あらすじ
死んだはずの「ぼく」の魂にむかって天使が言った。「おめでとうございます、抽選にあたりました!」。そうして、ぼくは輪廻のサイクルに戻るために、下界にいるだれかの体を借りて(天使業界では「ホームステイ」というのだそうだ)前世で犯した悪事を思い出さなくてはならなくなった。
感想
- 生きる活力を与えてくれる良作。
本作から私が感じたのは以下の2点。
- 世界の色は自分の見方次第で、無機色なグレーから有機的な瑠璃色まで変わる。
- 人生は、少し他人事というくらいの感覚をもっていたほうが楽に生きられる。
- 以下は、そういった感想を抱かせてくれた文中よりの抜粋:
頁178
それは、黒だと思っていたものが白だった。なんて単純なことではなく、たった一色だと思っていたものがよく見るとじつにいろんな色を秘めていた、という感じに近いかもしれない。
黒もあれば白もある。
赤も青も黄色もある。
明るい色も暗い色も。
きれいな色もみにくい色も。
角度次第ではどんな色だって見えてくる。頁187
人は自分でも気づかないところで、誰かを救ったり苦しめたりしている。
この世があまりにもカラフルだから、ぼくらはいつも迷ってる。
どれがほんとの色だかわからなくて。
どれが自分の色だかわからなくて。頁228
この大変な世界では、きっとだれもが同等に、傷ものなんだ。
頁243
「あなたは再挑戦であんなにうまくやっていたではありませんか」
「だって、あれは他人事だったから」
... snip ...
「でも、自分のこととなると、やっぱりそうもいかないよ。いろいろ慎重になるし、不安にもなる。ケチにもなるしさ」
... snip ...
「ホームステイだと思えばいいのです」
... snip ...
「そう、あなたはまたしばらく下界ですごして、そして再びここにもどってくる。せいぜい数十年の人生です。少し長めのホームステイがまたはじまるのだと気楽に考えればいい」
カラフル
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