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”重力とは何か”の読書メモ

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読了本の読書メモを少しづつ公開していこう( 2012 第二弾) - #garagekidztweetzで告知した読了本の読書メモを共有、 5 冊目です。
5 冊目は、「重力とは何か アインシュタインから超弦理論へ、宇宙の謎に迫る (幻冬舎新書)」です。

はじめに

▶ 「知りたい気持ち」は止められない

重力のことをいつも考えている
多くの人に伝えたい
なぜなら楽しいから
人間は、生活にはほとんど関係のないことまで知る能力を得てしまった
役に立たないことと分かっていても好奇心には勝てません
一度しかない人生の中で、この世界のことをできるだけ深いところまで知りたいと願って、研究を続けてきた

▶ 重力研究がなければGPSも生まれなかった

こうした研究が思いがけないところで役に立つことはある
1969、フェルミ国立加速器研究所、初代所長、ロバート・ウィルソン
「素粒子加速器の建設は、わが国の防衛にどのように役立つのか」と問われた
「この加速器は、直接には国防の役には立ちません。しかし、わが国を守るに足る国にすることに役立ちます」
→答え方も立派、通した議会も立派

科学の発展は一国の名を上げるだけではない
合理的な考えを広めることで、人類を迷信や偏見から解放し、宇宙や生命の神秘を明らかにすることで、私たちの世界を豊かにしてきた
科学それ自体に価値があり、それを生み出すことには大きな意義がある

科学的な発見
最初は研究者の知的好奇心でも、長い目で見ると、結果的に世の中の役に立つことが多い

ガリレオ・ガリレイ
「振り子の等時性」→「調和振動」
科学者が研究に使う道具がスピンオフして社会全般に広まるケース
→ウェブブラウザ、もともとはCERNで使っていたサーバーに置いた情報を各自がパソコンで閲覧するための仕組み

▶ 重力研究は宇宙の理解につながっている

万有引力の法則と相対論
→重力の働きに関する画期的な発見

重力研究
ニュートンとアインシュタインの時代につぐ「第三の黄金時代」

本書のプランの説明 ー10
朝永振一郎
「ふしぎだと思うこと これが科学の芽です
よく観察してたしかめ そして考えること これが科学の茎です
そして最後になぞがとける これが科学の花です」

トピック
七つの不思議
特殊相対論
一般相対論
アインシュタインの予言
・重力も波のように伝わっていく
・重いものがあるとそのそばで光が曲がる
→暗黒物質、暗黒エネルギー
ビッグバンの証明
量子力学
超弦理論
ブラックホールの情報問題
ホログラフィー原理
超弦理論の課題と将来の展望

重力の七不思議

▶ 重力は「力」である=第一の不思議

古代ギリシャのアリストテレス
物質そのものに「本来の場所に戻る性質」があると考えた
→天体は説明がつかない

アイザック・ニュートン
物質に働く「力」を明確に定義
物体の運動を変えるものはすべて「力」
力が働いていなければ、物体の動きは変わることなく、同じ速度でまっすぐに動く
→物体が地面に落ちる現象も「力」の働きで説明される
→地球からの引力という「力」
→その引力が「万有」であることに気づいた
「万有引力」という以上、地上に限定されない

▶ 重力は「弱い」=第二の不思議

万有引力の検証に時間→重力は弱いから
別の「力」と比較した場合の話
例えば磁力と比較する ー27
たとえば、電磁気力が重力よりも弱かったら、私たちは机の上で頬杖をつくことすらできない

弱い重力を実験で証明したのは、イギリスのヘンリー・キャベンディッシュ
「ねじり天秤」を使って。

日常生活で電磁気力より重力を意識することが、多いのは重力には「引力」だけで「斥力」がないから
私たちのまわりにあるものはプラスとマイナスの電荷をほぼ同じだけもって中性になっているので電磁気力の引力と斥力は打ち消しあってしまう

▶ 重力は離れていても働く=第三の不思議

重力も「離れているものを動かしている」という意味では、磁力と変わりません
磁力への理解が進むにつれて、重力の遠隔作用も信じられるようになりました

[]磁力と重力の発見者

電磁気力といえども離れているものの間に瞬間的に力が伝わるわけではない
磁石が鉄を引き寄せるとき、両者の間では力を伝える粒子が行き来している
→重力でも同じ、まだ発見されていないが

▶ 重力はすべてのものに等しく働く=第四の不思議

物質は同じ速さで落ちる
ものは重いほど「動かしにくい」
そもそも質量とは、物質の「動かしにくさ」のこと

無重力の空間で、200kgの相撲取りと子供が押し合いをする
→子供のほうがより遠くへ飛んでいく
→質量の重い相撲取りのほうが「動かしにくい」

質量の大きい物体には「動かしにくい性質」と「重力に強く引かれる性質」の両面がある
スイカとりんごが同時に落ちるのは、この二つの性質がちょうどプラスマイナスゼロで釣り合っているから

「質量」と「重さ」の違い

どうして「動かしにくさ」と「重力の強さ」という二つの効果がぴったりキャンセルされるのか
→アインシュタインが回答→後述

▶ 重力は幻想である=第五の不思議

ボストン科学博物館、「人工落雷ショー」
「ファラデーの籠」
電気を通しやすい導体でかこまれた空間

電気をはじめとする電磁気力は「遮ることができる」
→重力は遮れない、しかし、重力の効果を感じなくさせることはできる
例:ジェットコースター、飛行機と一緒の速さで落ちているとき

重力は逆にふやすこともできる

重力は見方によって姿を変える不思議な性質を持っている★

▶ 重力は「ちょうどいい」=第六の不思議

重力は遮蔽物でブロックできないので、(徐々に力を弱めながらも)無限に届く

宇宙が長い時間をかけて星や銀河をつくり、そこで私たちのような生命体を生み出すことができたのは、重力がそのために「ちょうどいい」強さだったから
→当たり前のことなのか、いまだに分かっていない

▶ 重力の理論は完成していない=第七の不思議

重力の働きを説明する理論はまだ完成していない
→それそのものが大いなる「不思議」
この世界全体の成り立ちを理解する究極の理論を築き上げる上で、きわめて大きなカギを握っている

第二章 伸び縮みする時間と空間 ー特殊相対論の世界

▶ 物理学者は急進的な保守主義者

物理学
物質の成り立ちやそこに働く力の作用を理解することで、自然界のどんな法則によって起きるのかを解明しようという学問
古い理論では説明できない現象があれば、その理論を「拡張」する形で新しい理論を考える
↓その意味で
物理学者は「保守的」、確立した理論をそう簡単には手放さない
しかし、「守旧派」ではない、その理論を後生大事にすることはない
→ギリギリの条件までその理論を使ってみて「使えない」とわかれば新しい理論を考えます

理論をあえて「想定外」の状況において、その「実力」を試す

理論がある状況で破綻するのは、物理学者にとってチャンス
そこに「知らない世界」がある証拠だから★

▶ 物理学の理論は「10億」のステップで広がってきた

物理が扱う自然界、極小から極大
まずはわかる範囲から理解し、その領域を広げてきたのがこれまでの歴史
最初から全体像が見えているわけではない、ある程度まで進まないと「その先」にある世界が見えてこない

地球の円周の計算 ー49

10億メートル程度の世界と、おおむね1-2メートルの「身の丈」の世界が同じ法則で動いているのをニュートンが発見
ー10億のステップの###image ー51

光の速さは有限
宇宙では遠くを見れば遠くを見るほど「過去」をみていることになる
理論上は137億年前の「宇宙の始まり」も見えるはず
→しかし、どんなに望遠鏡の性能をあげても、あるところから先はみられない
宇宙は誕生40万年までは超高温のプラズマ状態だった
→光はそれに反応してしまい、まっすぐ飛べない
↓しかし、プラズマ波のなかでも
重力波は伝わる
→重力はなにものにも遮られない

▶ ナノレベルの世界のナノテクノロジー

小さな世界のほうの話
ナノメートルのレベルで現在コントロール可能
→「10億分の一」の世界
→10億x10億メートルの世界に通用しなかったニュートン理論は、ミクロの世界でも通用しない
→そこで登場したのが、「量子力学」

「素粒子」の研究になくてはならないもの

原子→陽子と中性子→クォークという素粒子

▶ 電波も光も放射線も、みな電磁波の一種

電気と磁気を統一したマクスウェルの理論
電磁気と光の関係
電場が磁場を誘起し、その磁場が変化して電場が生まれる
→一つの波をつくる

この電磁波が光の速さで伝わった
光は電磁波の一種
電波、赤外線、可視光線、紫外線、X線、ガンマ線

電波
長波、中波、短波、マイクロ波

可視光線が可視なのは、私たちの目がその波長の電磁波に反応するようにできているから

▶ どんなに足し算しても光の速さは変わらない

マクスウェルの理論はニュートン理論と矛盾
マクスウェルの方程式→光は常に秒速30万キロメートルで一定になる

ニュートン力学では、物体の速度が「足し算」で変わるとされていた
速度の合成則

マクスウェルの方程式によると光についてはこの法則があてはまらない

▶ 光速の不変性を実証した「マイケルソン=モーリーの実験」

地球が太陽のまわりを公転しているのを利用して、光の速さが変化するかどうかを調べた ー61 ###image
干渉縞の変化を見る
→干渉縞は変化しなかった(光の速さは変化しなかった)

ニュートン理論の修正に取り組んだ
→仮説:物体の速さが光よりも十分に遅い場合は、ニュートンの合成則によってほぼ正しい「近似値」が計算できる
しかし、速さが光速に近づくにつれて、もっと複雑な計算をしなければ正確な答えがでないのではないか
光速という「極限状態」

「ポンカアレ予想」

アインシュタインによる解決

▶ 同時に出したのになぜ後出しジャンケンになるのか

アインシュタインの特殊相対論
「もし光と同じ速度で並んで走ったら、光はどう見えるか?」
→マクスウェルの方程式が正しいなら、光は秒速30万キロメートルで飛び去っていくことになる

光速が一定である代わりに、時間や空間が変化するのだと考えた
光速に近づけば近づくほど、時間の進み方が遅れたり空間が縮んだりする
→とりあえずは、「光の速さが一定だとすると、走っている人の時計は遅れるのだ」程度に理解しておく

動いているものは、時間の進み方が変わるので「同時性」が成り立たない
ー実験 ###image 66

時間は絶対的なものであり、過去から未来に向けて流れているという誤解
「絶対時間」は存在しない★

▶ 列車の一秒と外の一秒の長さが違う

光速に近づくほど時間の進み方が遅れる現象
「光時計」

事実、新幹線程度の速さでも、東京から博多にいくあいだに、車内の人の時計は1ナノ秒遅れる

▶ 時間だけでなく距離も伸び縮みする!

「速さ=距離÷時間」
速さを一定に保ったまま、時間が伸び縮みすると、距離の方も変化する

「ローレンツ収縮」

▶ 「E=mc2」とは固定相場の為替レート

ニュートン力学
時間や空間が不変であるという前提
→光速が一定だと考えると、矛盾が生じる
↓アインシュタインは
現象が起きている「箱」も変化するのだと考えた
→光速が一定になるならば、時間や空間が伸び縮みすればよい

E=mc2
特殊相対論の最も深遠な予言を表現する式
[]E=mc2 世界一有名な方程式の「伝記」
エネルギーは質量に光速を二回かけたものに等しい
→何を意味するのか?

エネルギー保存の法則
位置エネルギー、運動エネルギーに変わる
エネルギーの総和が保存される

独立した考えとして、質量も保存されると考えられてきた
化学反応の前後で質量は変化しない
「質量保存の法則」
↓ところが、
アインシュタインはエネルギーと質量は別々に保存されるものではないと主張した
「エネルギー」と「質量」が実は同じものであり「E=mc2」で換算できるとした

エネルギーと質量の為替レートを示している

もし質量が保存されるのであれば、リンゴが地面に落ちたとき、そのかけらをすべて集めて質量を量れば、潰れる前と同じになる
→しかしならない
→実際には「位置エネルギー」が「音」や「熱」に使われてしまっているので、「E=mc2」で換算した分だけリンゴと地球の質量の和は減ることになる

少しの質量でも、cの二乗をかければ極めて大きなエネルギーに換算される
→原子爆弾、原子力発電といった莫大なエネルギーを生む技術も可能になった

▶ なぜエネルギーを質量に変換できるか

重心
一様な重力が働いているときにそこに支点をおくとちょうど釣り合う点のこと
→外から力が働かない限り変わらない性質

光子ロケット

E=mc2の説明 ー80
エネルギーの量が大きく変化する物質を調べれば、この理論を検証することは不可能ではない ーアインシュタイン
↓27年後、1932
リチウムの原子核を陽子にぶつけ、それが二つのヘリウムに組変わるときに質量の総和が0.2%減っていることを見つけた ーイギリスの物理学者、ジョン・コックロフト、アーネスト・ウォルトン

▶ もし光より速い粒子があったらどうなるか

ニュートリノ

光よりも速い粒子があったとすると、粒子と同じ方向に向かっている人からは、その粒子が過去に向かっているように見える

因果律
科学の基礎、これを破らないように特殊相対論では光速を制限速度にしている

第三章 重力はなぜ生じるか ー一般相対論の世界

▶ まずは「次元の低い」話をしよう

アインシュタインの相対論には、「特殊」と「一般」の二つがある

「特殊」
基本的に物体の等速直線運動を説明するもの
→自然界にはさまざまな力→特殊な状態

一般相対論は、重力の働きを解き明かすもの

四次元の時空を取り扱っている理論を二次元で説明
→次元の低い話

四次元
「空間三次元+時間一次元」
相対論では空間と時間が伸び縮みする
→両方をあわせて「時空」という概念で捉える

時空の次元とは、「位置を決めるためにいくつの情報が必要か」と同じこと
三次元の空間では、縦、横、高さの三つの情報があれば位置が決まる

▶ 二次元空間に「球」が現れたらどう見えるか

空間が四次元の世界(時空は五次元)
縦、横、高さ、時間、もうひとつは?
[]フラットランド

▶ 円の中心にものを置いたら中心角が360度よ

り減った?!
「フラットランドの重力理論」
欠損角の話 ー92★★

重力は幻想
重力という力の作用があるように見えるだけで、その現象の正体は「欠損角」であり、それによって生じる「空間の歪み」なのです
94

▶ 重力の正体は時間や空間の歪みだった

二次元のアインシュタイン理論と三次元のアインシュタイン理論には違いがいくつもある
1. フラットランドでは「重力波」は生まれないこと
2. フラットランドにはブラックホールもない
→重力が極端に強くなって時間が止まってしまうのがブラックホール
→二次元では時間が変化しないため、ブラックホールができない

重力によって空間の性質が変わるのは、三次元も二次元と同じ
質量により空間が歪み、それが物体に影響を及ぼしている

公転の理屈 ー96

▶ アインシュタインの人生最高のひらめきとは?

1905、アインシュタイン、ふたつの論文
「ブラウン運動」→原子や分子の存在
→水面に散らした花粉が小さく運動すること
「光量子仮説」→量子力学の基礎になった
→それまで「波」だと思っていた光が「粒子」の性質を併せ持つことを示した
↓1907、「最高のひらめき」
落ちていくときには、自分の重さを感じない
→ニュートン力学でも証明できなくはないが
→「落下中は重力が消え、力が働かない」ことを仮定して、「重さと質量が等しい」ことを説明しようと提案した

「等価原理」
エレベーターの上昇、下降時に重力が増えたり減ったり感じること
→実際に重力が増えたり減ったりしている

「重力加速度」

▶ 消せる重力、消せない重力

重力とは加速度があるということと同じこと
しかし、実際には、重力が一様に働き、加速度によって「消す」ことができるのは、むしろ例外的な状態
→重力は一様ではない。距離、南極と北極では逆…

地球の重力には、縦方向には物体を引き伸ばし、水平方向には押し潰す働きがある

一様ではない重力による効果を、一般に「潮汐力」という

▶ 回転する宇宙ステーションの中では何が起きるか

重力が一様でない場合にも、空間の各点では重力の効果を相殺することができる

「違う速度で動いている観測者の間の関係がどうなっているか」

理解のための実験室
くるくると回る宇宙ステーション
回転させるのは無重力状態は長期滞在に不向きだから
回転させると遠心力が生じるので重力があるのと同じ状態になる

アインシュタインの等価原理
加速度や遠心力によって働く引力は、「重力そのもの」
そしてこの重力は一様ではない
「この宇宙ステーションで回転部分の円周を測ったらどうなるか?」

▶ 円周率=3.14... が成り立たない世界 ー107★★

ローレンツ収縮により短く見える
直径を測る定規が。

宇宙ステーション内の他の不思議な性質
動いているものの時間は遅れて見える特殊相対論の効果→回転している宇宙ステーションの時間も遅れる

時計をあわせることもできない

空間の歪み、時間の遅れ、時計合わせの困難
→宇宙ステーション上の「人工重力」によるもの
↓アインシュタイン、このような考察から
重力とは、時間や空間の性質の変化であると考えるようになった★★

▶ 数学者ヒルベルトとアインシュタインのデットヒート

物体があると時間や空間が変化し、その時間や空間の変化が物体の運動に影響を与える
→しかし、それを方程式にまとめるのは容易ではなかった

「リーマン幾何学」
複雑な歪み方をした空間の図形を扱う
→本格的な数学の助けが必要になった
→アインシュタインは助けを求める

ダフィット・ヒルベルト(ドイツ)
アインシュタイン双方が最終的に解いた

▶ 水星の軌道を説明できたーアインシュタイン理論のテストその一

理論が出来上がったら、本当にそれで自然現象が説明できるかを検証する

太陽系の惑星
太陽だけの重力を受けているわけではない
惑星同士のあいだでも、無視できない強さの重力が働いている
その影響すべてを計算しなければ、正確な軌道は割り出せない
水星の内側に星がなくてもいいことを証明した→ニュートンの重力理論では水星の動きは説明できなかった

▶ 重力レンズ効果が観測できたーアインシュタイン理論のテストその二

アインシュタイン理論の予言
→「光が曲がる」

1919、イギリス、アーサー・エディントン
皆既日食観測
もし光が重力で曲がるなら、太陽の近くを通る星の光は本来の位置からズレて見えるはず
→観測の結果、星の光が曲がる角度は、アインシュタイン理論の予言とほぼ一致

重力によって光が曲がるという現象は、天文学に大いに活用されるようになった
「暗黒物質」の研究には不可欠
宇宙に大量に存在する「謎の重力源」

1930年代、カリフォルニア工科大学、フリッツ・ツビッキー
「重力レンズ効果」
一つの星の光が複数に分かれて地球に届くことも珍しくはない
「アインシュタイン・リング」
遠方の星や銀河からの光が輪のように広がって見えることもある

暗黒物質があるとしても、その正体はまだ不明
MACHO 説
WINP 説
120

▶ 重力波をキャッチせよーアインシュタイン理論のテストその三

アインシュタイン理論の予言
→「重力波」
時間と空間の曲がりが波となり、やはり光速で空間を伝わるはずだ
→直接的には観測されていない
→間接的な証拠

連星パルサー、公転周期だんだん短く
→そのエネルギーを持ち去っている犯人とされているのが、「重力波」

重力波を直接捕まえるための実験、世界各地 ー122
KAGRA

▶ あてになる力ーナビーアインシュタイン理論のテストその四

アメリカ空軍が運用する30個ほどの衛星システム
少なくとも四つの衛星から信号を受け取ることによって、時間と位置を正確に割り出す
(縦、横、高さ、時間→空間三次元+時間一次元)

GPSの精度をあげるには「時計」があっていなくてはならない
→しかし、どんなに正確な時計でも相対論効果からは逃れられない

GPSは特殊相対論と一般相対論を使って誤差を修正し、人工衛星と地上の時計が合うように設定してある

第四章 ブラックホールと宇宙の始まりーアインシュタイン理論の限界

▶ 地球も半径9ミリまで圧縮すればブラックホールに

アインシュタイン理論にも説明のできない「極限状況」が存在する
→そのひとつ、ブラックホール
→光さえも逃れられないほどの重い星

「脱出速度」
↑そのために最低限必要な速度
ある星からロケットを打ち上げるとき、その速度が足りないと星の重力に負けてしまうため、「脱出」できない
→その星と半径によって決まる
→星の質量が同じなら半径が小さいほど(星の密度が高いほど)大きくなる

どんな天体なのか
カール・シュワルツシルト
シュワルツシルト半径

▶ 超えたら二度と帰ってこれない「事象の地平線」

シュワルツシルト半径の思考実験 ー131
e-mailをブラックホールに入るまで等間隔で送る
→だんだん間隔があいていく
→重力が強いほど、外からみた時間は遅れる

シュワルツシルト半径の中に入るとe-mailもでてはいけなくなる
→シュワルツシルト半径によって区切られる境界線のことを「事象の地平線」と呼ぶ
→ここから脱出するには光速をこえなければならない

▶ 超巨大ブラックホール・クェーザー

ブラックホール、その多くは寿命を迎えた星が大爆発(超新星爆発)を起こした後にできるものです

もっとスケールの大きなブラックホール
「超巨大ブラックホール」
→「クェーザー」、「準星」とも呼ばれる
光を飲み込むブラックホールが明るく輝く
→銀河の進化に重要な役割

▶ アインシュタイン理論が破綻する「特異点」

なぜブラックホールがアインシュタイン理論の限界を露呈させるのか?
思考実験ふたたび ー137
ブラックホールに入ったあと、どうなってしまうのかが分からない
受ける潮汐力がどんどん大きくなり、有限の時間で無限大になってしまう
→物理学で無限大がでてきてしまうとお手上げ

時空の「特異点」
→宇宙の起源を考えたときにも同じ問題にぶつかる

▶ 宇宙の膨張を明らかにしたハッブルの発見

エドウィン・ハッブル
「ハッブル宇宙望遠鏡」
アンドロメダ星雲、天の川の外側にある銀河だと発見

さらに大きな発見
遠くの銀河ほど、速い速度で地球から遠ざかっていることを明らかにした
その速度は距離に比例→「ハッブルの法則」

一見すると地球があたかも宇宙の中心
「コペルニクス的転回」→そうではない、太陽の周りを回っている
宇宙にはとくべつな場所はない→「コペルニクス原理」

ハッブルの法則のイメージ ー141

距離が遠いほど速く遠ざかるなら、あるところから先の銀河が地球から遠ざかるな速度は光速を超えてしまう
→超高速で遠ざかるな銀河は地球からは観測できない
「宇宙の地平線(コズミック・ホライズン)」

▶ 宇宙の膨張を加速させる「暗黒エネルギー」とは?

宇宙項
重力に反発力をもたらし、そのままで収縮してしまう宇宙を支える役割
→宇宙項の大きさをうまく調節する必要
→少しでも小さいと宇宙は途端に潰れてしまい、逆に大きいと加速度的な膨張が起きる
→ぴったり調節しないと永久不変にならない

ハッブルの法則がただしい、宇宙は膨張している、アインシュタイン認める
何らかのエネルギーが加わって膨張を加速させている
→正体はまだ不明
→「暗黒エネルギー」と名付けられた

▶ 宇宙が火の玉だった137億年前の「残り火」

宇宙が未来に向かって膨張しているのであれば、過去にさかのぼるとどんどん収縮していくことになる
↓突き詰めると
宇宙のはじまりは潮汐力が無限大の「特異点」

いまから137億年前にアインシュタイン理論が破綻する状態があったのではないか
ジョージ・ガモフ
「ビッグバン模型」
昔の宇宙が超高温の「火の玉」のようなものだったとかんがえた

残り火が残っていると予想
赤外線より波長の長い「マイクロ波」
になっているはず
→アメリカのベル研究所の研究員が発見 ー148

▶ ビッグバン理論に強く抵抗した科学者たち

宇宙が小さな火の玉から膨張を続けているとしたら、その「外側」はどうなっているのか?

宇宙のビッグバンでは、空間自体が膨張する
「二点の距離が広がる」
→かならずしもその空間の「外側」は必要ない
→無限の空間でも膨張や収縮はできる

リフシッツとハラトニコフの反論
不規則な形の星が重力崩壊を起こした場合は特異点が避けられ、潮汐力は無限大にならないのではないか
↓さらなる反論

▶ アインシュタイン理論の破綻を証明し、ホーキングがデビュー

イギリス、ロジャー・ペンローズ
どんなに形の不規則な星でも、ブラックホールになれば特異点は避けられない
もともとの形とは関係なく、質量があるところより小さい領域に集中すると、重力崩壊は後戻りすることがない

初期宇宙ではどうか?
スティーブン・ホーキンス
観測されている物質量とハッブル法則を前提に、アインシュタイン方程式を使って宇宙の過去にさかのぼると、初期宇宙には必ず特異点が存在する

第五章 猫は生きているのか死んでいるのかー量子力学の世界

▶ 「光の正体は波」で決着したはずが…

「量子力学」
ミクロの世界を扱う
宇宙のはじまりの謎を解くには、アインシュタイン理論の限界を乗り越え、相対論と量子力学の二つの理論を統合しなければならない
↓そのさきに
自然界のすべての現象の基礎となる究極の統一理論があると期待されている

「光」を巡る謎
粒?波?
「二重スリット実験」
「マイケルソン=モーリーの実験」


↓その結論をひっくり返す

▶ 「光は波」では説明できない光電効果という現象

アインシュタイン
「光量子仮説」
金属に光を当てると電子が飛び出す様子 ー161
→「光電効果」

波には「波長」と「強さ」という性質

波長が長い光、いくら光を強くしても電子は飛び出さない
逆にどんなに弱い光でも波長が短ければ、数は少ないもののときどきは電子が飛び出す
一つ一つの電子が受けるエネルギーは、光の強さではなく波長だけで決まっているとしか考えられない

▶ 「光は粒」と考えた、アインシュタインの「光粒子仮説」

光が粒からできていて、一粒一粒のエネルギーが、その波長に反比例しているとする
波長が短ければ光の粒のエネルギーが高く、その粒に当たった電子は飛び出る
逆に波長が長くエネルギーが低い粒をどれだけ当てても電子はでてこない
一方、波長をそのままにして光の強さを変えると光の粒の数は変わるが一粒一粒のエネルギーは同じ
→飛び出してくる電子一つひとつのエネルギーも同じで、その数が増減するだけ→レーナルトの実験に説明が付く

この光の粒のことを「光子」

▶ 放射線障害のメカニズムも「光は粒」で説明できる

光は粒である
→量子力学は始まった

「量子」とは「ミクロの粒々」のこと
→マクロの視点で連続的に変化していると見えるそのエネルギーが、ミクロの視点では「とびとびの値」になる

赤外線をいくら浴びても日焼けはしない
紫外線が日焼けの原因になるのは、波長が短い(つまりエネルギーが高い)から
→メラニンが反応
赤外線の波長はそのメラニンが反応する閾値よりも長い(エネルギーがひくい)ので、いくら浴びてもメラニンは反応しない

紫外線よりも波長の短い電磁波を浴びれば、人体のうけるダメージは日焼け程度では済まない
→レントゲンをたくさんとりすぎるとガンのリスクが高まると言われるのはそのため
→X線は紫外線よりも波長が短い

可視光線はいくら浴びても問題ない
→エネルギーが小さい

X線よりもはらに短い波長→γ線

▶ すべての粒子は「粒」であり「波」でもある

どちらの性質ももっていると考える

一方、電子は誰もが粒だと思っていたが、波の性質もあった
ー科学史上最も美しい実験

▶ 常識ではとても受け入れがたい量子力学の世界

量子力学はある意味で、アインシュタインの相対論よりも革命的
アインシュタイン理論は、「時間と空間が変化せる」という点でニュートン理論を乗り越えているものの、その方程式を作る上での考え方は、ニュートン以来の古典力学に属している
→量子力学ではこの常識が覆る
ミクロの世界では、粒子の運動が決まった軌跡をたどるわけではない
方程式をつかって計算しても、光子や電子の行き先は予測不可能

量子力学がわかっているなんていう奴に会ったら、そいつは嘘をついている ーリチャード・ファインマン

▶ 「あったかもしれないことは、全部あった」と考える?!

ファインマン
運動方程式にとらわれずに、可能性のある動きをすべて考える

二重スリットに電子を打ち込むケース
・まっすぐ左のスリット
・まっすぐ右のスリット
↓もっと大胆にすべての可能性を
電子がスリットに向かってまっすぐ進まないケースを考えろといっている

それらをすべて考えた上で、それぞれの「効果」を足しあわせる

ニュートン力学を根本的に否定するものではない

ファインマンの計算法
考えられるルートをすべて足すことから「経路和」と呼ばれている

▶ 「生きた猫」と「死んだ猫」が一対一で重なりあう!?

要するに粒子の運動は確率的にしか予測できず、実際に観測するまで定まらないのです

「シュレデインガーの猫」
有名な思考実験
エルヴィン・シュレデインガー、「波動方程式」
生と死が1対1で「重なり合っている」

量子力学の「観測問題」
「それを観測する存在とは何なのか?」

▶ 位置を決めると速度が測れない!?ー不確定性原理

量子力学ではさまざまなことが「はっきり決まらない」

可能な経路をすべて足して計算されるような粒子を「量子力学的粒子」
↓極端な例
「不確定性原理」
粒子の「速度」と「位置」を同時に定めることができない
速度が正確に決まっている粒子の位置は「不確定」であり、逆に位置を決めようとすると速度が定まらなくなる
ひとつの量子状態は固有の位置と速度を同時に持つことはないという原理

この原理、粒子が「粒」と「波」の性質を併せ持つことから理解できる ー179

時間とエネルギーの間にも不確定性の関係がある

「ハイゼンベルクの不確定性原理」
位置を測定しようとすると、その行為が測定対象の速度を変化させるので、速度の測定値に不確定性を生んでしまうという測定精度の限界に関する主張

▶ 量子力学と特殊相対論が融合して「反粒子」を予告

量子力学と「特殊」相対論の融合
「場の量子論」
→電磁場にも量子力学の原理を当てはめる必要がある
↓そこからでてきた重要な予言
「反粒子」
ある粒子と逆符号の電荷をもつ粒子のこと
質量など、電荷以外の性質は全く変わらない

カリフォルニア工科大学、カール・アンダーソン
宇宙線の中から発見

「対消滅」
電荷が逆符号の粒子とであうと、反粒子は消滅する
しかし、エネルギーは保存されるので、そのエネルギーな光となって飛んでいく

一方、
真空の中では、何もないところから粒子と反粒子が「対生成」され、たちどころに消えるという現象が起きています

時間を正確に決めれば決めるほど、エネルギーの量は決めにくい ーつまりエネルギーの量がアバウトになる
→ほんの短い時間であればエネルギーの保存則が破れてもかまわない

▶ なぜ未来から過去に戻る粒子がなければならないのか

**
反粒子が予言される理由三つ
ステップ1. 過去に向かう粒子は反粒子
出来事の順序が逆転するということ
過去に向かう粒子は、未来に向かう反粒子

ステップ2. 経路和には、超光速粒子が現れる
ファインマン流の量子力学
粒子は、未来に向かう限りは、どのような行動をとることも許される

ステップ3. 超光速粒子は、過去に向かう粒子になれる
「超光速ニュートリノ」
特殊相対論が正しく、なおかつ光より速い粒子があるとしたら、これを走っている人から見ると、その粒子は過去に向かっているように見えることがある
ー187 ###image ★

ただし、量子力学で、超光速の粒子を考えるからといってタイムマシンが可能になるわけではない

「超光速ニュートリノ」が驚きだったのは、これが本当なら光よりも速く情報を送ることができるようになり、因果律と矛盾
→特殊相対論を考え直さなければならなくなる

▶ 粒子と反粒子が対消滅と対生成を繰り返す

電子に限らない性質

粒子と反粒子の対消滅と対生成の図解 ー190★
192

▶ 真空から粒子が無限に生まれてしまう「場の粒子論」

ここで一番重要なのは、何もない真空から対生成により粒子がボコボコと出てきてしまうために、「粒子の数を決めておけない」ということ
計算は、考慮に入れる「自由度」が大きければ大きいほど難しくなる

素粒子の基礎
「場の量子論」
→まだ解決されていない
「ヤン=ミルズ問題」

第六章 宇宙玉ねぎの芯に迫るー超弦理論の登場

▶ 「宇宙という玉ねぎ」はどこまで皮がむけるか

物理学の目的
真骨頂のひとつ、自然界の「基本法則」を発見すること
新しいフロンティアを開拓する度に、従来の理論を統一する理論が築かれてきた
→特殊相対論と量子力学を融合させて「場の量子論」

どこまで物理学が扱う領域は広げられるか
[]宇宙という名の玉ねぎ
物理学のフロンティアが広がっていく様子を、玉ねぎの皮に例える
→クオークが、それ以上は分解できない素粒子=物質の根源なのか、それとも未知の基本粒子で構成されているのか、今後の実験で検証されるべき問題

クオークかどうかは別として、この玉ねぎには必ず「芯」がある

▶ 加速器を巨大にすれば無限に小さなものが見えるのか

まだ、「これが芯である」は見つかっていない
「顕微鏡」の解像度を高められるかどうかは、エネルギーをどこまで高められるかできまる
↓エネルギーを高めるため
粒子加速器はどんどん巨大化
→CERNのLHC
→加速器のエネルギーを高める限界

粒子の波長を短くするためにエネルギーを高めれば高めるほど、ブラックホールに邪魔されて観測できない領域が広がってしまう

▶ 宇宙という玉ねぎの「芯」は「ブランクの長さ」

LHC の中にはブラックホールができる
今のところは、ごく小さなもの、すぐに消えてしまう

思考実験 ー202
エネルギーを高めれば高めるほど波長が短くなり、ブラックホールは大きくなる
ますます観測には意味がなくなる
加速器実験でミクロの世界を見る手法は、10ナノ・ナノ・ナノメートルまでが限界
「技術的に不可能」なのではなく、「原理的に不可能」
→「ブランクの長さ」

▶ 宇宙の根源を説明する、究極の統一理論とは?

原理的にすら観測できないものは、物理学では「ない」のと同じであると考える
→プランクの長さが、宇宙という玉ねぎの芯

「芯」で起きる現象を説明できる理論さえ築くことができれば、それ以上に理論を拡張する必要はない
→「究極の理論」の完成
↓どんな理論か?
目星
量子力学と一般相対論を融合したもの

▶ 朝永=ファインマン=シュウィンガーの「くりこみ理論」

かたやミクロ、かたやマクロの世界、この両者を統一するのは簡単ではない

「くりこみ理論」無限大を回避する方法

アインシュタインの重力理論と量子力学の組み合わせでも無限大の問題
くりこみ理論では解決することができない
統一理論を考えるときの障害のひとつ

問題解決の可能性をもつ理論が一つだけ存在する
「超弦理論」

▶ 素粒子とはバイオリンの「弦」のようなもの!?

Super string theory
ストリング→物質の根源である素粒子の基本単位として考えられたもの

現在わかっている素粒子
クオーク、光子、電子、ニュートリノ


超弦理論では、すべての粒子は同じ「ストリング」からできていると考える
「弦」の振動のしかたによってクオークになったり、ニュートリノになったりする

ベネチアーノの公式
説明する新しいアイデアを出した
→南部陽一郎

▶ 弦理論から素粒子全体を扱える超弦理論へ

超弦理論の超とは何か?

現在わかっている素粒子の「標準模型」を知る必要がある
→どのような種類の素粒子がどのように力を及ぼしあってミクロな世界を作っているかを最新の実験のデータをもとにまとめた理論のこと

自然の現象を数学の言葉に置き換えて説明することを物理学では、「モデルをつくる」という
→今、素粒子の世界はここまでわかった、が、標準模型
物質のもとになる→フェルミオン
その間の力を伝えるボソンに大別する

弦理論
ボソンの方しか扱えなかった
→フェルミオンも含めて素粒子全体を弦理論で扱うために生まれたのが「超対象性」
「対象性」→何かを入れ替えても自然界のあり方が変わらない性質のこと

南部陽一郎の弦理論
超対象性を導入すると、それを導きの糸として、この理論にフェルミオンまで含めることができるようになった
超弦理論の超は、この超対象性の超

▶ 立ちはだかる六つの余計な次元と謎の粒子

超弦理論のいつくかこまった問題

理論がきちんと成り立つためには、宇宙が10次元である必要が分かった

素粒子のモデルとしても欠陥
実験では見つかっていない奇妙な粒子が理論の中に含まれていた

六つの余剰次元と、謎の粒子というよけいなもの

奇妙な粒子について
北海道大学、米谷民明
重力子(重力を伝えるボソン)であることを発見

アメリカ
カリフォルニア工科大学、ジョン=シュワルツ
超弦理論が重力を含んでいることに気づいた

超弦理論を重力理論として、一般相対論と量子力学を融合する究極の統一理論ができるはずだと提唱

▶ シュワルツ、苦節10年の末の革命的な発見

(強い相互作用の漸近的自由性」
素粒子実験が場の量子論によってきちんと説明されることが示された

超弦理論の研究は続ける
1984、クオークや電子などのフェルミオンを矛盾なく超弦理論に組み込む方法を発見

六つの余剰次元をどのように考えればいいかも分かった
六次元を小さな空間に丸め込むことによって、通常の三次元空間を除く空間が見えなくなるメカニズムが明らかになった

▶ 小さな空間に六つの余剰次元が丸め込まれている!?

「余剰次元」の説明
思考実験 ー217
ほげ次元 x ○

▶ 標準模型の説明に必要な道具立てがすべて揃った

超弦理論
「三次元 x ○ x ○ x ○ x ○ x ○」

自然界には重力と電磁力のほかに、素粒子の間に働く「強い力」と「弱い力」
その「四つの力」をひとつの法則で説明することが「力の統一」

「パリティの破れ」の克服
右と左を入れ替える対象性
ミクロの世界ではその対象性が完全に成り立たない
素粒子の間に弱い力が関わる物理現象では、ほんのわずかだが、パリティ対象性が破れることがわかった
→それを超弦理論に組み込む困難
1984、グリーンとシュワルツの論文によって、超弦理論は標準模型の説明に必要な道具をすべてそろえることができた

▶ 六次元空間の計算に使える「トポロジカルな弦理論」

距離の分からない六次元空間から、いったいどうしたら三次元の素粒子を導き出すことができるのか考えた続けた
↓そこでつかったのが、
トポロジー(位相幾何学)の手法
連続的に変化させれば同じ形になるものを区別せず、「同じ形」として理解する幾何学のこと

距離の測り方を知らなくても、ある量に対しては計算ができる
→「トポロジカルな弦理論」

第七章 ブラックホールに投げ込まれた本の運命ー重力のホログラフィー原理

▶ 粒子のエネルギーが「負」になると何が困るのか

ブラックホールの情報問題

アインシュタインにおける「時間」と「空間」について
相対論→時間と空間を同等に扱う
ただし、時間と空間はまったく同じものではない
この違いは、エネルギーと運動量にも当てはまる

量子力学の真空の話を思い出す
もしエネルギーが「負」の値を持つ粒子があったとすると困ったことが起こる
質量は常に正の値をもち、当然、粒子のエネルギーも正。だからこそ、対生成した粒子は対消滅することになる
粒子が正のエネルギーを持っているからこそ、対生成が起きても真空は安定した状態を保つことができる

もし対生成した粒子の一方が負のエネルギーをもっていたとしたら
粒子同士で正と負のエネルギーが相殺されるので、対生成したまま、エネルギーを持って別々の方向へ逃げ去っても構わない
消えない粒子が次から次へと生まれるのですから、それはもはや真空とは呼べない
つまり真空が壊れてしまう★

▶ ブラックホールの中ではエネルギーが「負」になってしまう

ブラックホールの中に落ちた粒子は負のエネルギーを持つことができるので、対生成した粒子か反粒子のどちらかがブラックホールの中に落ちれば、対消滅を起こさなくても、エネルギー保存則を守ることができる
↓理由
###image ー236
ブラックホールの中では、時間の流れが空間方向を向く
時間が空間方向に「寝た」ことにより、進まなくなる
→エネルギーが運動量のような振る舞いを始める
→運動量は空間を右にも左にも進める
→その値は「正」にも「負」にもなる

▶ ブラックホールが蒸発する「ホーキング放射」とは?

事象の地平線の近くで粒子の対生成が起き、そのうち一つがブラックホールの側に落ちたらどうなるか?
残された粒子は、エネルギーさえ十分にあれば、ブラックホールの重力に逆らって、正のエネルギーを持ったままとびさることができる
→真空の崩壊
→ブラックホールそのものが「蒸発」することになる
→負のエネルギーをもつ粒子がどんどん入ってくれば、その分、ブラックホールはエネルギーを失ってやせていく
↓ブラックホールがエネルギーを放出してやせ細っていくようにみえる
ホーキング放射

▶ ホーキング理論を裏付ける宇宙背景放射の「ゆらぎ」

ホーキング放射はまだ観測されていない

ホーキングの正しさを裏づける観測結果はある
ビッグバンの「残り火」であるマイクロ波の「ゆらぎ」と同じ仕組み

宇宙のゆらぎによって空間に濃淡がうまれ、密度の高いところに集まって星や銀河になったと考えられる

▶ ブラックホールに投げ込んだ本の中身は再現できるのか

因果律をブラックホールのホーキング放射が揺るがす

華氏451度、「ラプラスの悪魔」

ブラックホールに二冊本を投げ込む
ブラックホールからの放射をすべて計測しても、過去にどちらの本を投げ入れたのか判別できず、したがってその情報を再現することができない
→「ブラックホールの情報問題」

▶ 10の「10の78乗」乗もの状態は果たして可能か

投げ込まれた本を再現するためには、ブラックホールが本の情報をおぼえている必要がある

ブラックホールにどれだけの情報が書き込めるのかを考えてみる

一般的には、どれだけの情報が書き込めるのかは、「状態と数」がどれだけあるかできまる

一般的に可能な状態の数はエネルギーを上げると増える
エネルギーが高いほど粒子の動きが活発になるから
エネルギーを増やしたときに可能な状態の数がどのくらい増えるかで「温度」が定義される
↓ホーキンス
ある質量のブラックホールが発熱したときに温度がどうなるかを計算した

10の「10+78乗」乗

もしこれだけの状態数がなければ、理論の融合が失敗しているか、あるいはブラックホールの蒸発には通常の物理法則が通用せず、因果律が壊れている
そのどちらかということになる

▶ 「二次元の膜」「三次元の立体」を想定して突破口を開く

「ループ量子重力理論」

行き詰まっていた超弦理論にあらたな突破口
第一次超弦理論革命から10年後の1995
エドワード・ウィッテン
一次元だけでなく、
二次元の膜、三次元の立体のようなものも考えていいはず

膜のことを「ブレーン」とよぶ
造語、メンブレーンから

▶ ブラックホールの表面に張り付く「開いた弦」

ブレーンを超弦理論に取り込む上での重要なアイデア
ジョセフ・ポルチンスキー
「D-ブレーン」
→「開いた弦」を考えた、「両端のある開いた弦」があってもいいだろうと考えた

▶ 大きなブラックホールは通常の物理法則で計算できた

表面に張り付いた弦をブラックホールの「自由度」と見なせることがわかった★
→物理学では、ものの状態を表すのに自由度という概念を用いる
例:ある部屋の空気の自由度は、それぞれの分子の位置
分子の位置を全部決めれば、部屋の中の空気の状態が完全に決まる

自由度がわかれば、ブラックホールにどのような状態があるのかもわかり、その状態の総和を計算できるようになった
→ホーキンスの計算から期待できる状態数と同じであると分かった

▶ 小さなブラックホールの計算は「トポロジカルな弦理論」で!

2003夏、数学者アンドレイ・オクンコフ
トポロジカルな弦理論の計算は、積み木を積み重ねた状態がどれだけあるかを数える問題と関係することがある

どんなに小さなブラックホールも、ホーキンス放射は通常の物理法則に従う
そして、事象の地平線の向こう側に投げ込んだ本の情報は、ブラックホールに書き込めることが分かった

ブラックホールの情報問題はこれで終わりではない
・書き込まれた情報が外に漏れ出すとどうなるか
・さらにそれが漏れ出すとしたら、ブラックホールからの放射を分析すれば、情報を回復することができるのかどうか

▶ エントロピーが体積でなく表面積に比例する奇妙な現象

その問題を解決する糸口
ホーキングの計算と超弦理論の計算が一致したブラックホールの状態の数が、ブラックホールの体積ではなく、「表面積」に比例していること

「状態の数」を対数でしめしたものを「エントロピー」
対数で考えた場合、二乗は「二倍」、十乗は「十倍」と見かけの数字を小さくできるので膨大な大きさになる状態の数さ対数のエントロピーで考えたほうが分かりやすい

ブラックホールは三次元の立体なのに表面積に比例する奇妙さ
まるで事象の地平線で起きていることが、ブラックホールの表面に映し出され、そこに記録されているよう

▶ すべての現象が二次元のスクリーンに映しだされている

ブラックホールの中で起きていることは、すべてその表面が「知っている」と考える
ブラックホールの表面を映画のスクリーンのように見立て、そこに映し出された情報だけで内部のことをすべて説明できるという考え方
↓さらに一般化
ブラックホールに限らず、三次元空間のある領域で起きる重力現象は、すべてその空間のはてに設置されたスクリーンに投影されて、スクリーンの上の二次元世界の現象として理解することができると主張 ーオランダ、ヘーラルト・トフーフトなど

「重力のホログラフィー原理」

▶ 量子力学だけの問題に翻訳されたブラックホールの情報問題

ホログラフィー原理は「ブラックホールの情報問題」の解決にどう役立つか
ここで重要なのは、ホログラフィー原理に現れる「スクリーン上の二次元世界」には、「重力」が含まれていないこと★★
重力は「閉じた弦」によって伝わりますが、ブラックホールの表面には「開いた弦」しか張り付いていません
→そこには重力は含まれていない

要するに
三次元空間の「一般相対論+量子力学」の問題が、二次元空間の量子力学の問題に翻訳されてしまった

▶ そしてホーキンスは勝者に百科事典を贈った

スティーブン・ホーキンスとジョン・プレスキルの賭けの話 ー267

第八章 この世界の最も奥深い真実ー超弦理論の可能性

▶ ホログラフィー原理の思いがけない応用

超弦理論、いまだに発展途上の理論
ブラックホールの情報問題で量子力学が使えることがわかり、相対論が変更されることはわかったが、ここで、一般相対論と量子力学の融合が完成したわけではなかった

ホログラフィー原理により、超弦理論は思いがけない応用ができることが分かった
量子力学では技術的に解決が難しい問題を重力理論に翻訳し、アインシュタインの幾何学的な方法で解くことが可能になった

そのひとつ
「クォーク・グルーオン・プラズマ」 ー270
グルーオンとは?
クオークとクオークをくっつける「強い力」を伝える素粒子

このプラズマは、初期宇宙の物質の状態を再現したものだと考えられている
実際につくってみて分かったこと
→一般的には、プラズマ状態では粒子が自由に飛び交う。しかし、この場合では、クォークやグルーオンが気ままに飛び交うようなものではなく、液体のようなものだった
しかも、粘性がほとんどなく、サラサラしている
いわゆる「完全流体」

また、超弦理論は「高温超電導物質」の奇妙な性質もホログラフィー原理を使って解明しつつある
超電導とは?
金属などの物質を冷却したときに電気抵抗が急激にゼロになる現象
しかし、未だにこの現象を説明する理論は存在していない

いずれもホログラフィー原理のスピンオフとしての応用
本来の目的ではない

▶ 宇宙は一つだけでなく無数にある?

超弦理論の目的
→「究極の統一理論」の構築
それ以上皮をむくことのできない「芯」があることは分かっているので、それを説明する最終的な基本法則も必ずある
↓しかし、
どんな答えを出せばゴールになるのかは、必ずしも明確ではない

仮に素粒子の基本法則が導き出せたとしても、問題はある
その基本法則には、理論的な必然性があるのか、それとも偶然に決まったのか
物理現象は、何から何まで基本理論から演繹できるわけではない
偶然に左右される現象もある

もし偶然だとすると、仮説
宇宙は一つではなく無数にあって、超弦理論で可能な選択肢はすべてどこかの宇宙で実現している。私たちはたまたま「この標準模型」が実現した宇宙だけを観測しているから、それが唯一の答えのように思えるだけだ

▶ この宇宙はたまたま人間に都合よくできている?

本当に宇宙がたくさんあるのかどうかは分からない

マルチバース(多重宇宙)という考え方はある

「人間原理」
知的生命体が生まれないような宇宙には、それを観測するものもいない。そのように調節されている宇宙しか観測されないのだ」
絶妙な調節具合を「不思議」だと考えるのではなく、「当たり前」とするのが「人間原理」
↓間違いなく当てはまるのが
太陽と地球の距離
生命体が生まれるのに「ちょうどよい距離」

人間に都合のよい条件を「神様」に頼らずに説明しようとするのが、人間原理
私たちの宇宙が、たまたま私たちにとって「ちょうどよい基本法則」をもっていたのだ ーという考え方

▶ 相対論と量子力学を融合させる唯一の候補

人間原理は、科学にとっての「最終兵器」のようなものだと著者
しかし、安易にこの考え方に頼るべきではない
実は理論から演繹できる現象を見逃して「偶然」で片づけてしまうおそれがあるから
万有引力の法則、インフレーション理論の話 ー281

その一方で素粒子の標準模型のすべてを基礎理論から必然のものとして導出しようとすることは、惑星の軌道を理論から演繹する試みのように無駄骨に終わる可能性もある

超弦理論の理解を深めて、自然法則のどの部分が偶然によって定まり、どの部分が基本原理から導出できるのかを理解する必要がある
幸運なことに超弦理論は素粒子の標準模型を作るために必要な要素をすべて備えている
もちろん実験的な検証を進める必要もある

科学とは、自然を理解するために新しい理論を構築していく作業
実証的実験だけでなく、ある分野から生まれた新しいアイデアが科学者のコミュニティーの中でどのように受け入れられているか、それがどれだけ新しい研究を触発しているかということも、その分野の進歩を測る重要な目安だと思う

すなわち、科学とは、アイデアの自由市場なのである
超弦理論は「これから」の理論
「究極」の理論に近づいていくのを同時代人としてみる

あとがき

「科学に国境はないが、科学者には祖国がある」
科学を学ぶとき、その歴史を知ることは役に立つ
科学は、自分たちの住む世界のことを知るために、人類が数千年かけて試行錯誤をしながら積み重ねてきたアイデアの宝庫★★
科学の知識は、そのままでは無味乾燥と思われがちだが、さまざまなドラマがあり、それを知ることは理解の助けになる
読了 8/7 12:15

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