読んでいて、ついつい頬がほころぶのは著者の人柄が現れているからだろうと思います。
まえがき
アガワの拙いインタビュー経験や数々の失敗から、聞くという行為について読者が改めて考える機会を得て何か一つでもヒントを見いだすことができたら、それで十分。
*
糸井重里氏との対談
震災で右往左往する気持ちの吐露
*
聞くという作業は、生業にしなくとも、誰もが一日に何度となく聞く
呼吸をするが如く自然に
*
人に話を聞くことで自分の心をときめかせたい
素直な気持ちで好奇心の赴くまま人の話を聞いたとき、聞き手は自分の記憶や気持ちをそこに重ね合わせ、必ず何かを感じ取るはずです。
聞かれた側も、語りながら頭の中を整理して、忘れていた引き出しをあけ、思いも寄らぬ発見をするかもしれません
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第一章 聞き上手とは
▶ インタビューは苦手です
インタビューは苦手
*
企業人に、女性活用についてきく
ライターのおじさん、アガワさんは、インタビューは下手だったけど、不思議と社長さんには嫌われなかったよね
*
###アガワらしい対談って何?
週刊文春の対談のホステスにならないかというオファー
1992
物を知らない
アガワらしい対談を望まれる
何か?
▶ 面白そうに聞く
今、輝いているオトコたち
城山三郎
インタビューアーなのに質問に答えていた
*
今日はアガワさん、一人でしゃべってましたね
→城山三郎さんが聞き上手だったから
###城山三郎さんを目指す
ただひたすら、
そう
それで?
面白いねえ
どうして?
それから?
とほんの一言挟むだけで、あとはニコニコ、私の世にもくだらない愚痴を、穏やかな温かい表情で聞き続けてくれたのです
*
インタビューアー
相手がこの人に語りたいと思うような聞き手になればいいのではないか
▶ メールと会話は違う
我々のような仕事はインタビューに始まり、インタビューに終わる ーある新聞記者のことば
*
質問を続けていくと、見ず知らずの人に質問する訓練になる
###インタビューは会話
表情や動作とともに言葉が伝わってくるのと、画面の文字だけの場面とでは、ずいぶん印象がちがう
→絵文字
###お見合いが予行演習!?
一度もゴールインには繋がっていないが、決して無駄ではなかったと。
*
合コンこそ、インタビューの絶好の機会、訓練場
▶ 自分の話を聞いてほしくない人はいない
[]転職 ー高任和夫
###あんなに喋ったところを初めて見た
を言ってもらえることが目標
▶ 質問の柱は三本
ゲストにお会いする前は、初心者気分
*
次の質問のことを考えていると、話を聞けない
聞けないから、話に連続性が生まれない
###質問はひとつだけ用意しなさい
もし一つしか質問を用意していなかったら、当然、次の質問を考えなくてはならない、次の質問を見つけるためのヒントはどこに隠れているだろう。隠れているとすれば、一つ目の質問に答えている相手の答えの中にある。そうなれば、質問者は本気で相手の話を聞かざるを得ない。そして、本気で相手の話を聞けば、必ずその中に次の質問が見つかるはずである。
→先輩のアドバイス
*
質問を一つしか用意しないのは不安なので、今はだいたい三本の柱を立てるようにしている
→相手の資料や作品に目を通し、その人の来し方や考え方、人生の転換期、人間関係を調べ、大雑把な疑問を抱き、質問を三つのテーマに絞る
↓
どうなるかは実際に会ってみないと分からない
*
何にせよ、相手の話に集中することには変わりない
→メモも一切持たなくなった。メモに気をとられてしまうから。
▶ あれ?と思ったことを書く
インタビュー相手の資料を読む際の優先順位
→過去のインタビュー記事、実際に本人が手がけたもの
↓
結果、自分であれ?と思ったものを率直に相手にぶつけると、それだけ相手の仕事に注視していることが伝わって、本当はほかの資料が読み切れていないにも関わらず思わぬ話の広がりにつながることがある
###事前の準備はほどほどに
開き直り
資料を万全に読んでいたりすると逆にある油断
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既知感も邪魔をする
自分自身の発見、素朴な疑問、驚きが後回しにされてしまう
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▶ 観察を生かす
三本の柱を用意していても崩されることはある
そういうときにどうするか?
*
軌道修正を試みるのが一手。
流れに任せるのが一手。
→聞きたかったことと被ったら元にもどせばよい
###北野武は終わった
途中で話の流れに合わせた例 ー68
▶ 段取りを完全に決めない
荻原健一さんへのインタビュー
思わぬ形で成功した例
*
自分で決めつけてはいけない
こっちの話のほうが面白いに違いない、聞き手が勝手に決めつけることがどんなに危険か
▶ 相手の気持ちを推し測る
相手をみるということは、すなわち相手の心の中は今、どんな状態になっているかと慮ること
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どんなに真面目な話をするつもりでも、人間同士、とりあえず相手の気持ちを思いやる余地を残しておきたい
###うんざりしている人もいるという意識
北杜夫展のエピソード
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相手の気持ちがどこらへんにあるか、恐る恐る推し量りつつ、会話を始めることが重要
▶ 自分ならどう思うかを考える
相手の気持ちを推し量るときに、私を一つの基準にしてみることは無駄ではない
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自分と同じであることを正しいとか、当然だとか過度に思い込まないようにしさえすれば、目の前の人が自分とどのように違うのか、どのくらい近いのか遠いのか、そのスケールをもとに質問を広げていくことは、有効な手だての一つとなります
###ゴルフで得た教訓
ゴルフにはまっている話
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アガワさんひきずりすぎなんです
###京子ちゃんの笑顔
浜口京子
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もっとゴルフが上手くなりたいなら、失敗しても引きずらずらない。さっさと忘れて気分の切り替えをしなさい
▶ 上っ面な受け答えをしない
浜口京子ふたたび
*
自分の子供がどうしていいかわからなくなっているときに、母親はなんといったらいいのか?
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お互いを熟知しているけらこそ出てくる自然な言葉
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ほんの小さな相槌でも打たなくてはだめだ
→誰かの一言がどれだけ大切なものであるかを考えるならば
第二章 聞く醍醐味
▶ 会話は生物と心得る
笑福亭鶴瓶
百年後の日本に残しておきたいもの
→銭湯
###アガワが喧嘩腰に
人からいい話をきこうと思ってあらかじめカッチリバッチリ聞くことを決めて臨んでも思い通りにいくことはまずない
*
でも、だからこそ面白い
化学反応を楽しむ
*
黒柳徹子の話 ー93
千代紙から、スパイになりたかった話へ
▶ 脳みそを捜索する
トークに対して何も準備しなくていいというわけではない
脳みそのウォーミングアップは最低限必要
*
聞き手のさりげない反応によって、何かを触発されることがある。聞き手は語り手の、そんな脳みその捜索旅行に同行し、沿いつつ離れつつ、さりげなく手助けをすればよい
▶ 話が脱線したときの戻し方
脱線した話によーく耳を傾けて、じっくり聞いて、とことん楽しむ
→思いもよらぬ、おもしろい話に発展するかもしれないから
↓
発展しなさそうなら、本来自分が聞きたかったことと関連する言葉が何かひとつくらい落ちていないか必死で探す
*
聞き手と語り手の信頼関係をそこそこに構築しておくことが大切
###おっしゃるとおりではありますが
★質問や発言の差し挟み方
→相手の呼吸を掴む
*
相手が一気呵成にはなしていて止められそうにないときは、そろそろその話のピリオドが打たれそうな気配を感じたときに、ちょうどその頃合いに人間は誰でも息継ぎをする
→その短いタイミングで他の人に発言のバトンを渡してしまう
:みな、やっていることではあるけれども、なかなか意識してすることはなかったな、と。
*
話の流れの中で自然に、相手の気づかないうちに、そちらの方向へ誘導できたらそれにこしたことはない
▶ みんなでウケる
気楽にやっているようで実はつらいんですよ、という告白
*
聞き手だけでなく、その場に居合わせた者全員が、対談の参加者
その参加者一同が、ゲストの話に耳を傾け、そしておおいに楽しんでいるのが分かるとゲストはうれしくなるものです
*
面白いなと思ったらそれを表情や態度で話し相手に伝えてみてください
聞き手のそういう反応だけで話の内容はずいぶん違ってくると思います
###鶴瓶さんの汚い話
速記さんの反応 ー112
▶ 最後まであきらめない
五代目柳家小さん
過ぎ去った不快なできごとは、当人が思い出さない限り、黙っているにこしたことはない
###楽しくなさそうな俳優さんが…
渡部篤郎
###この対談もっとやったほうがいいですよ
人はみな、自分と同じ顔で、喜んだり悲しんだり寂しがったりするとは限らない。わたしが楽しくなさそうに見える人だって、心の中ではとびあがるほど楽しいと思っているかもしれない
決めつけてはいけない
▶ 素朴な質問を大切に
質問の三本柱を何にするかはいつも迷う
*
デーモン小暮
*
ヘビメタってなんなの?
という素朴な疑問をぶつけてみることにした
###デーモン閣下は解説上手
パンクとヘビメタの違い
様式美
▶ お決まりの話にならないように
インタビューする人のことをリサーチする際に気をつけること
*
1. その人物がほかの場所で、すでにどれほど同じ話をしているのか確かめること
★お決まりの質問は大事。誰もが疑問に思うことだから。
外せない質問を考える。
でも、どうせきくならお決まりの答えにはしたくない。
→ただし明確な答えはない。
→ただし、お決まりの回答が返ってきたときにそれをひろげる努力は惜しまない
###世間一般の疑問を把握する
この人は世間一般からどのように見られているのかという視点で資料を読む
*
当事者の気持ちを当事者の言葉で伝えてもらいたい
▶ 聞きにくい話を突っ込むには
橋本久美子総裁夫人
###コレのこと?
▶ 先入観にとらわれない
資料を読む目的
こんな人だろうと思われている部分ではない新たな側面を、インタビューによって発見したいという気持ち
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他人がつくったイメージというのは、その人のほんの一部にすぎないと信じている
*
人はそれぞれの人に向き合う顔がある
ひとりに対して自分のすべてをみせているわけではない
*
人は360度の球体 ー141
###意外性は重要
聞いてみなきゃ人は分からない
▶ 相槌の極意
臨床心理学者、河合隼雄
人の話を聞くことの大切さ
*
アドバイスはしない、ただ相手の話を聞くだけ
他人のアドバイスは有効に働いたときはいいが、何かうまくいかなかったとき、そのアドバイスが間違っていたのだと思いこんでしまう
*
もっと聞きたいですよ、という促しの合図
*
合いの手
###日本人は相槌好き
###テレビと雑誌の違い
テレビでは相づちをついていたが、雑誌だと何も残らなかった
▶ オウム返し質問活用法
へえ
ほおほお
ふーん
なるほど
そっかぁ
*
えっ?
には棘がある
*
オウム返し
概して驚いたときに使う
その言葉を再度、ピックアップして叫ぶことによって発した語り手自身の心を喚起させる効果がある?
ひとつの答えをさらに噛み砕いてはなしてもらいたいときに便利
→ほかには
具体的には?
たとえば?
*
Please be more specific
###ウッソー、マジっすかぁ
▶ 初対面の人への近づき方
愛想良くちかづいていけば、誰だって自分に好意的になってくれるというのは間違った信仰であり、同時に驕りでもある
*
★相手のペースや心構えを無視して一方的に自分のリズムを押し付けない
###渡辺淳一さんからの逆質問
人にはそれぞれ愛想の作り方がある
▶ なぐさめの言葉は二秒後に
そんなぁ、と答えることが多いアガワさん
課題のひとつ
*
言い方や表情、動作。
言うときのスピードやトーン。
それらを総合して、相手に、ああ、本心で自分を慰めてくれているんだなぁ、とわかればそれでいいのではないか
###筑紫哲也さんに褒められた取材
★相手の発言にきちんと誠意をこめられているか
###使える台詞
何をおっしゃっているのか、わたしには分かりませんが…
▶ 相手の目を見る
真面目に質問してくれているときには、私も真面目な態度をとらないとね ーモーガン・フリーマン
###目を合わせないのは敬意の印
エチオピア
###視線嫌いの人たち
敬意では必ずしもない人もいる
▶ 目の高さを合わせる
相手より高い視線から話をする
相手の前で腕を組む
→いかんいかん、と
▶ 安易に分かりますと言わない
安易に使うと傲慢にとられかねない
*
大事なことは相手と同じ気持ちにならないこと
似通った自分の経験を探り出し、そのときの気持ちを重ねてみることは必要
###井上ひさしさんの独白
自分の経験と照らし合わせながら、理解できるところと共感できないところをひとつづつ頭に取り込みながら聞く
▶ 知ったかぶりをしない
スポーツにとくに疎い
スポーツはするものであって、観るものではない
という信念
###野村監督夫妻に緊急インタビュー
###怖かったはずのインタビューが
松井秀喜とのエピソードも ー205
###対談一回目のゲスト
貴乃花
*
背伸びをしたところで、どうせ化けの皮は剥がれる
事前の勉強は必要だけれど、相手の前では知ったかぶりをせず、にわか勉強であることを素直に認め、相手に失礼のない範囲で素直な質問をぶつけよう
▶ フックになる言葉を探す
アガワさんの人物インタビュー、その人の来し方を伺うことが多い
*
人生の流れをクリアすればそれでいいかという心境になってしまう
→★それでは果たしてどこにポイントがあったのか分からなくなってしまう
###室伏選手のハンマーを追求
大事なことを聞きそびれたと。
▶ 相手のテンポを大事にする
###97歳の反論
老人なりのテンポを考えた
*
老人に限らず、人にはそれぞれに話すテンポというものがあります
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我慢大会
相手を追い立てたりしない
できるだけ待つ
静かに控えて、新たな言葉が出てくるのを待とう
▶ 喋りすぎは禁物?
聞き手が喋りすぎるインタビューはよろしくない
*
かといって、聞き手が相槌マシーンになるのもよろしくない
###アガワ流対談指針
謙虚
でも喋る
▶ 憧れの人への接し方
ジュリー・アンドリュース
サウンド・オブ・ミュージック
喋りすぎてしまったことの反省
彼女の前で彼女の歌を歌った、語り草
###呆れられたアガワ
###本物の前で歌うのが趣味
▶ 相手に合わせて服を選ぶ
インタビューをするときは、当然のことながら、あくまでもゲストが主役
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ゲストの雰囲気に合う服を選ぶように
美輪明宏とのエピソード ー240
###これは三宅さん好み?
服装選びに場を考慮することは大事
誰と会い、誰の前でどんな話をするのか
▶ 食事は対談の後で
食事をしながらの仕事の話はどうもうまくいかないと。
:ランチミーティングをナンセンスと感じているわたしと共通点
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食べるときは食べることに集中したい
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岸田今日子のエピソード ー245
▶ 遠藤周作さんに学んだこと ーあとがきにかえて
もうこれくらいで対談終わっていいんじゃないのかな。今日は一人でいろいろしゃべり散らしたけれど、一見、躁病的軽薄に見えるこの話の中に、実は奥深い意味と象徴を見つけることのできる読者とそうでない読者とがいるでしょう
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人の話を聞くときは具体性が大事なんだ
★具体的な話を引き出さなくてはだめだ
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魅力ある話を引き出す媒体としての聞き手
12:12 3/27 読了
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