トピック「集団的自衛権」について
先日、国会にて日本の集団的自衛権の行使容認の議案が可決されました。それに先だって、その集団的自衛権行使容認の議案作成の中心にいたと思われる石破茂氏の日本人のための「集団的自衛権」入門 (新潮新書 558)を読了していたので、今日はその本の読書メモを公開しておこうと思います。
あくまで石破氏の意見をまとめた本なので、全部鵜呑みにしてしまうのはよろしくないと思いますが、今、読んでみる価値のある一冊ではないかとわたしは思います。
ちなみに、わたし個人の意見としては、集団的自衛権の行使容認に賛成です。
ちょっと長いですが理由は、
- 集団的自衛権とは「自国と密接な関係にある外国に対する武力攻撃を、自国が直接攻撃されていないにも関わらず、実力をもって阻止する権利」のこと
- で現状日本が想定する密接な関係のある国とはアメリカ。
- アメリカは日米安保条約に則って日本がアメリカに一方的に守ってくれているけれども、それはあまりにも日本に都合がよすぎる
- 今後もアメリカが一方的に守ってくれるとは限らない(アメリカが日本を守らないといけない義務はない上に、アメリカそのものの軍事力も縮小傾向)。
- なので、アメリカに武力攻撃があり、日本にも影響が及ぶことが懸念された時、集団的自衛権を行使し、わたしは日本がアメリカを守る手助けをすべきと思っているから
です。
それなら個別的自衛権は日本も認めているのだから、アメリカが助けてくれなくても自分たちで自分たちの国を守ればいいではないか、という意見もあるかとは思いますが、それならそれで、アメリカに対する態度を日本はもっと明確にしないといけないかなと思います(守ってくれなくてよい、と)。
集団的自衛権の行使に関しては、まだスタートラインに立っただけという理解でわたしはいます。
現状容認された集団的自衛権の抽象的とは言え 8 ケース(限定的な集団的自衛権は何をもたらすか - 日はまた昇るが詳しい)に限定されているとはいえ、実際に集団的自衛権をいざ行使しようという時には、また大きな議論を呼ぶことになると思います。
そのときに反対なら反対、賛成なら賛成の立場できちんと意見をぶつけあうことが大事なのではないかと思います。
- 他、個人的に参考になったブログ:
では、参考までに以降は読書メモです。
はじめに
- 自民党、2012
- 衆院選で、集団的自衛権の行使を可能にするを公約に明記した
- 石破さんのバラエティーでの説明
- 仲良しの人が強盗に襲われていても、それを助けにいけないのが、今の日本
- それでは信頼関係は築けなくはないか?
- 日本を戦争ができる国にしようとしているだけではないか、という反対意見
- 中韓との関係悪化
- 議論が詰まらないのが常
- テレビの場合は、討論相手と知識のレベルや考えのベクトルがあまりにも異なることは珍しくない
- 政治家は短いスパンで話を考えるべきではない
- 今、どこかの国が日本に攻めてくるのか?を議論したいわけではない
- 石破さんの意見
- 自衛隊をきちんと憲法に書きたい
- 集団的自衛権の行使を法律で可能にしたい
- 戦争をしないことを合理的に考えた結果(どう合理的なのか?)
- 新版 集団的自衛権ー新たな論争のために
- 同書籍を参考にした
- 集団的自衛権行使違憲論批判
- 同論文も参考にした
第一章 「集団的自衛権」入門編
1 戦争は禁止されている
➤集団安全保障と集団的自衛権
- 集団安全保障とは?よく混同される
- 集団的自衛権とは別物
- 第一次対戦中に生まれた考え方
- 国際法上、戦争は実質的に禁止されている
- 国連憲章第二条第四項
- すべての加盟国はその国際関係において、武力による威嚇又は武力の行使を、いかなる国の領土保全又は政治的独立に対するものも、また、国際連合の目的と両立しない他のいかなる方法によるものも慎まなければならない
- しかし、このように文章にかかれているからと加盟国が必ずしも守るとは限らない
- それに対する対策を国連が考えた結果に生まれたのが、「集団安全保障」という考え方
- 加盟国が国連という仲間であるとしたうえで、その仲間内から約束を破るような乱暴者が現れた場合にはその他の仲間の国々が共同して制裁を加えるというもの
- 国連憲章第四十三条ー19
- 大まかにいえば、集団安全保障をきちんと機能させるためには、加盟国は兵力やその他の援助をする、そして、それに関わることは安全保障理事会で決めるというもの
➤安全保障理事会は機能するか
- 安全保障理事会の性質上の問題
- 5つの常任理事国
- 10 の非常任理事国
- 15カ国中の9カ国が賛成すれば可決
- しかし、常任理事国には拒否権がある
- 常任理事国が拒否権を行使したら合意は成立しない
- 乱暴者が現れても、常任理事国のどこかと親密ならばかばってもらうことができてしまうということ
- 対策として考えられたのが、国連憲章第五十一条ー23
- 要約すると、自国が攻められた場合には、国連の安全保障理事会がちゃんと対応してくれるまでの間は、その間を埋めるつなぎとして、個別に自衛権を行使して戦ってもよい。普段からつきあいのある仲間の国同士で協力して自衛権を行使してもよい。ただし、どういうことをしたかについては、安全保障理事会に報告の義務がある。
- 集団安全保障という考え方、それに基づく大勢は尊重しなければならないが、それだけでは現実に対応できないことがある。その場合の「個別的自衛権」と「集団的自衛権」の行使を認めている
- 個別的自衛権とは?
- 自国が攻められたら、対抗して自衛する(正当防衛のようなもの)
- 集団的自衛権とは?
- 詳しく後述していく
2 第五十一条はどう解釈されてきたのか
➤新しい概念の定義
- 第五十一条(集団的自衛権)のデビューに至るまで
- 代表的な三つの説
- 集団的自衛権とは、それぞれ単独に自衛を行っている国家行為の集団現象である
- ある国の単独的行為である自国防衛への集団的関与であり、自衛というよりも集団的防衛とすべき概念
- 集団によって集団的自己を防衛するという概念
- 石破さんの解釈は三番目
➤それは自然権である
- 集団的自衛権が三番目として、もうひとつの議論の対象を議論する
- それは固有の権利
- 固有の権利とは?
- 人間が生まれながらにしてもっているもの
- the inherent right
- 佐藤昌盛先生の言葉を引用していく
- 集団的自衛権は五十一条で創られたものだという意見が多い。しかし、その概念ないし用語は新しいとしても、そのことは国際政治上、集団的自衛の行為がいくつもあったことの否定にはならない
- 集団的自衛権が国家にとっての自然権であるということは、すでに国際的には議論の余地がないのに、日本ではまだその議論にこだわっている人がいる
- 世界各国で集団的自衛権という概念が受け入れられている経緯を説明していく
3 ベトナム戦争は「自衛戦争」か
➤自衛と侵略の関係
- 太平洋戦争だって日本にとっては自衛戦争だったという人がいる。結局、自衛権というのは戦争をけしかける時の口実になるのだという意見の人々がいる。
- そういう懸念は理解できる
- しかし、それは平和憲法をもつ日本だけの懸念ではない
- 国連加盟国は集団的自衛権の濫用には気をつけなければならない
- 現在、集団的自衛権の行使に関しては一定の要件が必要になっている
- 国連加盟国に対して武力攻撃が加えられたこと
- 安保理が必要な措置を取るまでの間であること
- 自衛権行使の措置を遅滞なく安保理に報告すること
- さらに、ニカラグア事件に関係して、国際司法裁判所は以下の三つも必要としている
- 不法な武力攻撃の存在を被害国が宣言すること
- 被害国が支援を要請すること
- 必要性、均衡性を有すること
- さらに、伝統的な国際法上の自衛の概念として
- 危害を避けるためにやむを得ないものであること
➤ベトナム戦争ー36
- アメリカの立場、共産勢力が強まることは好ましくない
- しかし、だからといってそれを理由に遠く離れたベトナムにまで軍隊を派遣するのは許されるのか?
➤アメリカの正義は正論か
- アメリカの主張、五十一条に違反しない。その理由。
- 南ベトナム政府の要請があった
- アメリカ大統領は、南ベトナムを援助すると宣誓している
- 北ベトナムの侵略に対する復仇行為である
- 東南アジア条約機構の取り決めによる
- 苦しいアメリカの論理
- また、アメリカはこの件を安保理に届け出なかった
➤プラハの春
- ソ連もアメリカと似たような行動をとっている
- 1968のチェコスロバキア侵攻
- 兄弟的社会主義諸国間に締結された同盟諸条約に規定されている各国の個別的および集団的自衛権の権利に完全に合致している
- チェコスロバキア社会主義共和国の党と政府の指導者たちによる武力による援助を含む緊急援助の要請があった
- 人民の社会主義的獲得物を防衛することはすべての社会主義国にとっての共通の義務である
- チェコスロバキア情勢のこれ以上の悪化はソ連の社会主義諸国の安全保障にも影響を及ぼす
- 安保理の召集はあるも、ソ連が拒否権を発動した
➤ニカラグア事件
- 上述の例から以下のような意見もある
- 結局、大国が自分の都合で動くときに「集団的自衛権を口実にしているだけではないのか?しかも、それについて国連は何の手出しもできていない。それどころかまともなルールもない
- しかし、集団的自衛権を巡って国際司法裁判所で争われて判決まで出た例がある→ニカラグア事件
- サンデイスタ政権
- 反米的、アメリカのレーガン政権と対立
- アメリカ、国内の一部の勢力を積極的に支援するだけでなく、米軍自らが乗り出して活動
- 許されるべきではないのではないか?
- 国際司法裁判所
- ニカラグアによる武力攻撃の存在は肯定し得ない
- エルサルバドルが武力攻撃の被害国であることを公式に宣言し、米国にその権利の行使を要請したのは、米国の行動開始よりかなり遅れており、ホンジュラス、コスタリカについてはその事実は証明されていない
- アメリカにもニカラグアにも不満の残る結果ではあったが、集団的自衛権の濫用の問題が国際司法裁判所という大きな舞台で議論されたことには大きな意義
- 集団的自衛権の行使に必要な要件が整理された
- しかし、だからといって集団的自衛権の濫用の怖れがなくなったわけではない
- 佐瀬先生の意見
- 集団的自衛権といっても小国か大国かでそれがもつ意味ないし価値は異なってくる。
- それを濫用することのできる立場にない小国の場合にはわ集団的自衛権は自国の安全にとり重要な命綱となりえる反面、大国による濫用に泣かされることにもなる
- 大国はその大国的な利益のために集団的自衛権の濫用に走りやすい
- この傾向を抑えるためには、結局なにが濫用であるのかを判定する基準を明確にしていくしかない
4 日本は「自衛権」をどう考えてきたか
➤六つの段階
- 憲法第九条第一項はわが国の自衛権を直接否定していないが、第二項によりこれを行使する手段が物的・法的にないため、侵略に対し自衛権を行使できない、と解釈し、(個別的・集団的)自衛権の行使は否定されるとした憲法制定時期
➤自衛権はある
- 我が国は自衛権を保有するが、米軍駐留によりこれを集団的自衛権として行使するとした時期
- 1950、朝鮮戦争の時期
➤個別的自衛権だけある
- 個別的自衛権の行使は認めるが、憲法上交戦権が否認されているため、集団的自衛権は行使できない。集団的自衛権は国際法上一般的に確立した概念ではなく、個別の条約がなければ保有・行使できないとして、個別的自衛権と集団的自衛権を分けて考えた時期
- 1954、自衛隊の発足
- このときの解釈としては、集団的自衛権というのは、国同士が台頭に防衛しあうといった取り決めをした場合に行使できる、しかし、憲法第九条第二項があるかぎり、日本がそのような取り決めを結べるはずがない→日本は集団的自衛権を行使するようなことはない
➤在日米軍を守ることもできる
- わが国は憲法上も集団的自衛権を保有するが、他国に赴いてこれを守るという意味では行使できない。そのような能力ももてない。在日米軍を自衛隊が守るということは、集団的自衛権を持ち出すまでもなく、個別的自衛権の行使として説明可能である、とした時期
- 旧日米安保条約
- 米軍が日本に駐留するのは、あくまでも日本の希望によるもの
- 在日米軍が日本を守る義務があるかあやふや
- 1957、岸信介内閣、改定をめざす
- 日米安保新条約
➤必要最小限論
- 我が国は国際法上集団的自衛権を保有するが、自衛権の行使は我が国に対する攻撃から国民をまもるためのものとして初めて容認され、その措置は必要最小限にとどまるべきもの、とした上で、他国に対する武力攻撃を阻止する集団的自衛権の行使は憲法上許されないと解釈する時期
- 1972、沖縄返還にあたって
➤現在の解釈
- 集団的自衛権の行使は憲法に定められた自衛の範囲を超えるので、全く使えない。我が国は国際法上集団的自衛権を保有するが、憲法上その行使は許されない
この解釈は、1981、鈴木義幸内閣のとき
ごく大雑把にいうと、戦後すぐは自分たちで国を守ることすら否定していたのが、少しずつ自衛権をもつという立場になってきている。
5 「行使はできない」の根拠を疑う
➤交戦権の問題ー66
- 憲法第九条第二項
- 国の交戦権は、これを認めない
- 交戦権がない国とは、どの国とも共同防衛協定を結ばない。従って、集団的自衛権の行使は不可能、という捉え方
- 時代背景、1954
- 交戦権の否定とは
- 当時の政府見解
- 何でもかんでも交戦権の行使は否定されているからダメではなく、交戦権の内容のいくつもの内容のうち、外国からの武力攻撃を排除するための自衛権に伴うものはその行使が認められている
➤国際紛争に関する奇妙な見解
- 憲法第九条第一項を根拠にする人々もいる
- 武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄する
- B国のA国に対する侵略行為に対して、日本が侵略をやめろといい、それに対してB国が応じないという状態を国際紛争と捉える
- 国際紛争を解決する手段としての武力行使の禁止は日本だけでなく、不戦条約により広く世界各国に課せられている
- 前述の解釈だとどの国も武力介入できないということになる
➤「行使できない権利」とは
- そんなものは存在するのか?
- 権利と行使は不可分とみられているのが普通
- その証拠は国連憲章第五十一条
- この憲章のいかなる規定も…個別または集団的自衛権の固有の権利を害するものではない
➤憲法改正か解釈変更か
- 集団的自衛権の行使を可能にするにあたっての二つの手段
➤私(石破氏)の考え
- 憲法改正せずとも集団的自衛権を行使できるという考え
- 政府の考え方そのものが変遷を遂げている
- 自衛権を認めた時点で、集団的自衛権も認めたとするのが、国際法上は常識的な解釈
- 現行はわが国は集団的自衛権を国際法上保有しているが、憲法上行使できないという解釈になっている
- 憲法上保有しているのか?の議論は実は保留されている状態
- 憲法第九条のどこを読んでも集団的自衛権を行使できないという論理的な根拠はない(石破氏の意見)
6 日本政府の解釈は妥当だったのか
➤ 日本独自の定義
- 集団的自衛権の国際法上の定義
- 佐瀬先生、国際連合ー法、政治、実践。書籍
- 自衛の範囲内において、自分自身は攻撃されていない国家が犠牲国の同意を得てその犠牲国を支援する権利
- ほか
- 集団的自衛権の日本政府による定義
- 自国と密接な関係にある外国に対する武力攻撃を、自国が直接攻撃されていないにも関わらず、実力をもって阻止する権利
- 違いは?
- 日本政府の解釈には自国との間に密接な関係があるので、その攻撃を自国のものとみなす、という部分がない。そのかわり、自国が攻撃されていないにもかかわらず、とある。
- ネガティブな響き
- なぜネガティブになるのか?
- 日本の自衛権発動の3つの要件
- 我が国に対する急迫不正の侵害がある、その急迫不正の侵入を政府はこれまで、我が国に対する侵害のみとしてきたから
➤想定の義務
- 憲法第九条で認められる自衛権の発動の3条件
- 我が国に対する急迫不正の侵害があること
- この場合にこれを排除するために他に適当な手段がないこと
- 必要最小限度の実力行使にとどまるべき
- 自衛のための武力行使は国際紛争のそれとは区別できるとも考えられる
➤避けられた論点
- 集団的自衛権の行使、国連軍への参加不可について、政府はその根拠として「国際紛争解決のための手段にあたるから違憲とは明言していない
- 政府の論理
- 必要最小限の武力行使とは、我が国を守ること
- 我が国を守るとは、我が国の領土・領海・領空に対する武力攻撃が行われた場合に限り反撃すること
- 我が国の領土・領海・領空に対する武力攻撃が行われた場合に反撃することとは、個別的自衛権
- したがって、我が国が行使できる武力の行使とは、個別的自衛権の行使のことである
- しかし、国際紛争を解決する手段としての武力の放棄がそのまま集団的自衛権の否定にはならない
➤正当防衛との関係
- 個人の身を守る場合との対比
- 自分を守ることは自然権として認められている
- 間を埋める行為として、他人を守ることも認められている
- 間をうめて社会の秩序を保つのに役立つことは認められている
- それは国際憲章下の国際社会も同様
- 国内法、国際法とでは、間を埋めるという点は共通する
- 国際法では、秩序の維持というよりは自国の安全確保の実効性に重きが置かれている
- 国際法上は、他国に対する攻撃が自国にとって死活的に重要である場合には、自国に対する攻撃とみなして反撃することは集団的自衛権として認められる
- 集団的自衛権の行使に関しては、日本の領土・領海・領空への攻撃かを基準にすべきではなく、攻撃国の行為が日本に対する攻撃と同じだとみなすことができるかを基準にすべき
➤「武力行使との一体感論」について
- アメリカがどこかで戦争をしているときに、日本が何らかの支援をすれば、アメリカ軍との武力行使と一体化しているのと同じだという意見
- 政府の意見
- 武器を戦地に輸送することは許されないが、戦地から遠く離れた場所にいる軍隊に物資を輸送するくらいなら問題ない
- その通りならば、侵略戦争を行っていることが明らかな国に対して食料を渡してもよいと解釈できる
- 問題は、武力行使と一体化するかどうか、ではなく、どのような武力行使と一体化するかではないか?
- 距離の遠近、支援の内容云々といったことは関係ない
7 「行使可能」でどうなるか
➤どこまで線引きをするのか
- 集団的自衛権、政府は保有しているが行使できないで通してきた
- 行使にあたるかもしれない、として行わなかったこともある
- 議論は整理し切れていない
➤テロリストは国際紛争を起こせないー93
- 治安維持にあたる他国の軍隊を支援するか否かは政策的な判断による。場合によっては可能
- テロ特措法に基づきインド洋において補給活動を行う海上自衛隊の艦船が攻撃されても、海上自衛隊は艦船を守ることができないか?(集団的自衛権の行使にあたるから)
- 曖昧
- 攻撃が自衛隊の艦船に対するものだと考えられる場合には、個別的自衛権による対応もできると考えられる
- 外国との合同演習、共同訓練は集団的自衛権に該当するのでできないか?
- これも曖昧
- 集団的自衛権の行使を明らかに前提とした訓練はできない
➤情報提供ー96
- 自衛隊がレーダーによって得た情報を米軍に提供することは、集団的自衛権の行使にあたるから許されない
- これは否
- 集団的自衛権は実力の行使を中核とする概念。情報提供は別と考えられる
➤ミサイル迎撃は不可
- 上昇段階のミサイル迎撃は、集団的自衛権の行使にあたるから行うことはできない
- これは正
- 集団的自衛権行使と考えられるため、迎撃はできない
- 攻撃対象が不明だから
- アメリカに向けて飛翔するミサイルを迎撃することは、集団的自衛権の行使にあたり、行うことはできない
- これも正
- ただし、将来的には上昇段階でもどこに向かっているか分かるようになる可能性はある
➤食糧補給と武器補給
- 周辺事態法において後方地域支援として提供する物品などの中から、武器・弾薬の補給・提供、戦闘作戦行動のため発信準備中の航空機に対する給油・整備が除外されているのは、集団的自衛権の行使にあたるからである
- これは曖昧
- 明確な判断を示していないから
- しかし、現状の解釈ではニーズがある場合に武器・弾薬を補給したり、航空機に給油・整備したりすることは、武力の行使と一体化するとして行えない可能性がある
- 周辺事態において、我が国周辺の公海上で活動しているアメリカ軍の艦艇が攻撃を受けたとしても、自衛隊が守ることはできない。それは集団的自衛権の行使にあたるから
- これは正
➤アジアからの信頼を得よ
- 第一章のしめくくり
- 石破氏の意見のまとめ
- 集団的自衛権の行使は憲法を改正しなくてもできるという考え
- 現状の同盟相手としてはアメリカが想定される
- しかし、同盟関係は密接な関係のシンボルではあっても、必要条件ではない
- アジア諸国との良好な関係には重要の行使ができた方がいい
- 世界の常識から考えたときに、国の外交力は経済力、安全保障、武器輸出の3つが大きな柱
- 安全保障、武器輸出は無視できない
- 中国は3つをフル稼働
- それと対等にいるために集団的自衛権の行使はできるようになっていた方がいい
- 決して侵略をしようというのではない
- 誤解を招かないためには
- 先の戦争の検証
- 中国や朝鮮半島のみならず、フィリピンやシンガポール、タイ、インドネシアといったアジアの国々へしねきたことの検証、が不可欠
第二章 「集団的自衛権」対話編
➤ 1 地球の裏側で戦争をするつもりでは?
- ほげほげ政権は自衛隊を使って地球の裏側で戦争をさせたいのでは?という意見が数多く
- 自衛隊が地球の裏側にいく可能性はある
- しかし、それはあくまでもその必要がある場合のみ
- 我が国の独立と平和、安全のために必要であれば。
- 一方、必要がなければ隣の国であってもいかない
- あくまで抑止力
- 自民党は戦争をやりたがってなどいない
- なぜならこちらから戦争をもちかけるメリットは皆無だから
➤ 2 ソフトパワーの時代ではないのか?
- ソフトパワーとは?
- 軍事力以外の力、価値観の共有や人的交流や文化交流
- 文化やスポーツなどの交流による友好関係は築きやすい
- 不要な対立を招く可能性もひくい
- しかし、そもそもハードパワーとソフトパワーは二者択一すべきものではない
- ソフトパワーなきハードパワーはただの暴力
- だからこそ、世界で軍隊のない国はない
- もちろん日々の外交力は強化しなければならない
- 外交力にはそれこそ文化的交流もあるし、経済援助もある。集団的自衛権を含む安全保障の力もあるし、武器輸出も重要な要素。
- 経済援助などの力は落ちてきている
- その上、集団的自衛権を行使可能とせず、武器輸出という面でも他国と提携していないのが今の日本
- 武器輸出をめぐる複雑な事情の説明ー113
- 紛争を助長させない、との厳格な基準の下に、日本が武器を輸出したとして、その輸入国がもしさまざまな事情によって国際秩序を乱すような行動にでようとしたとき、日本が輸出を止めると意思表示することはその国の行動を思いとどまらせることになる
- 現在の世界潮流
- 武器の共同研究、共同開発、相互連携運用
- それだけ巨額な資金が必要
- 日本がそれに関わっていくことの懸念の意見
- しかし、日本は武器輸出をしていないからとそれを評価する国はほかにいない
- 買い手が売り手を悪くいうことはない
- 一蓮托生の関係を築く
- 1対1の戦争を好んでしかける国は、少なくとも先進国の中から現れることは当面考えられない
- 世界の平和と安全を脅かすような存在に対して皆で協力して行動するという集団安全保障の考え方に基づいた行動のほうが今後は増えていく
➤ 3 卑怯で何が悪いのか?
- ドラえもんでいうスネ夫のように、腕力はないけどお金はあるから助けての論理の危うさ
- 仮にもっと金持ちが現れたらどうするのか?
- そもそも今の日本は昔ほどのお金持ちではなくなりつつある
- 日本だけは特別で、自分ではけんかのできない国だから仕方ないねと考えている国はない
- そもそもズルいイメージというネガティブなイメージは外交においてプラスにはならない
- 力のバランスはいつの時代も極めて重要
- 力の空白が生まれていることにより、中国が実力行使を決断したことは忘れるべきではなく、そのような気持ちを起こさせないためにもわ日米同盟、米韓同盟、あるいはANZUSが有効に機能するようにさらなる努力が必要
➤ 4 アメリカは本当に望んでいるのか?
- アーミテージ元国務長官は明確に求めてきた
- 一方で関心のない人がいたことも事実
- しかし、最近の傾向的にはこれまで積極的ではなかった、アメリカ民主党の政治家も日本も何とか集団的自衛権の行使ができるようになってくれるといいと言い始めている
- 自国の軍事力が低下していかざるを得ない背景
- 日本にもできることはやってほしい
- 日本は集団的自衛権の行使を可能とするのことによって、改めて真正面から我が国の独立と平和、そして地域の平和と安定のために果たすべき役割を直視することになるのではないか?
➤5 想定している事態は非現実的では?ー128
- 現実的ではない場面を想定して「こんなことがあったらどうする」としたうえで、集団的自衛権の行使を認めさせようとしているのではないのか?という意見
- 第一次安倍内閣に否定的な意見
- ほとんどのことは個別的自衛権で足りるという意見
- もちろんあらゆるケースにおいて集団的自衛権の行使で対処する必要性はない。ケースによっては個別的自衛権。ケースによっては警察権。
- しかし、集団的自衛権の行使を認めないがゆえに、個別的自衛権の行使で対処できると論理を組み立てるのはかなり国内向けの議論であり、国際社会での感覚とは相当に異なる
➤ 6 個別的自衛権で何とかなるのでは?
- 個別的自衛権だなら遠くで武力行使できないというわけではないし、集団的自衛権だから地球の裏側にいってよいという話でもない
- 距離や状況の緊迫度は、個別か集団かということと全く関係がない
- 平時なのに集団的自衛権の行使が問題とされているがゆえにコブラ・ゴールド訓練への本格的参加はできないでいる
➤ 7 まずはお前が隊員になれ
- 自衛隊員が死んだらどうするのか?
- 個別か集団かということは、危険度とは必ずしも関係ない
- 自衛隊員は覚悟が必要な仕事に使命感と誇りをもって日々任務を遂行している
- 外部の人間が自衛隊員が危なくなるからダメだというのには違和感
- 同様な覚悟をしている職業としての警察官、消防官、海上保安官
- 自衛隊は常に安全ではない
- 大前提として、集団的自衛権とは「戦争をしかけられる確率を低くするための知恵」であることを覚えておいてほしい。そう考えれば自衛隊の危険度を減らすことになるという論理も成り立つ
➤ 8 自衛官は嫌がっているのでは?
- 反対の立場の人間がいることは事実
- ただし、官僚OBが多い印象という
➤ 9 アメリカの巻き添えになるだけでは?
- 同盟のジレンマ
- 相反する二つの恐怖が同盟にはつきまとう
- 同盟国の戦争に巻き込まれる
- 同盟国に見捨てられる
- 往々にして前者が強調される傾向
- 日本がアメリカを巻き込むという発想も必要なのでないか?
- 同盟強化の意味合いで。
- イラク攻撃は、アメリカの自衛権の行使ではなく、国連安保理の決議に基づいた多国籍軍が動いた
- 集団的自衛権ではなく、集団安全保障の論理に基づく行動
- アメリカが個別的自衛権の行使をした最近の例は、911後のアフガニスタン攻撃
- 日本の集団的自衛権の行使が可能であったら、自衛隊がそれに参加していた可能性はゼロではない
- しかし、可能であるというだけの話であって実行したとは限らない
- 問題の最後はその国それぞれの判断によって決まる
- その行動が日本の安全保障にどのように役立つか、日米同盟にどう影響するか、という具体的な議論に進んだ方が国民にとってみれば実のあることではないか?
➤ 10 テロリスト掃討もやるつもりですか?
- 現状でも日本が「テロリスト掃討作戦」に参加することは「憲法違反」にならない場合がある
- 憲法が禁じているのは、国または国に準ずる組織への武力行使。国際紛争の解決の手段としての武力行使。
- ただし、この場合も憲法として可能というだけ
➤ 11 憲法第九条のおかげで平和なのでは?
- 中東で日本が攻撃をされなかったのはそれだけが理由ではない
- 憲法第九条第一項に類する条文は世界中あちこちの憲法にある
- 第二項は独特。陸海空軍その他の戦力は、これを保持しない。国の交戦権はこれを認めない
- 日本が他国に攻め込まれなかった主な理由
- 日米安全保障条約
- 自衛隊の存在
➤ 12 アメリカとの関係は対等になるのか?
- フィリピンと米の安全保障条約
- 互いに集団的自衛権
- フィリピンは米軍基地をでていってほしいを言えたし、受け入れられた
- (ただし、今はもどってきてほしいけど、受け入れられていない)
- 日米安全保障条約は違う
- 対等な立場で条約を改定するにはいくつかの前提条件がある
- 集団的自衛権がそのひとつであることは明らか
➤ 13 中国・韓国を刺激しないか?
- 緊張が高まることと、戦争になるかどうかは、全くの別問題
- 集団的自衛権の行使は関係次第では日本が中国を守るために行使されることもある
➤ 14 一体、どんな危機があるというのか?
- 現実的なところでは、北朝鮮が韓国に侵攻することは想定しておかなければならない
- 日本が集団的自衛権をもっていることが抑止力になる可能性はある
- 韓国との関係次第ではあるが。
➤ 15 徴兵制への布石では?
- 軍事合理性から日本では徴兵制のメリットがない
- 自衛官の志願者は多く、競争率は高い
- 5倍超の競争率
- ハイテク化が進んでいて誰でもなれるわけではもはやない
- 就職難、自衛隊のイメージ改善→競争率の上昇
- 自民党でも徴兵制は憲法に違反するという立場をとっている
- ドイツでも徴兵制は2011に廃止
➤ 16 結局、イケイケドンドンになるのでは?
- 集団的自衛権行使にはいくつもの条件
- 自民党の国家安全保障基本法案ー173
- サマーワへの派遣ですら激論のうえに新しい法律までつくらなければならなかった(水の補給や道路の敷設がやったこと)
- 自衛隊派遣はそんなにスムーズには今後もいかない(たとえ集団的自衛権が行使できても)
- 日本国民は太平洋戦争の教訓を忘れてしまっているほど愚かではない、という意見(石破氏)
- 集団的自衛権の濫用の最後の歯止めは、「国民の良識」
付録 国家安全保障基本法についてー177
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