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「八日目の蝉」に生きる力をみた

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八日目の蝉 (中公文庫)ストーリーは不倫相手の赤ん坊を誘拐した女性(希和子)の4年間の逃亡劇と、誘拐された赤ん坊(恵里菜)が保護され成人した後の話の2章立てとなっている。
本作で、私の印象に残ったのは、2章目の方だった。
誘拐された子供として好奇の視線にさらされ、家族ともうまく折り合えなくなかった恵里菜の「ここではない場所に私を連れ出せるのは私だけ」に代表される生きる力を感じさせる言葉に私はひどく心を打たれた。

セミ - Wikipedia

セミは、卵→幼虫→成虫という不完全変態をする虫である。
日本の場合、成虫が出現するのは主に夏だが、ハルゼミのように春に出現するもの、チョウセンケナガニイニイのように秋に出現するものもいる。温暖化が進む近年では、東京などの都市部や九州などでは、10月に入ってもわずかながらセミが鳴いていることも珍しくなくなった。成虫期間は1-2週間ほどと言われていたが、これは成虫の飼育が困難ですぐ死んでしまうことからきた俗説で、野外では1か月ほどとも言われている。
さらに、幼虫として地下生活する期間は3-17年(アブラゼミは6年)に達し、短命どころか昆虫類でも上位に入る寿命の長さをもつ。


また、上記はwikipedia からの抜粋だが、本書では、俗説にならって蝉の一生を地中で何年も過ごした後、地上では7日しか生きられないものとしている。
その蝉の一生を恵里菜の誘拐前、誘拐後と対比させ、地上にでて7日目までの蝉、8日以上生きられてしまった蝉として語っている。
この切り口が面白い。

その語り口が恵里菜の

でもね、大人になってからこう思うようになった。ほかのどの蝉も七日で死んじゃうんだったら、べつにかなしくないかって。だってみんな同じなんだもん。なんでこんなに早く死ななきゃいけないんだって疑うこともないじゃない。でも、もし、七日で死ぬって決まっているのに、死ななかった蝉がいたとしたら、仲間はみんな死んじゃったのに自分だけ生き残っちゃったとしたら ... snip ... そのほうがかなしいよね」

ネガティブなものから、(誘拐事件の記事をかこうと恵里菜と行動をともにする女性)千草の口を介して

八日目の蝉は、ほかの蝉には見られなかったものを見られるんだから。見たくないって思うかもしれないけど、でも、ぎゅっと目を閉じていなくちゃいけないほどにひどいものばかりでもないと思うよ。

というポジティブな形に変わっていく。

どんな境遇(誘拐されようとも、親たりえない親のもと)に育とうとも、世の中は決して捨てたものではなく、その世の中でどのように生きていくかは、自分の心持ち次第である。
少々、非現実的な描写が目立つ作品だが、希望をもって明日を明るく生きていこうという気持ちにさせてくれるポジティブな作品であると私は言いたい。

2011年4月29日(金・祝)公開!映画『八日目の蝉』オフィシャルサイト



映画では、どのように描かれているのかが気になるところ。
あわせて観てみたいですね。