#garagekidztweetz

id:garage-kid@76whizkidz のライフログ・ブログ!

”リバース・イノベーション”の読書メモ

スポンサーリンク

読書メモを公開していこう 2013 (第一弾) - #garagekidztweetz の2冊めは”リバース・イノベーション”です。 ただ単純に後進国から先進国へのイノベーションの逆輸入を説くだけでなく、具体例の豊富な読む価値の高い一冊でした。

日本語版への序文

時代は変わった
途上国はもはや辺境の地ではなく、経済成長の中心である
今後20年にわたって世界経済の成長の三分の二以上が途上国からもたらされると見込まれている
高齢化に悩む先進国、したがって経済を活性化させるためには、今一度、強い輸出部門を築くことにある
→途上国にたいして
新しいルールに従う必要がある
新興国は違う世界、大幅に。最も顕著なのは、顧客の数が遙かに多く、一人一人が使える額が遙かに少ない★★
既存製品を取り出して少しカスタマイズする程度では決して勝てない

途上国で採用されたイノベーションをすべて「リバース・イノベーション」と呼ぶ
最も興味深い特徴、途上国で生まれながらも、しばしば富裕国に「逆流」していくこと
なぜ起こるか?事例を通して解説

ソーラーランタン、小型超音波診断装置
ーiii

はじめに ー可能性にかける

本書、うれしい三つの偶然の産物
一冊の本との思いがけない出会い
思いがけないパートナーとの出会い
思いがけない仕事

リバース・イノベーション研究所としてのGE

GE ヘルスケアとエネルギーからの事業コンサルタント依頼
リバース・イノベーションの研究、新しい分野、ベストプラクティスというよりも、新しい試み

特別な謝辞

第一部リバース・イノベーションへの旅

第一章 未来は自国から遠く離れた所にある

➤ 川下から川上へと向かって逆流する

ゲータレード、スポーツドリンクの例 ー5

➤リバース・イノベーションは途上国で生まれる

ノーベル賞の数などからみると発明が生まれるのは富裕国からだと思われる
また、途上国ではイノベーションなど必要ない、懐に余裕ができたらただ輸入したほうが合理的と思いがち
↓だが、
富裕国で有効なものが自動的に、顧客ニーズが全く異なる新興国市場でも幅広く受け入れられるわけではない
*ウォルマートの試み
どうして金持ちが貧困者向けの製品を望むのか?

こじんまりとしたウォルマートストア
→その逆輸入

*インドの病院が富裕国に進出する理由
ナーラーヤナ・フリーダヤーラヤ病院
料金が低いのに利益率が高い
安い人件費だけでは説明が付かない
工業分野でお馴染みのコンセプトをいくつか取り入れてきた
→標準化、労働者の専門化、規模の経済、ライン生産方式★★

手術一回あたりのコストを下げている★
高価な医療機器をアメリカの5倍使い、医師がこなす手術数は2-3倍

➤ 未来は遠く離れた国にある

リバース・イノベーションは選択肢というよりも、酸素のように必要不可欠なもの

➤ なぜ新興国市場では一からはじめなければならないのか

途上国の経済は大きく、とてつもないスピードで成長
その数字 ー13
GDP 成長率、一人当たりGDP
言いたいことは簡単→途上国は富裕国と異なっているということ
富裕国には毎日大金を費やす人々がごく少数いる
途上国には毎日少額を費やす人々が大勢いる

ビジネス上の課題が全く異なるということ
*本書の目的と構成について
多国籍企業が強さを維持し、未来を形づくっていくための要件について取り上げていく
途上国で解決すべき課題について知ることができる

リバース・イノベーションの基礎となる理論と教訓の把握
成功するリバース・イノベーションの実行方法について実用的なガイダンスを提供する

➤ column 新興国の巨人が攻めてきた

*マヒンドラ・アンド・マヒンドラのアメリカ進出
母国インドの企業
トラクター
「手頃な価格」と「燃費のよさ」
アメリカで個人的なサービスを通じてブランドを浸透させていくことにした
*ハイタッチ戦略でニッチ市場に入り込む
ふれあいを大切にした戦略 ー19

第二章 リバース・イノベーションの五つの道

➤ 成功体験を捨てる

リバースイノベーションの恩恵を最大限に引き出すためには、富裕国と貧困国とのニーズの違いをより深く理解する必要がある
経済の発展の道筋に関する直感的な思い込みも、排除しなくてはならない

インドの発展とアメリカの発展の違いを比べる ー22
貧困国が、富裕国がかつて歩んだ道をそっくりそのまま歩むわけではない
インド、従来の課題には新しい技術で対処できる
基本ニーズは似ていても、インフラ、地域、文化、言語、政府などまるで異なる状況下でそれに対処しなくてはならない
→この違いはけた違いに大きい

リバースイノベーションは忘れることから始める
謙虚さと好奇心をもって始める

➤ 五つのニーズのギャップに着目する

五つのギャップとは?
性能、インフラ、持続可能性、規制、そして好み★★
*性能のギャップ
ベスト、ベター、グッドの典型的な製品
グッドは80%の価格で80%の性能
ベターは90%の価格で90%の性能
ベストは100%の価格で100%の性能
↓途上国のニーズにてっとりばやく対応しようとすると
70%の製品を70%の価格で提供することになる
→しかし、
超割安なのに、そこそこの性能を持つものを求める
つまり、15%の価格で50%の性能を求めるということ★★
ノキアの例 ー25
→インドの農村に先進的な通信のインフラを作った

*インフラのギャップ
物理的基盤、社会基盤、産業基盤 ー26
インフラの不足は、実はイノベーションのゲームにおいてメリットになる可能性を秘めている
途上国においては過去の遺産に邪魔されることなく、画期的な技術へと一足飛びに進展する柔軟性がある

*持続可能性のギャップ
大気質の問題に着目 ー28
貧困国が経済成長を持続するための唯一の方法は「環境に優しい」ソリューションを用いること

*規制のギャップ
規制は両刃の剣
秩序をもたらす一方で、複雑すぎて時代遅れになったり、現状維持をもとめる既得権者が掌握したりすると、イノベーションに対する無用の障害になりかねない
→規制の制約を受けない途上国のほうがより早くイノベーションが進展する可能性がある

ダイアグノスティック・フォー・オール
切手サイズの診断幼稚園検査紙

*好みのギャップ
ペプシコの例 ー30

↓五つのギャップが示唆
途上国の消費者は、富裕国が未だに解決していない問題を抱えている

なぜリバースイノベーションを白紙の状態から始めるべきかの表 ー31★★ →このまとめはわかりやすい

➤ 川上へとさかのぼる二つのパターン

ここまでのメッセージ
1. 途上国にはとてつもない大きなチャンスがある
2. 途上国は(富裕国とは)異なる。些細な違いではなく、大きな違いである
3. イノベーションを行う企業が勝ち、輸出する企業は負ける

海外での失敗は自国での大きな損失にまで発展する可能性がある
→リバースイノベーションは途上国で最初に採用されるが、それは途上国にとどまらないから

ふたつの異なるメカニズム
富裕国でリバースイノベーションが魅力をもつのは、
今日の取り残された市場
あるいは、明日の主流市場のいずれか

*今日の取り残された市場
富裕国で無視されたりサービスが不十分だったりする市場
そこでイノベーションが起きなかったのは、必要ないからではなく、市場が小さすぎて多額のイノベーション投資を正当化できなかったから
途上国では魅力になる

低価格自動車の例 ー34
タタグループの話
銀行の例 ー35
マイクロファイナンス

*明日の主流市場
リバースイノベーションが市場を支配するとき、目を閉じている既存企業には脅威となる
リバースイノベーションはかならずしも主流市場に向かうとは限らないが、ニーズのギャップが徐々に狭まっていく傾向がみられるときにはいつでも機は熟しているといえる
途上国で新製品が生まれてから、富裕国で堅調な需要が生まれるまでの時間差こそが、まさに既存企業にとってリバースイノベーションが非常に危険な理由である

➤ column 富裕国の取り残された市場へ逆流したGEの超音波診断装置

*中国で中国人のために生まれたイノベーションが富裕国市場への道をどのように切り拓いていったか
聴診器がいらなくなった
超音波を用いた携帯サイズの画像形成装置、ヴィースキャン
携帯型、電池式
GE ヘルスケア、出自
従来の低価格帯製品の約15%の価格、しかし、15%以上の性能
GE ヘルスケアはなぜそこに行き着いたか? ー39
グローカリゼーションを放棄し、
・超低価格
・携帯性
・使いやすさ
のような独特の市場ニーズに対抗するにはリバースイノベーションしかないと思ったから

業績面だけではなく、この技術に取り組んだチームメンバーは改善したという達成感を味わった

*富裕国の取り残された市場で見つけた機会
さらに続き
この新しい装置の販売機会が富裕国で見つかった
取り残された市場にあった
・救護員
・救急救命室
・手術室
ニーズのギャップが解消に向かっていったケース

➤ ギャップの解消傾向を見逃してはならない

五つのギャップに当てはめて考えてみる
*性能のみギャップの解消
新しい技術は常に恐るべき速度で進歩している
→性能のギャップを解消させる方向に働く
ネットブックの例 ー43
MIT 、クアンタ(台湾)、アスース

*インフラのギャップの解消
エネルギー産業をみてみる
貧困国は一から作れる
富裕国は既存のインフラに置き換えるのではなく、それを補うことを希望する
このギャップの解消傾向とは、富裕国のインフラが徐々に古くなっていくこと
→既存の資産を更新する時期がくれば、最終的にイノベーションを採用する
インド、中国の例 ー45
エネルギー源に占める自然エネルギーの割合
電気自動車の需要

*持続可能性のギャップの解消
貧困国は明日の新しい環境に優しい産業にむけたインキュベーターとなる可能性がある
(厳しい環境問題にいくつか直面しているため)

水不足の問題

*規制のギャップの解消
政府の承認が迅速に得られ、既得権者の抵抗を最小限におさえられれば、途上国は先進国を一気に飛び越えるようになる

*好みのギャップの解消
自然食がイギリスで一番人気となったりする
富裕国の顧客は、貧困国の好みの影響を受ける

五つのギャップの解消傾向のまとめ ー表 ー49★★
:これもわかりやすい表

1. リバースイノベーションは白紙の状態から始めるイノベーションである
2. 五つのギャップは貧困国と富裕国のニーズを分けるもの
3. 富裕国の取り残された市場に進出することにより、あるいは、富裕国と途上国のニーズのギャップがなくなっていくまでの時間差を用いて主流市場まで到達することにより、リバースイノベーションは川上へむかって逆流する
ー50

第三章 マインドセットを転換する

➤ 支配的論理の呪縛

先進国の多国籍企業は新興国市場で苦戦
なぜか?
→過去に捕らわれているため、どうしても偏った考え方をしてしまうからである

本書では支配的論理を、「企業の主要な意志決定者の考え方を支配するさまざまな正統性」と定義している★★
堅く守られ、広く共有され、過去の振る舞いや経験に根ざしている
しかし、リバースイノベーションの規律を熟知する上で、過去にとらわれることは唯一最大の弊害★★

➤ 時代遅れの思考が障壁となる

戦略的な議論の中で五つのニーズのギャップとその解消傾向というテーマを取り上げていこうとすると、組織内に埋め込まれている前提、罠、不安が障害となるので最初にそれらを克服しておかなければならない
第一のステップ
こうした有害な前提、罠、不安の存在を認めることが必要★★

五つのレベルの思考 ー55★★
レベル1の思考→重要なのは富裕国だけ
レベル2の思考→貧困国では経済ピラミッドの最上位に我が社の製品やサービスを販売する機会がある
レベル3の思考→新興国市場の顧客は富裕国の顧客と異なるニーズを持っている
レベル4の思考→新興国と富裕国の顧客は全く異なるニーズをもっている
レベル5の思考→問題はローカルよりグローバルだ
↓それぞれ詳細
*レベル1の思考 ー貧困国なんて関係ない
成長をもとめるグローバル企業は成長している場所、つまり新興国にいかなければならない

*レベル2の思考 ーただ静観しておこう
新興国は先進国と同じレールを辿って成長するという思い込みをしている
→途上国は自国に近づいてくるので待っていればよいという楽観
怠惰であり、妄想的な考え方である★★

*レベル3の思考 ーカスタマイズで十分だ
一言でいえば、グローカリゼーション
グローバルな規模とローカルな対応の中間で妥協することを指す★★
その欠陥とは?
富裕国と貧困国を同列に扱うこと
自国で成功したイノベーションを持ち出して海外で販売する
国境を越えたマイナーチェンジには対応できるが、富裕国と貧困国のギャップを解消するまでには至らない

60 ーグローカリゼーションの支配的論理とリバースイノベーション戦略の実践 ★★
:分かりやすい表
チョットクールの例 ー61

グローカリゼーションは無効になったわけではない
富裕国間では効果的
しかし、進行市場の場合は新の成長機会が大衆市場にあるという話

*レベル4の思考 ー勝つためにはイノベーションが必要だ
富裕国と貧困国とのギャップを埋めるためにはイノベーションが必要で、それも白紙の状態からイノベーションを行わなければならないことを知っている★★
次の質問に改めて答えていく必要がある
・ターゲット顧客はだれか?
・その顧客にどのような価値を届けたいのか?
・その価値を届けるために用いるバリューチェーンはどのような構造か?

グローカリゼーションはプロダクトありきの「プロダクト・アウト」にたいして、リバースイノベーションでは、途上国市場に特有の顧客ニーズから始めて、必要なソリューションを編み出し、それを市場へと戻す「マーケット・バック」のやり方が必要となる
→市場調査から始まる
想定しうる思考の罠、三つ
罠1. 貧困国の顧客は一人当たりの国民所得が低いので、古い技術に基づいた安い製品があれば、そのニーズは最もよく満たされる
→貧困国市場は斜陽技術のゴミ捨て場ではない、15%の価格で50%の性能をだすためには、全く新しい技術が必要になる★★
罠2. リバースイノベーションでは常に、可能な限り最低価格を目指す必要がある
→必ずしもそうではない。
罠3. リバースイノベーションは製品のイノベーションである
→ただ製品設計をいじるだけではなく、はるかに広範にわたっている。リバースイノベーションの多くはビジネスモデルのイノベーションである
新しいプロセス、新しい協力関係、さらにはバリューチェーンの再構成が必要かもしれない
ー66
インド、バーティ・エアテルの例

リバースイノベーションには失敗の可能性があることは否定しないが、誇張されている可能性もある
それを助長する不安↓
不安1. 私たちが儲けを出すには、利益率が低すぎる
→リバースイノベーションとは、価値の届け方とコスト構造の両面を再設計することを意味するため、必ずしも利益率が下がるということにはならない。従来品を上回る利益率をだすことも不可能ではない
インド、アラヴィント眼科の例 ー68

不安2. 低価格市場で競争すれば、自社の高級ブランドを危険にさらすか、自社の高級製品やサービスの売上に対してカニバレーションが起こる
危険性は現実のものだが、管理ができること
リバースイノベーションにおいては、複数の価格帯での競争が世界市場で戦うために必要不可欠になる

不安3. 当社は技術リーダーとして優れている。だから超低価格とは相容れない
→間違い。
GE ヘルスケアの例 ー69

*レベル5の思考 ー問題はローカルではなく、世界である
リバースイノベーションは白紙から望むことを知っている上に何もしないことが高くつくことを知っている
富裕国の多国籍企業がリバースイノベーションを無視すれば新興国の巨人の成長を後押しすることになる
インドのタタ、インフォシス、ウィプロなどなど ー71

➤ リバース・イノベーションの三つのステップ

手始めに、支配的論理、隠された前提、罠、不安を認める
次に、過去の成功から生じた正統性という、息の詰まりそうな支配力を弱める行動をとるとよい
(ただし、その便益も最大限利用しなければならない)

グローカリゼーションのマインドセットを破壊するのではなく、リバースイノベーションでそれを強化することが目的である
それぞれにふさわしい場所、便益、限界がある
グローカリゼーションを実践する能力はすでに多国籍企業には確立されている

リバースイノベーションを生み出すための三つのステップ
1. 組織の重心を新興国市場にうつさなければならない
2. 新興国市場の知識と専門性を深めなければならない
3. 個人としてはっきりと目に見える象徴的な行動をとることで雰囲気を変えなければならない

*新興国に重心を移す ー74
人材、権限、資金、注意を成長している場所に移すことをいう★★
**重要な意志決定者を配置する
**監督する経営幹部のポストを新設し、個別の損益計算書で業績を測定する
**新興国市場で研究開発費を増やし、ローカルのニーズに集中させる
**低コストの実験を奨励する
**世界的な成長とイノベーションのためのインキュベーション・センターになりうるという考え方を擁護する

*新興国市場に関する知見や専門性を高める
グローカリゼーションのマインドセットを捨てる必要がある
新興国市場からもたらされる潜在的機会に注意を向けなければならない

**取締役会の人員構成を変えて、新興国市場で経験を積んだリーダーを加える
**社員に途上国で複数ねんけどの駐在経験を積ませる
**富裕国の経営幹部に、貧困国で短期間の集中研修を受けさせる
**富裕国と途上国の経営幹部の間のつながりを強める
**途上国で取締役会、経営幹部の会議、幹部向け教育プログラムを行う

*はっきりと目立つ個人的な行動で雰囲気を変える
人々は目に見えないものやリーダーが言わないことを、信じようとはしない
新興国市場で勝つことが重要だとする雰囲気作りをしなくてはならない

idea
1. 新興国市場で勝つためには白紙からのイノベーションが必要。問題はローカルではなくグローバルだということをリーダーに認めさせる
2. 成長している場所である途上国に人材、権限、資金を移す
3. リバースイノベーションのマインドセットを全社的に養う
4. 途上国では独自の損益計算書、成長性関連の指標を重視した業績評価を設ける
ー81

第四章 マネジメント・モデルを変えよ

特定のプロジェクトをマネジメントするためのアドバイス

➤ 支配的論理を覆す

さらに攻撃的な内容になる
特定のリバースイノベーションの取り組みを行う場合には、プロジェクト・チームが社内の小さな組織単位として、直ちに行動面で飛躍的なら変化を起こす必要がある

*優れた提案に立ちはだかる障壁
グローカリゼーションにひたむきに取り組んでいる組織は、リバースイノベーションにとって厄介な障壁となる
→提供しようとしている製品と、顧客ニーズとの間にあるギャップに悩まされる

以下、GEヘルスケアのインド事業の例
**担当業務を超えた取り組み
**上級幹部に関心をもってもらう
**自分の主張を手短に論理的に説明する
**「小さな」機会に対する偏見を克服する
**より幅広い支持を取り付ける
**投資予算を組む
市場調査を行い、キャッシュフロー予測をつけて、そのプロジェクトが社内の資本コストの条件を満たし、プラスの正味現在価値を生むことを証明するための正式な投資予算を組まなければならない
→言うまでもなく、まだ存在していない製品について確定的なことなど言えるわけはない

**提案が承認された後も戦い続ける


学びは何か?
厳格で統制のとれたかたちでグローカリゼーションに集中することは、リバースイノベーションにとって克服しがたい障壁となる。さらにリバースイノベーションにとっての最大のハードルは科学的なものでも、技術面でも、予算でもない。経営者や組織である。★★

➤ 障壁をいかにして取り払うか

組織上の障壁を取り払うための方法、グローカリゼーションのためにではなく、リバースイノベーションのための特別な組織単位をつくることである★★
→ローカルグロースチーム、LGTと呼ぶことにする
小さな機能横断型のチーム
三つの基本原則
1. 白紙の状態で組織を設計しなくてはならない
2. グローバル組織と関係を持ち、その資源を活用できるようにしなければならない
3. 統制のとれたやり方で実験を行わなければならない

LGT とグローバル組織との間で対立が起こることは当たり前と考える
それは想定内

*グローカリゼーションと対立するものではない
グローカリゼーションは依然として有力な戦略であり続ける
LGT を構築するときの第一のルールは既存の能力に害を及ぼさないこと
グローカリゼーションとリバースイノベーションはどちらか一方ではなく、両方を成功させなければならない

➤ 柔軟な発想でチームをつくる

イノベーションは本来、ニーズ評価とそのソリューションの開発がすべて
複雑なのは、新興国のニーズやソリューションが富裕国でのそれと大幅に異なること
白紙の状態の思考は、ある朝目覚めて突然切り替わるものではない
→そのためにまっさらな状態で組織を設計することが必要
LGT には、新興国市場のニーズをはじめとする理解する人々や、新興国市場向けのソリューションを提供できる人々を参加させなければならない
LGT の構築は、チームメンバーの選定から始まる
→すぐに声をかけやすい人間に声をかけるのは間違っている
多くの場合、これまで社内では必要とされてこなかったスキルをもった人が必要になる
→そのスキルを確認し、社内外からできるだけ最高のスキルをもった人材をつれてくること
↓それができたらLGTを拡大していく

*外部人材が新しい風を吹き込む
白紙の状態で取り組むのに有効

定評ある組織では、批判的にいえば、偽りの階層構造が存在する可能性がある
:実際にいくらでもある、既存の組織ならば

新興メーカーにとってバッテリーはコモディティ化した部品ではなく、コア技術である

*GEヘルスケアのローカルグロースチーム
ー99
独立した存在、権限移譲され、現地企業のように振る舞うことができた

➤ グローバルの経営資源を活用する

LGT は新興国の企業よりもはるかに強力でなければならない
適切に設立されれば、グローバルの経営資源や能力を活用できる可能性があるから
以下のような、ローカルの競合との間にある比較優位を考慮する
・強い緊迫感がある。失敗したら一巻の終わり
・ローカル顧客のニーズについて直感的に理解している
・多国籍企業の現地法人より機敏
・若い、守るべき遺産、根強いマインドセット、克服すべき正統性はない
・すべての経営資源をローカルに使える
・忍耐強い投資家
・地元企業として好ましいイメージがある
・重要な地元関係者とのコネ
・高い志を抱いている

対する多国籍企業は、技術、世界的なブランド、世界中の拠点、既存顧客との関係、流通チャネル、供給ネットワーク、製造能力などの親会社の巨大な資源をLGTが活用できるようにするだけでローカルな競合の大きな長所を相殺してしまう可能性がある

より強い、打ち消しあう力が混在するとき、対立の解決策はLGTを支持することいがいにはない

*グローバル組織との間で価値ある関係を結ぶ
*LGTの資源を保護する
資本面の長期的な予算に影響力をもつ経営幹部が統括しない限り、LGTは短期的な優先課題との競合に負けてしまう可能性がある

*グローバル組織に経営資源を追加する
LGT が軌道にのるまでは、現行のオペレーションにプラスした作業をしいることになり、負担が高まるため

*業績評価を見直す
「新興国のLGTをどのくらい支援したか」を重視することを明確に打ち出す★
LGT がグローバル組織から得た支援の対価を払えるようにすることも重要
→会計上の配賦の概念を使う、正確な数字は重要ではなく、配賦が意味するところが重要

*橋渡し役を担う人材を活用する
内部人材がその役割を担うことになる
外部と内部の人材の共生のメカニズムをつくる
ー109に図表化★★

➤ 統制のとれた実験を通して学習する

リバースイノベーションの初期段階
計画を達成することの重要性は低く、将来について仮説をたて、テストを行い、不確実性を知識や情報に変換し、実行可能なビジネスモデルを開発するための教訓を導き出すことのほうが重要

*重要な未知の事柄の解明に集中する
事業評価の討議では未知の解明に集中する
・市場規模はどのくらいか
・どのくらいの価格帯なら、市場をこじあけられるか
・顧客は進んで革命的な新製品を試してみようと思うか
・どのような競争相手が市場に参入してきそうか
・適切な製品を設計することができるか
・適切なコストで製品を製造できるか

未知の事柄について重要度に応じて順位をつけておくとよい
仮説が間違っていると致命的、できるだけ早い段階でテストする
「迅速に、低コストで、学習サイクルを回し続ける」
「最初に学び、それから投資して、規模を拡大していく。大きな投資をしてから学ぼうとしてはならない」

*業績評価をカスタマイズする
↑LGTを推進させるためには
社内で一般的に使われる測定指標はほぼ直感的に理解できる業績評価の参考指標だが、リバースイノベーションの取り組みにはほとんど使えない

*頻繁に計画を修正する
月に一回、時には毎週

*学習について説明責任を負わせる
リーダーは統制のとれた実験を行ったか
チームは可能な限り迅速に低コストで実験をしたか
→厳しくチェックする

➤ そして、グローバルに展開する

LGT がローカルの顧客のニーズを満たしたなら、その次のステップは、そのイノベーションを世界の他の市場に広げていくことである
→ローカルの企業に比べて伝統的な多国籍企業が優位にたてる部分

*慎重さが求められるプロセス
リバースイノベーションで主流市場に参入を狙うには。
重要なのは、ニーズのギャップやその解消傾向に絞り込んで問いかけてみること
戦略的な議論には次のテーマを含めるとよい ー117
・リバースイノベーションが富裕国の主流市場の顧客が興味を持つレベルになるまでかかる時間。富裕国における顧客が予算緊縮に直面しており、超低価格商品に魅力がでてきているかどうか
・あとどのくらいで富裕国のインフラ交換需要が生じるか
・富裕国が厳しい持続可能性のプレッシャーにさらされるようになるか
・富裕国の規制が貧困国ですでに立証されているイノベーションに追いつくまでにどのくらい時間がかかるか
・富裕国の顧客が貧困国の一般的な嗜好に挑戦したり取り入れたりするか

➤ カニバリゼーションの懸念は妥当か

高級品が売れているのに何故、わざわざ低価格品に置き換える必要があるのか
もっともだが、カニバリゼーションの幻影のせいで動きを止めてしまうのは危険
カニバリゼーションを起こす可能性がある製品は往々にして、それを相殺する効果を伴う
→新しい消費を刺激する
また、リバースイノベーションでは取り残された市場全体がターゲットになったりする

➤ リバース・イノベーションを新しい強みとする

リバースイノベーションはグローカリゼーションとは雲泥の差
既存のビジネスモデルの改善ではなく、新しいビジネスモデルを創り出すことである
確固たる新規市場の創出
まったく異なる新しい挑戦で成功するために、不連続な変化が必要になる(グローバル企業は)
リバースイノベーションは、全般的にではなく、対象を絞り込んで、過去の慣行から始めてみた方がよい
LGT とグローバル組織の論理の違い ★ ー122

idea
1. LGT に権限を移譲する
2. LGT が自社のグローバルな経営資源の基盤を活用できるようにする
3. リバースイノベーションの取り組みを統制のとれた実験として管理する

第一部のまとめ

9つの重要なポイント
戦略レベル
1. 単なる輸出ではなくイノベーション
2. 機会を活用して、新興国市場のイノベーションを他の貧困国、富裕国の取り残された市場、そして最終的に富裕国の主流市場へと移転させる
3. 新興国の巨人を自社のレーダーで捕捉し続ける
グローバル組織レベル
4. 人材、権限、資金を成長している場所である途上国に移す
5. リバースイノベーションのマインドセットを全社的に培う
6. 途上国ではグローバルとは別の独自の損益計算書
プロジェクトレベル
7. LGT は創設されたばかりの企業のように振る舞わなくてはならない
8. LGT がグローバルな経営資源の基盤を活用できるようにする
9. 迅速かつ経済的に、重要な未来の事柄の解明に注力し、リバースイノベーションの取り組みを統制のとれた実験として管理する

第二部 リバース・イノベーションの挑戦者たち

第五章 中国で小さな敵に翻弄されたロジテック

➤ 中国ベンチャーはどうやって巨人を出しぬいたのか

キーボードやマウスなどの周辺機器メーカー、ロジテックの話 ー130
中国市場が富裕国のそれに追いついてくるのをまっていたために失敗した
ラプーという会社が中国の消費者にとって待望の15$のワイヤレスマウスを発売した

*マウスの価値を決めるもの
ー富裕国ではうまくいっていた ー134

*中国市場で求められるマウスの条件
富裕国でうまくいっていたものは、中国ではうまくいかなかった
→中国の顧客な異なっていたから
人口密度が高いため、アパートの隣のマウスの干渉をうけて動きが遅くなったり、止まったり
消費者がケーブルテレビよりも無料のインターネット動画を好んだ
→テレビのリモコン代わりとしてのマウス

*問題は価格より性能にあった
ロジテックは複数の信頼性の高いリサーチ会社を起用
顧客の愛着が小さかった
→価格だけではない、ワイヤレス技術の性能にもあった

方向転換することにしたが、中レベルの製品をラプーとの価格競争できるものに直すには設計をし直さなくてはならなくなった

➤ ローカル・グロース・チームが支配的論理を打ち破る

ロジテックは不都合な真実に直面した
ハイテク企業には、特定技術をこよなく愛する傾向があるということ
その支配的論理から抜け出すために、小さな「LGT」に権限を与えた
営業の心理にも配慮
ラプーよりもやや付加価値を乗せた価格、その分だけ利益率がたかくなり、あまり乗り気でなかった営業担当者をなだめる効果

➤ 小さな敵にも警戒を怠ってはいけない

世界中のラプーのような企業がアップルのように大きな破壊力を持ちうる

*ラプーを越え、中国を越えて
ローカルの驚異にはグローバルな示唆が含まれているかもしれない

lesson
1. ロジテックはMSのような富裕国の競争相手を追跡することには慣れていたが、中国の無名の競合企業であるラプーには気づかなかった。その結果、ロジテックは慌てて中国市場での地位を回復するために奔走することになったが、危機を無駄にすることなく、信用を守るよい機会とした。また、製品ラインごとのポジショニング戦略を見直して修正、注意を払うことを学んだ。リサーチ会社のデータを活用して否定的反応や抵抗を克服した
→重要ポイント3.に該当
2.新興国誌上の顧客の優先課題が、富裕国の顧客と同じだと思ってはいけない。話を聞いてみるまでは、顧客が重視しているものを推量しているにすぎない。ロジテックの場合、中国の顧客の主なニーズを満たしていなかった製品に、あまりにも高い価格をつけていたことが判明した(重要ポイント7)

第六章 P&Gらしからぬ手法で新興国市場を攻略する

➤ 新しいイノベーション手法が新興国での成長をもたらす

よくある認識違いのひとつ、どこに行こうが、人々は違う部品よりも似た部品の方が多いという思いこみである
P&G のオールウェイズ、女性の生理用品
ほどなく行き詰まり
異なる経験を求めている消費者がそこにいるということを学び始める
経済面から消費者を分けて、セグメントごとにイノベーションを行わなくてはならない
→でなければ失敗する

*なぜ新興国では既知の手法が通用しないのか
イノベーションは必然的に技術のプッシュと市場のプルという考え方のあいだでバランスをとっていく

P&G の通常とは真逆のアプローチ
製品を設計するときに、パッケージ・デザイン、強いコンセプト、商標名ができており、プロトタイピング、製品開発、技術開発はあとから行いました
技術的な試行錯誤をする贅沢が許される余裕はなかった

➤ 新しい市場では何一つ自明のことはない

消費者の不満の深さを測定しようとした
→顧客は完全に否定的だった、予想に反して

ローカル事情に細心の注意を払う必要
何事も当然のことと受け止めないスキルが必要

場所が違っても女性のみ身体や生態がほぼ同じだとするならば、女性が暮らしてきた背景に違いがあるはずという仮説
*メキシコ人女性の特有のニーズを評価する
メキシコ特有の事情 ー154詳細
かなり長い時間、女性はナプキンをつけていることが多かった
匂い、化学製品に対する不安
化学物質よりも自然素材

ナチュレラを開発

➤ 過去の成功を選択的に忘れる

LGT が立ち向かう最大のハードルのひとつ
固有のみならず慣行や仮説という歪んだレンズを捨てること
*社内からの逆風と戦う
P&G のLGTはマーケティングと研究開発のスタッフで構成された小さな多機能チームで、女性ケア用品事業部門の責任者が統括していた
→ナチュレラの成功は完全に「チームの努力」の結果
*技術を借用し遊休設備を活用する
ナチュレラの価格決めの話 ー159

➤ 完璧さよりもスピードを優先させる

ナチュレラの最初の市場をつくることは、将来のための種まきに等しかった
P&G らしからぬ方法をとった
完璧な製品設計を事前に追求するかわりに、安い価格でテストし、その結果から実験をした
改善の余地のある製品だが、それでうまくいくなら適性なレベルの資源を製品に投入したとき、どのくらい素晴らしいものだろうか

*小さな修正を重ねて事業を強化する
*段階的に新しい手法を学習する
他の事業とは基本的に異なる方向で動くLGTをつくることによってP&Gは成功した

*フィードバックの仕組みを作る
ナチュレラを先進国に投入するかどうかの判断

lesson ー167
1. 技術より前に顧客の価値に集中する(重要ポイント7)
2. 他部門から原材料を借用した。さらに、カナダの遊休生産ラインも見つけ出した(重要ポイント8)

第七章 EMCのリバース・イノベーター育成戦略

➤ 新興国をイノベーションの起点とする

*アナログからデジタルへの大転換
EMC 当初はオフィス家具の再販業者としてスタート
→紙の文書を収めるキャビネットを販売する代わりにアナログからデジタルに変換して収納するコンピューター記憶装置に特化した
:発想の飛躍がすごすぎる

顧客が際限のないノイズの海で漂流したときのために、値千金のシグナルとなるツールをEMCは設計している

*なぜ中国はデジタル・コンテンツの最前線をいくのか
エンタテイメント用のファイル
プライバシーを重視する国民性
→掲示板で個人情報を共有することを嫌う、文化的に

伝統的な検索技術はそこでは役に立たない

アメイチョ、代替検索用システム、連想記憶に基づいている
コンテキストに基づいている ー175
ー176

➤ リバース・イノベーターが活躍できる環境づくり

三つ
1. イノベーターを新興市場に配置し、地元の顧客が抱える問題の解決に乗り出せるように権限を与える
2. ローカルのイノベーターが、社の内外を問わず、他のローカルな資源を利用できるようにする
3. ローカルのイノベーターを、グローバル企業が持つ豊富な資源と結びつけて、彼らの能力を高める

*ローカルな問題解決はローカルのイノベーターに
仮想世界の常識では、あなたの部下がどこにいるかはまだたく重要ではない
↓その常識を一変させる考え方、EMCの
場所というものは、技術的に克服すべき運用上の瑣末な事柄ではなく、むしろ戦略上の優位性である
社員がアメリカにいないことのほうが重要と思うようになった★
情報な対して貪欲
一度は的外れだと見なされたかもしれない情報を集めるためにできるだけ多くの場所に人を配置している

新興市場は、世界でもトップクラスの技術者を雇用するのに絶好の場所だと気づいた★
→センターオブエクセレンス、COE

*ローカル・ネットワークの活用
ローカル市場ではさまざまな内外の情報源を開拓し、協調して情報交換していくことが重要になる
バーチャルな地代に、対面でのコミュニケーションの有効性
イノベーターが最高の結果を得るために、社内での進行中の研究プロジェクトや、さらなるニーズについて隠し立てをしない
→関連する学術分野の研究者のアイデアや助言から刺激を受けようと考えているから
顧客の問題をよく理解する人々(営業、マーケティング)と、それを最もうまく解決できる立場の人々(開発者)との対話は相互にメリット★

*洞察とアイデア創出のための循環システム

➤ リバース・イノベーション能力を養う

社内のネットワーク、メンタリング、コーチング、広範囲の社員を刺激してローカルの問題やグローバルなイノベーション・プロセスに参加させることなどで促進される

lesson
1.
2.

第八章 ディアのプライドを捨てた雪辱戦

➤ 傲慢さが致命傷となる

成功するための唯一の方法は行動力すること
新参者のポジションを受け入れ、成功への道を手に入れることである

➤ インド市場に対する間違った思い込み

経験に根ざした前提に従っていた
先行した富裕国と同じ道を新興国経済は発展していくと
→往々にして間違っている

➤ 市場理解からやり直す

地元の農民のニーズを深く調べた
富裕国のマインドセットはいっさい持ち込まないようにした
トラクターが実際どのように使われているのか
インドの消費者の違い
・価格
・サイズ
・使用頻度
・用途の多様性
・信頼性
ー199

➤ 白紙の状態での製品開発

顧客要件のリストを
ニーズ、ウォンツ、ディライトの三つに分類
→物まねではないというお墨付きをもらえるのは、ディライトのときのみ

➤ ローカル主体の機能横断型チーム

目前の課題に合わせてくまれた献身的なチームが必要
社内の膨大な技術資産にも手をつける
→技術者との広大なネットワークが必要

*厳しいコストの制約条件
調査によって、どの特徴を、どの品質で実現すれば、顧客がどのくらい重視するかが明らかになった
予算、目標価格は事前に分かっている
→設計上のトレードオフを事前に検討できた

*頻繁な繰り返しとテスト
:アジャイル的

*並行して開発作業を進める
起こりそうな故障を想定して、複数の解決策を同時に進めるという、ある種の並行的なプロセスを採用した

*顧客を共同設計者とみなす
新しく生み出した設計を顧客調査グループのメンバーにみせて反応を探った
ー210

➤ ビジネスモデルを再構築する

リバースイノベーションには、ローカルのビジネス機能と能力を完備し、支えていかなければならない
ブロンド認知を一から構築する困難
購入を考える顧客からリスクの一部を取り除かなければならない
信用できるアフターサービスを保証する上で、ディーラーネットワークの拡大は最も重要だった
ファイナンス面のサービスの強化ー有力銀行との新しい関係構築
購入者の意識をひくためのインセンティブの提供
→一年間の無料メンテナンス、三年保証
価格の透明性の確保

➤ 大々的な宣伝活動で市場浸透を図る

lesson
1. 顧客ニーズに対する洞察を深め、革新的なソリューションを開発
2. 白紙からの状態のアプローチ、広範囲な市場調査、リスクを避けるための創造的な並行型の開発戦略、迅速なプロトタイピング、頻繁な反復を通じた統制のとれた実験、広範囲な顧客フィードバック、独自の機能横断型のチーム
ー216

第九章 ハーマンが挑んだ技術重視の企業文化の壁

➤ 支配的論理と異なるマインドセットの衝突

*柔軟で順応性が高いという価値
より少ないもので、より多くのことをする
最小のコードとわずかなハードウェアで最大の機能を実現させる

*最先端の技術力があっても勝てない
グローカリゼーションの動きをとって新興市場向けにハイエンドのシステムの簡易版をつくった
ハイエンドのソフトウェアを、ローエンドのハードウェアやシリコンチップと組み合わせようとした
しかし、不適切な組み合わせは性能を損ない、実質的に使い物にならなかった

➤ 組織を再編して新興国に挑む
➤ 社内の確立された手法に疑問をもつ

新しいアイデアやアプローチを進めるときには、異物に抵抗を示す免疫反応が生じるもの
CEO にしかできない、その立場を利用した非常に目立つタイプの行動であり、組織のマインドセットや文化を変えるのに効果的だったと思われる

高級セグメントでうまくいったアプローチには硬直的で高くつくという欠点があった
最優先事項はコスト削減になった
加えて顧客にとって不適切な機能を提供しているという問題もあった
↓これらの解決のために
白紙でソリューションを考えていく必要があった
LGT の必要性の強調

*インドと中国を中心としたプロジェクト・チーム
目指しているのは新しい設計能力を創出することであって、実績のあるは人を罰したり、不当に扱ったり、排除することではない
白紙状態で組織を設計することなくして、リバースイノベーションは生まれない

➤ 五つの設計哲学に則して製品を開発する

・シンプルさ
設計プロセス全体で、物事をできる限りシンプルに保つことが不可欠
複雑性は経済性の敵となる

・コスト
野心的なコスト計算
ハイエンドに近い機能を三分の一のコストで提供するという、無謀な挑戦を成功させるためにはコストの下限を何としても突破しなくてはならない
価格は半分、コストは三分の一が合い言葉

・モジュール設計
システムの複雑化を避けるために
正規の手順から外れてカスタマイズしたいという誘惑に負けない

・オープンソースのソリューション

・標準のチップ
当初はカスタマイズしたチップを使用していたが、別の産業で代替のチップがないか探した

➤ 徹底した進捗管理でチームを支える

スクラムを使用★
機能横断型のチーム
プロジェクトを二週間から四週間のスプリントに区切る
スプリントの中でもタスクを細分化
チームは特定タスクが着々と成功していることを確認しながら、毎日それぞれのスプリントに取り組んだ

*トヨタから初受注で流れが変わった
*トップが不退転の決意で臨む

➤ 世界で成長するためのプラットフォーム

富裕国への逆流、モジュール構造の。
大部分の性能を維持しつつ、システムのコストを大幅に下げることが目標である
「大幅に減らして、より多くを行う」

lesson
1. CEO のはっきりと目に見える行動として、プロジェクトの目標と手法を支援した
2. ローカルに新しい地域マネージャを新設、リバースイノベーションの遂行に専念させた
3. LGT 、シンプルで臨機応変で費用対効果の高い設計を選択できるようにした
4. LGT は短期的な期限を設けて、迅速に低コストの実験を行った。スクラム手法の採用
ー244

第十章 インドで生まれて世界に広がった GE ヘルスケアの携帯型心電計

➤ なぜ最高級の心電計は使われないまま放置されていたのか

ハイエンドの心電計、ECG
新興国市場で機会に十分に対応する唯一の方法は、ローカルのニーズを実際に満たす製品を提供することだ
:当たり前だが。
「その国で、その国のために」設計された製品

➤ インドで、インドのための製品をつくる
➤ プロジェクトを本社に売り込む

社内で新規事業を提案する際に多数のハードルを克服しなくてはならない
→なかでも無視できないのが、自分たちにそのプロジェクトを成功に導くだけの能力があることを会社側に納得させることだった

*インド人の手に届く製品やサービス
・収入
患者と診療所のどちらも診療にかける費用は西洋にくらべてはるかに少なかった
安い医療費
少額の設備投資と資金の手当

・インフラ事情
携帯性
→診療所や開業医が少ない、出張診療しないといけない事情
バッテリーの利用
使いやすさ
メンテナンスと修理の容易さ
地元の競合他社が提供する機器よりもよいものにしなくてはならない

➤ 目標は 800 ドルの心電計

予算獲得の直後、チームの発足と製品設計という二つの創造的な挑戦が並行して行われた

*軽量化と操作性を追求する
ー262

*まったく新しい組織にこれまでにない営業
ー264
プロジェクト開始から製品販売までの長い道のりの途中で、LGTはより大きな組織からの支援をうけなければならない
キングコングとバックスバニーに仲良く一緒に遊びなさいというくらい困難
一切の妥協をせず、真摯に取り組んだ

➤ インドを越えて他国に普及させる

すぐに先進国でも市場が見つかった
より大きなシステムを買う余裕のなかった個人の開業医には、ぴったりのソリューションになった

*上流にも下流にも自在に進出する
上位版にはよりプレミアム

*ドルではなくセント単位のコスト・イノベーションを
大企業でもみずから知恵を絞って新規事業で必要とされるハングリー精神や集中力を活用すれば、できることを証明した例

MACシリーズの設計はドルではなく、セント単位で行われたことに留意する
ー271
GEのリバースイノベーションをまとめた図 ー275★わかりやすい

lesson
1. 大規模校な多国籍企業の驚くほどのカバー範囲の広さは、新興国の巨人にくらべて大きな優位となる
2. 標準的な基準でプロジェクトの成功を判断するよりも、GEヘルスケアは審査の頻度を増やし、小規模な実験に基づいて学習することに注力し、リスクを取り除いた

第十一章 新製品提案の固定観念を変えたペプシコ

➤ グローカリゼーションからの転換

ペプシコのチャレンジ
単に「あなたの楽しみ」ではなく、「あなたの利益」につながるスナック菓子を世界中で作り出すこと
今日では新興国市場のイノベーションは世界中に影響を及ぼし、目的に適った成果をもたらす可能性がある
スナック菓子部門のフリトレー、インド市場向け、クラッカー(これによりはじめてペプシコはクラッカー菓子に参入した)

➤ スナック菓子に健康科学を取り入れる

リーダーは自分たちが残すものについて心配すべき
次の四半期ではなく、次の10年に集中しなくてはならない
医師からビジネスリーダーになった人の話
「味覚の領域をがっちりとつかまなくては、私たちは生き残れない」

➤ 市場を読む洞察力が成功をもたらす

クルクレの例、リバースイノベーションをもたらしたスナック菓子、ペプシコにおける ー283
必要なのは、将来のソリューションを開発するのに役立つ洞察
消費者について先見性をもたなければならない

ローカルを見極めてつくられた製品、スナック菓子、クルクレ
・インドでのライフスタイルが変化している
・ローカルな味覚の好み
・地元の食材
・インド人の心理に合わせたメッセージの発信

製造上の問題を解決するために「グローバルチームが必要たった」
ー286

➤ 固定観念を変える<アライヴァ>への挑戦

*豪華チームによるドリーム・チーム
社内で調達可能な最も優秀な人材を取り揃えて、マーケティング、営業、流通、生産、フレーバー、パッケージ、designなど関連する分野をすべて網羅した

地域を越えてプロジェクトのサポート
・生産技術
・パッケージの標準と技術
・味付けの支援

*妥協せずに実験を反復する
パッケージに最も苦心 ー290
アライヴァの市場投入までの旅が並外れて困難に満ちていたとすれば、それは複数の分野でまったく新しい道を切り開こうとしたからである

*新製品を絶対に成功させる
ー292

➤ ペプシコ流リバース・イノベーション手法

イノベーションを管理するための枠組み
1. グローバルな能力を使って、ローカルでイノベーションを行う
2. ローカルの自治とグローバルでの統治との間で適切なバランスを保つ
3. ローカルのイノベーションを地理的に広げていく
4. 3.を通じて1.を実現すふために、システムとプロセスを確立する

*ローカルとグローバルの相互作用
LGT の能力がグローバルな専門家たちや他の経営資源という、しっかりと整備された厚い土台から引き出された
→報酬システムで補強

*決められた範囲内での自由度
唯一の注意点はその製品がグローバル・ブランドの標準に合致しているかどうか
→その枠組み内であれば、自主的な意志決定や行動がひろく認められている

一方で全部門の規制や安全の問題に対処するために中央統括グループを設けている★

*アイデアを拾い上げて展開する
ローカルで生まれたイノベーションを、グローバルに移転しやすくする方法を探す ー296

➤ イノベーションを支援するシステムとプロセス

イノベーションの移転が日常的に!確実に行えるようにするためにペプシコがとった追加的措置
・資源分配のための原則をきちんと設ける
・特別なインセンティブを設ける
・知識を共有するメカニズムを構築する
→ローカルとグローバルで科学者のローテーション

lesson
1. 注意深く中央集権とローカル自治との間のバランスをとる、貢献者はすべて一緒に報いられる
2. CEOが新興国市場での成長に本気で取り組むという明確なシグナルを送った

第十二章 先進国に一石を投じるパートナーズ・イン・ヘルスの医療モデル

➤ 病に冒された弱者は何を必要としているのか
➤ 貧困国に無償医療を届ける

*医学だけでは最貧困国の患者は救えない
パートナーズ・イン・ヘルスの3つのコアバリュー
1. 貧困者にも等しく良質な医療をうける権利がある
2. 患者の人生のあらゆる面を特徴づける社会背景を踏まえて治療しなければならない。健康状態をよくするためには、貧困、飢え、公衆衛生、人種差別など、医学以外の問題にも目を向けなければならない
3. 地域密着型の医療の提供は、慢性的疫病において費用対効果が大きいだけでなく、より良い結果をもたらしうる

*患者に寄り添う「同伴者」の存在
複雑な問題にシンプルな解決策
→患者一人に地域保健従事者をつけるという実験をしてみた「同伴者」
ー312
重要なのは、同伴者が同じ地域の住民であったこと

➤ 医療先進国アメリカにハイチのモデルを導入する

知識の移転
実験 ーたとえば、PACTプログラムは最初のうち地域保健従事者がどのくらいの頻度でどのくらいの期間にわたって患者を訪問すべきかわからなかった
ー315

*複雑で細分化された医療サービスとどう折り合うか
アプローチは常に「試行、学習、適応、変更」
:まさにリーンスタートアップ

*実験こそが最大の武器になる

➤ 地域保健従事者をいかにして育てるか

適切な人材選びは、地域保健従事者の役割を明確に理解することから始まる
医師と患者のコミュニケーションギャップを取り除くこと

採用は履歴書のみからは行われない
ロールプレイ、事例を用いたシナリオを使ったアクティビティを行い、実際に話す内容に耳を傾ける

*他の地域に効果を波及させる
ー322

➤ 医療保険改革への示唆

画期的なコスト削減のイノベーションが必要な場所は、資源が最も不足している世界各地にあるのは明らか

lesson ー327
1. 途上国のモデルを富裕国に移転することはリバースイノベーションの最後のステップだが、かなりの努力が求められる
2. 非常に強力な独立した考え方をもった場合に限り、急進的な目標を達成することができる。重要なのは、LGTの組織設計を確立するときに社内や業界内の支配的論理に疑問を投げかけること

終章 必要なのは行動すること

➤ リバース・イノベーションの成功シナリオ

リバースイノベーションを行動に移すときの困難さを説く
リバースイノベーションに取り組むときには否応なく、イノベーターのコミットメント、勢い、情熱の程度が試されることになる
また、リーダー、組織全体の積極性や長期ビジョンがどの程度のものかを知ることにもなる
↓それでもなお
リバースイノベーションには踏み出すだけの価値がある

リバースイノベーションは、企業のコア製品が途上国で成長の壁に突き当たったときに始まることが多い
よくある診断
・自社の製品は新興国にまるで適していない
→ただ輸出するだけでは通用しない
・途上国を拠点とする企業が自社よりも急速に成長し、本国市場でノイズかえ立て始める
・白紙の状態で途上国での厳密なニーズ分析に着手する
・LGTを発足させ、リーダーを指名する
・グローバル組織のスキルと資源を活用する道を検討する
・チームが統制のとれた実験を行い、素早く最小のコストで重要な前提について問題解決できるように支援する
・製品が成果をだせたら、世界の他の地域でその成功を再現させるチャンスがないかどうか探る
・CEO、途上国の経営幹部の大半に経営責任を担わせ、CEOの直属とする
・途上国に適した通常とは異なる業績評価方法を設定する
・会社全体でリバースイノベーションのマインドセットを強化していくためにいくつかの取り組み
ー333例

*情熱が原動力となる
新興国市場に存在するあまりにも多くの満たされていないニーズに対処することに対する情熱

リバースイノベーションでは、ビジネスの利益と人々の利益がほぼ一致する
世界の最も頭の痛い社会問題の一部を解決するツールとしてリバースイノベーションの力を見逃すことはできない
(人々の暮らしにおいてイノベーションが最も重要な意味をもつ貧困国で、イノベーションが加速。それによって経済が発展し、生活水準があがり、より良い健康、より開かれた良質な教育、より大きな経済的なチャンスへとつながっていく)

➤ 慈善ではなく、巨大なビジネスである

企業がやるべきこと
満たされていないニーズを特定し、イノベーションに取り組み、競争し、成長すること

300 ドルハウス
www.300house.com
慈善事業でなく、ビジネス上の挑戦
ー336

*リバースイノベーションの開発者コミュニティ
企業はまず、カニバリゼーション、タイミング、ポートフォリオ・マネジメントという難問と戦わなくてはならない

vg@dartmouth.edu
chris.trimble@dartmouth.edu

付録A リバース・イノベーションの実践ツール

ー342
実際に議論をする際に有用なテンプレートになる★

付録B ネクスト・プラクティスを求めて

*イノベーション
1. 破壊的イノベーション理論は、新興国市場にどのように適用されるか
2. BOPイノベーションはなぜ貧困国から富裕国へと移行できるのか
3. 貧困国のイノベーションが富裕国まで徐々に達していくのを可能にするのは、どのようなプロセスやメカニズムか

*先進国の多国籍企業
1. 先進国の多国籍企業は、新興国の巨人から何を学ぶことができるか
2. 多国籍企業はリバースイノベーションに取り組んでいくために、どのようにLGTを構築し、管理していくべきか
3. 先進国の多国籍企業はどうすれば、支配的論理を克服できるか

*新興国の企業
1. 貧困国市場の扉をこじ開けるには、多国籍企業と新興国の巨人のどちらがより適しているか
2. 途上国から富裕国へのイノベーションの移転には、多国籍企業と新興国の巨人のどちらがより適しているか
3. 日本企業と韓国企業のグローカリゼーションの経験は、新興国の巨人にどれだけ参考になるか

解説

ー368
「破壊的イノベーション」とある部分で共通点を持ちながらも、その競争のスコープを、新興国を中心としたグローバル競争にまで発展させたところに本書の斬新性がある

*日本企業にとっての五つの課題
・マインドセットに関する課題
→対岸の火事ではない
・資源配分に関する課題
→「人材、権限、資金、ステップを成長している場所に移す」
・人材についての課題
→経営人材の多国籍化や処遇の世界共通化
・実行局面における学習とリスクに関する課題
・新興国が抱える深刻な貧困と環境問題とリバースイノベーションの関係
→持続可能性のギャップに着目。→「環境に優しいソリューションを考える」

★「変革なくして生存なし」
1/7 12:31読了

こちらもあわせてどうぞ