあるかもしれない。
(了:アイキャッチはお金につられて罠にかかる人のイラスト(ボロボロ):お題「最近気になったニュース」)。
*1:「VALU」やめました やめるのは、とても大変でした